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『おもろい以外いらんねん』

最近、劇場に行くことが増えた。劇場といっても、お笑いの劇場。
学生が終わるから自由に行けなくなるなと思ったし、昨年末のM-1グランプリを観てから、来年こそはサポーターズクラブに入って会場観覧したいし、もっと生で観て推しの芸人さんを見つけたい、と思った。地下とかいろんな事務所のライブは見に行けてないからまだまだなんだけど。今年の目標には吉本以外の劇場に行くことが入っている。

アメトークの読書芸人の回が好きで、読書もお笑いも好きな私は参考にさせてもらっている。前回紹介されていたものからも何冊か読んだのだけれど、最近Aマッソの加納ちゃんがおすすめしていた小説『おもろい以外いらんねん』を読了した。
タイトルからも分かるように、テーマはお笑い。漫才。
実際に作中にネタも登場する。

以前に作家さんの講演会に参加したことがある。
その時に、悩みはなにかという質問を投げかけられた作家さんが「コロナ禍を描くかどうか」とおっしゃっていた。
『おもろい以外いらんねん』はコロナ禍を描いている。

劇場中心に活動していた芸人さんの苦悩、アクリル板が間にある漫才、マスクをして話す時間。仕事がなくなってしまうこと。
当たり前にあったことが変わってしまう。
ジェンダーと笑いについても取り上げられている。時代とお笑いの変容。

人を傷つけない笑い、ってなんだろうと思った。
わたしがお笑いを好きな理由って、きっと辛いときにも笑えるからで、悲しくないから。頭を空っぽにしてよくて、自分を占めている苦しいことをどこかに追いやっていられるから。
だからお笑いに救われた。何度も元気にしてもらった。
わたしは女だし、きっと容姿で傷つくような笑いには敏感ではあると思う。男だからそうできるのかな、というおもしろさにはたまに真顔になってしまう。
でも、ツッコミも一見罵倒のように聞こえる言葉も受け入れてしまう。当たり前だし、それが信頼の上に成り立つ笑いだと思うから。(だから仲のいいコンビが好きなのかもしれない)
とはいえ、嫌だなと思う弄りや過剰な言葉はなくたっていくらでも笑いを生み出すことはできるんだから、嫌悪感を持たない優しいお笑いが全てを占めるのはそう遠くないんじゃないかと思える。
そう、シンプルに、『おもろい以外いらんねん』だよね。

社会人になってちゃんと誰かを応援できる熱量が生まれるかは不明だけれど、これからもお笑いで笑える人でありたい。

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