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トリアージって? 重症でもすぐに治療を受けられるとは限らない現実。〈3分で読めるシリーズ#1〉

こんにちは。
文章を書き始めるとどうも色々書きたくなってしまうので、3分で読める、各回一つのテーマに絞ったシリーズを書いてみようと思います。

今日のテーマは『トリアージ』。
昨今のコロナウィルス関連のニュースや記事で目にしたり聞いた事がある方もいるのではないでしょうか?

救急搬送された患者が受け入れ拒否、といったニュースを見た方も多いと思います。
「ひどい!何で受け入れてあげないの?」とか、あることない事批判をする人もきっと少なくないのだと思いますが、そんなに簡単な話ではないし、時にシビアで残酷な判断を下すこともあります。

今回はこれらの背景や理由について書いてみたいと思います。

トリアージとは?

上に書いた受け入れる患者の緊急度を判断することを『トリアージ』といいます。
東京都福祉保健局には下のように書かれています。

災害発生時などに多数の傷病者が発生した場合に、傷病の緊急度や重症度に応じて治療優先度を決めること」を言います。

このトリアージは、上のページに載っている『トリアージハンドブック』に詳しい順序や手順が書いてありますが、現場の医師や看護師、救急隊員などが傷病者を4段階に分けて救出順序を決め、下の写真のようなタグをつけて、搬送先の医療機関へと引き継ぎます。

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コロナウィルス禍におけるトリアージの提言

今回のコロナウィルス感染症蔓延の事態について、日本の様々な医学会の会長、理事長が連名で『新型コロナウイルス陽性および疑い患者に対する外科手術に関する提言(改訂版)』という提言を出していて、その中の手術トリアージの目安として下のような表が掲載されています。

※あくまで4月10日現在の内容であり、状況に応じて見直すべきものであることも記載されていることはお気をつけください。

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(出典:https://www.jssoc.or.jp/aboutus/coronavirus/info20200402.pdf)

あくまで目安である、とはしながらも、

『数日から数か月以内に手術をしないと致命的となりうる、あるいは重大な障害を残す疾患でさえも、すぐに治療してもらえない可能性がある』

ということです。

佐賀大学病院のトリアージトレーラー

その他の例として、佐賀大学医学部付属病院病院玄関前のトレーラーをあげてみます。これは、佐賀県にある「空飛ぶ捜索医療団ARROWS」という団体が、佐賀大病院に無償で貸し出したもので、医療崩壊の引き金となる院内感染を防ぐため、発熱などの症状があり、感染の疑いのある患者を病院の中に入れずに判断を行うことを可能にするため設置されました。

(余談ですが、空飛ぶ捜索医療団ARROWSは怪しい団体ではなくて、前身の「空飛ぶ医師団」はあのコードブルーのモデルとして知られています。)

感染者や疑いのある人を受け入れると医療崩壊の危険がある

ではなぜ重症なのに感染の疑いがあるとすぐに治療を受けることが出来ないのか?感染者が病院に来ると何がそんなに問題なのか?

一言でいえば医療崩壊につながる危険があるから、でしょう。

例えば、病院で1人感染者が出れば、一緒に働いている他の医療従事者も感染の疑いありとして自宅待機になります。

そして院内のどこに感染リスクがあるか分からないので外来や新たな入院、面会者は受け入れを停止します。

これが一つの病院だけでなく、地域単位、国単位で起きていくと、いよいよ医療崩壊です。

感染した場合治療法が確立されていないこと、そして仮にある地域で病院が閉鎖になっても、なかなか他の病院や他の地域から医者が来ることができないという点も非常に恐ろしいです。

そのため、感染の可能性のある人を受け入れるには、緊急で治療の必要がある場合でも、その病院全体がダウンしてしまう可能性を考慮して受け入れを拒否せざるを得ない事態がある、ということです。

誰に人工呼吸器を回すのか?

現在のところはまだ病床が埋まったり、集中治療室の数が足りなくなったりということは私の知る限りではまだありませんが、今後そうなってくれば、誰を集中治療室(ICU)に入れ、人工呼吸器を回すのかといったシビアな判断も必要になってくるでしょう。

私たちに出来ること

そうならないように、とにかく「三密」(密集、密室、密接)を避け、外出が必要な時はマスクをして手洗いうがいを心がけるようにしましょう。

そしてコロナウィルスの感染の有無にかかわらず、熱や咳など軽症の場合はみだりに医療機関に行かないようにしましょう。
最近よく参加しているリディラバさん主催の勉強会でも取り上げていた記事の中で、青木医師が現場のリアルなところを語っているので読んでみてください。

おわりに

今回は「トリアージ」をテーマに書いてみました。
…おそらくこれ3分では読めないですね。

次回はなるべくもっと短く分かりやすく書けるようにします。
それではまた。

※記載している情報は出来るだけ正確なものになるよう注意していますが、最新の情報は首相官邸や厚生労働省、日本医師会のホームページなどを参照するようにしてください。

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