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人生の作曲

 私は所属している社会人サークルのライブで、自分が作詞作曲を行った歌を弾き語りした。高校生の頃から一度やってみたかった事でもあった為か、作曲する為の創作欲はライブに近付くに連れて大きくなり、遂に私は人々の前で発表する事ができた。極度の緊張の中、歌い始めると体の震えは徐々に止まって…なんて事もなく、常に震えながら歌い終えた。一息ついて周りを見てみると、皆、“無”そのものの顔で、とりあえず拍手してくれた。微妙すぎる反応で緊張と羞恥心が爆発した私は顔が赤くなり、早々に切り上げて逃げる事にした。運命の初ライブ、楽しくはなかった。

 歌を作ってみた感想としては、意外と音楽って適当に作ってもそれなりの完成度にはなるんだなという印象が大きい。ベースとなるコード進行を確定させた後に適当なメロディーを考えて作詞する、という順番が私の性にあっていたのかも知れない。だが最近流行している歌には、昔からの音楽理論や何度も作曲していないと出てこない発想の技法が事細かに配置されていて、簡単に適当な歌を作る事はできても、それがある一定数の人間に響くかどうかはまた別の話になってくる事を知った。小説にも言えるが、何かを創作するには、その前にその創作物特有の技法を学び、そして何度も作り続けるのが大事なのだと再確認した。

 ただ経験がないから、反応があまり良くなかったからと言って出さずにいるのは勿体なく思う。
今作曲しているある人の歌を聴いているが、素人目に見ると普通に歌として完成しているし、良いと思う。むしろ好きである。
私以外の人間が作曲風景を流してくれた事で、反応が微妙だった為辞めていた(半ば諦めていた)作曲に対してのモチベーションが上がって行く感覚がある。久々に私もギターを手に取って何となくコードでも弾いてみようか。

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