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卒制日記5(距離を続ける)

 2020年7月2日木曜日夕方、5回目の電話会議を行った。

 今回も基本的にZoomを使ったが、途中で「Spatial Chat」なるツールを使ってみた。接続にやや難があったが、それなりに楽しめた。後述する。

 さあ、今回も元気にまとめてみよーう

0. 今回の概要

 やや久しぶりだったのもあって、1.近況報告から始めた。続けて2.方針の共有を行った。一度休憩を挟んで3.お試しSpatial Chat。面白さを共有できたので再度Zoomに戻り、4.雑談的に質問してみた。

 5に次回に向けて少し書く。

1.近況報告

 緊急事態解除から1ヶ月。参加者のみんなも、この新しい日常を否応無しに受け入れ、毎日を過ごしているらしい。オンライン授業とか、家での過ごし方の他に、少しずつ友達と会っているという声もあった。

2.方針の共有

 続けて、先日ゼミで行った研究計画報告をそのまま引用して共有した。

 今回改めて、劇場への未練を捨てた。うそ。捨てられてはいない、絶対復縁してやるんだから……!! この比喩やめよう。

 初めから言っていた方針ではあるが、改めてオンラインでの制作発表への覚悟を決めた。

 というのも、先日久しぶりに(緊急事態解除以来初めて)友人と顔を合わせる機会があり、直接会う楽しさを噛み締めると同時に「これ稽古するの危ないな」と悟ったからだ。その日、数時間会っただけでも相手への気が緩み、警戒心は右肩下がりだったと思う。これがもし、1週間に2回以上行われる稽古だったら?それを繰り返すとしたら? 「お互いに感染しているかもしれない」と疑い続けることは難しいと思う。もちろん、三密や濃厚接触を避けるなどの衛生的な要請が、ルールを設定し守ることで果たされることは理解できる。一方で、直接会って、笑って話しながら距離を取り続けること、触れ合わないようにすることの難しさを実感してしまった。やはり制作発表は、感染リスクを下げるためにオンラインで行うべきだと改めて思った。

 業界では、緊急事態解除後、上演再開の動きが出てきている。それらが感染リスクを上げるとここで指摘するつもりはない。もちろん対策は十分に行われて然るべきだが、何より劇場運営、作品上演によって生計を立てている人々がいるのだ。学生の卒業制作とは置かれている状況が全く違う。彼らは十分な対策を行って劇場で上演する。ぼくたちはオンラインで制作発表をする。それぞれは別の話だと思う。

 さて、では改めて、オンラインでどのような作品を作るかが問題になってくる。まず、今回も参考作品を挙げて話した。6月最終週末に配信されたKAAT企画・岡田利規演出「『未練との幽霊と怪物』の上演の幽霊」である。ある工夫によって上演の場が再現されていた。また、決められた時間での配信であり、アーカイブは残らず、上演に近い形式になっていた。一方で、収録された映像を配信しており、その意味でのライブ性は放棄していた。こうして振り返ると、オンライン作品の検討事項が掴めてきたなと思う。けれどまあ、重要なのは上演の場の再現だろう。ぼくの口頭説明だけだったので、どれだけ伝わったかはわからないが、一応共有できたと思う。

 オンラインにまつわる複数の検討事項を取り上げられてはいるが、全て具体性に欠けるのが現状である。そこで、本番の制作発表の前に試作品を作ってみることにした。8月上旬までに試作品を形にして、それを叩き台に形式の吟味、内容の構成を進めていきたい。

3.お試しSpatial Chat

 休憩を挟んで、Spatial Chatを使って遊んだ。これは、一風変わったテレビ電話ツールである。画面上には参加者のアイコンがそれぞれ映されており、その位置を任意に動かすことができる。自分のアイコンを動かし、誰かに近づけると、その相手の声が大きく聞こえ、アイコンが大きく見える。逆に遠ざかると声とアイコンが小さくなる。このような仕掛けで空間を擬似的に再現したツールなのだ。ここまで説明したが、まあ使ってみるのが分かりやすいので使ってみてほしい。

 空間の擬似的な再現と同時に、そのスペースにYouTubeのURLを貼り付け、視聴できる。これを配信の入り口に使うこともできるなと考えている。

 参加者たちは、擬似的な空間の再現というよりか、各々のアイコンの可動性を楽しんでいた。1人が他の参加者のアイコンに潜り込んで隠れた時、潜り込まれた参加者が「バーチャル背後やめろよ」と言って笑っており「とっさの語彙と表現力すごっ」と思った。

4.雑談的に質問

 最後に、参加者にいくつか質問をした。理由は単純で、制作に入る前にもっと不要不急の会話をしておきたいなと思ったからである。

 「好きな食べ物は何ですか?」「自分を動物に例えるなら何ですか?」「最近すごくよかったものがあれば何でも共有してください」と質問しそれぞれ全員に回答をもらった。回答自体どうってことはないのだが、それぞれの趣味嗜好がかなりバラバラで、今回、演劇の名の下にこのバラバラな人たちが集まっているのは、やはり奇妙な現象だなと感じた。

 出遅れちゃったけど就活頑張るぞ、と他の参加者には関係のない意気込みを見せて電話会議を終えた。

5.次回に向けて

 次回からいよいよ、試作品をスタート地点とした制作発表に入っていく。どこまで具体的にここに書くべきなのかよくわからないが、まあ適当に書いて変遷が追えるようにできたらと思う。

 今回参考にあげた「未練と…」では、観賞の場が再現されており、映像との区別が効果的に行われていたように思う。ぼくも、単純に演劇っぽい映像を撮るのではなく、効果的な働きかけをしたい。そこで、とある撮影方法を考案した。でも、ここに書くのは次回にする(電話会議終わってから思いついたので)。乞うご期待!


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