経営学の知見を投資に活かそう

今回は経営学の知見を投資に活かすという話をしていこうと思います。

ウォーレン・バフェット氏が「経済的な堀(ワイドモート)」について言及しているのは有名です。

「経済的な堀」があるかないかは、経営学で言えば、持続可能な競争優位性を持っているか持っていないかかと思います。つまり、ウォーレン・バフェット氏は経営学の知識を投資する会社の分析に活用していると言えます。

経営学の知見がどのように活かせるか、Appleで簡単な例を示します。

経営学のプラットフォーム理論を知っていると、AppleのiPhoneやiPadといった製品がApp Storeを介したツーサイドプラットフォーム(アプリ開発者とアプリユーザーがいるプラットフォーム)になっており他社の新規参入が難しいことがわかります。

* ツーサイドプラットフォームは、既に成功している者が強い。一方で、新規参入側は非常に厳しい状態となる。今から別OSのスマートフォンの参入を考えるとわかりやすい。アプリ開発者が増えないとアプリ利用者が増えず、アプリ利用者が増えないとアプリ開発者は増やせない。

また、iPhoneやiPadのようなプロダクトはマルチホーミングコスト(同時利用コスト)が高いということもわかり、総合的に見たiPhoneやiPadといったプロダクトは独占に近づきやすいということもわかります。

* マルチホーミングコストが高い場合、WTA(勝者総取り)になりやすい。マルチホーミングコストが低い代表的なものはクレカ。VisaとMastercardを同時に利用していてもほとんどコストはかからない。スマートフォンはマルチホーミングコストが高い。iPhoneとAndroidを同時利用する場合には、もう片方の端末代を負担して持つ必要がある。

ブランドの観点から分析すると、Appleのようなブランドを一朝一夕で作ることは難しく、消費者向けでも、労働市場向けでも新規参入者や競合がすぐに勝てないことがわかります。労働市場では優秀な人材をひきつけ、消費者市場では高価格でも製品やサービス売ることができ、企業向けでは規模とブランドの組み合わせにより、低価格で高品質なものを調達しやすい状態が維持されるであろうこともわかります。

* ブランドは、会社の今までの行いの積み重ねによる名前等に対するイメージで成立しているため、製品やサービスのように模倣が容易ではない。

まとめると、携帯電話からスマートフォンに移行したときのような変化が起きない限りはAppleは安泰ということになります。

以上、Appleで簡単な例を示したとおり、経営学の知見を活かすことでバフェット氏が言うところの「経済的な堀(ワイドモート)」を持つ企業を自分で見つけて投資することができるようになります。

結論: 経営学の知見を投資に活かそう。

## 参考書籍


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