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標準装備「傘」おじさん

ネットカフェでバイトしていた時の事。

当時完全個室のネカフェはなく
鍵もついて無かったのですが

毎回同じ席を指定し
天候関係なく傘を持ってくる方がいました。

必ず傘を広げ
ブースの壁の壁に引っ掛けて屋根を作る。

そして

凄い速さでタイピングする音が
永遠に鳴り響く迷惑おじさん。

あまりにもタイピングの音が煩いので
その周辺にはお客様を入れないようにしてました。

でもそんなある日の事

何故かものすごく忙しくて
仕方なく傘おじさんの両隣の席に
ご案内したお客様より内線が。

「隣が煩いので注意してくれ」

だよね
分かる、ほんっと煩いよね。

という事で
さばめ出動

コンコンッ

(カタカタカタカタカタカタカタ)

「お客様、少しよろしいでしょうか」

(カタカタカタカタカタカタカタカタカタ)

コンコンッ

(カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ)

ブチッ(°ㅂ°ꐦ)←短気なさばめ

「お客様ー!扉お開けしますねー!」

ガラッ

(カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ…)

「お客様、……お客様!」

(カタカタカタカタ…ガタンッ)

「な、なんだ!何の用だ!!扉を閉めろ!!」

この瞬間
文字では分かりずらいと思います。

まさしくこんな感じ↓

必死になってPCの画面を隠す
傘おじさん( ´灬` )

何回かノックと声掛けしたけど
気が付かないから仕方なくね。

裏でいつも
「ハッカーか何かじゃないか」
とか言われてるから

証拠掴むのに丁度いいや

とか98%しか思ってないよ。

と思いつつ一言

「他のお客様より騒音のクレームが入っておりまして、少しお静かにお願い出来ますでしょうか」

ニコッ^^

後ろめたい事が無いなら
そこで謝るなりなんなりするもんですよね。

ですが
傘おじさんはその言葉にスイッチオン

「誰がそんな事を言っている!どこの席だ!」

頭に血が上ったのか
ブースを出て私を凄い剣幕で怒鳴り散らしました。

さばめ
当時18歳

血の気もまだまだ多かった時代です。

売られた喧嘩は買う主義だったので

(よし来た買ったろうやないかぁい!)

とゴングが脳内で鳴り響きました。

「どなたかは言えません、でも正直いつも煩いですしそもそも法律でブースの上は開けなきゃいけない決まりなので傘を差すのはお辞め下さい。」

そう
今は個室ブースなんてものがありますが
当時は無かったので天井開けなきゃでした。

法律で決まってるんです。

時代は変わりましたね、はい。

傘おじさんはというと

「俺の私物なんだからいいだろう!」


ドワーフみたいな身体をプルプルさせ
ふんふん言ってましたが

全くと言って怖くない

内線で呼び出して下半身丸出しで
息子を手で高速で摩ってる所をニタァと見せてくる
謎の変態達の方が顔が怖い

なので、さばめのが強い!

「お聞き入れて頂けないようですので、防犯の為一旦ブースの中を拝見しますね」

ひょい( 'ω')

「辞めろ!勝手に見るな!俺は客だぞ(怒)」

そんなテンプレートな発言をしている
ドワーフ…もとい傘おじさんを押しのけ
画面を見る私。

見事に画面は謎の数字とかでビッシリ。

後ろには騒いでるドワーフ。

騒いだところで何が何だか私には分からんぞ。

「静かにすればいいんだろ!分かったよ!」

画面を必死に隠そうとバタバタしながら
ドワーフおじさんはしぶしぶ了承して下さり
傘を畳んで私をブースから押し出しました。

(普通はそこまでされたら帰るけどね)

と思いつつ

「また煩くするようでしたら内線下さい、他のお席が空いたら優先的にご案内させて頂きますね」

とクレームを下さったお客様へ一言伝え

約20分後
またもや内線

「隣まだ煩いんですけど」

(カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ)

傘は差してない
でも確かに煩い。

コンコンッ

(ガタガタッ)「なんだ!今度はなんだ!」

「煩いです」

「まだ煩いか!」

「煩いですね」

「分かったよ!分かったから!」

2度目は素直でした。

そして他のブースも空いたので
両隣を他のお席へご案内。

正直

画面見てもサッパリだったので
追い出す事もせずその日はそのまま帰ったのですが

後日
そのおじさんはまた傘を持ってやって来ました。

「いつもの席ですね、外、雨降ってました?」

と、その日以降からお会いした時に聞くようになり

「差さなきゃいいんだろ」

と返ってくるルーティンでしたが
私が居ない時は傘が乗っかってました。

その後、私はというと
髪の毛を金髪にしたらクビになりました。

なので
傘おじさんがどうなったかはそれ以降知りません。

でも、もしこれを見つける事があれば
カタカタして私をハッカーしないで下さいね。

おわり

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