スターウォーズのせいでスペースオペラが死んでる。

スペースオペラ(英: space opera)は、サイエンス・フィクション (SF) のサブジャンルの一つで、主に(あるいは全体が)宇宙空間で繰り広げられる騎士道物語的な宇宙活劇のことで、しばしばメロドラマ的要素が入っている。基本的な定型は、逞しいヒーローが超光速の宇宙船に乗り光線銃を撃ちまくってベム・異星人・マッドサイエンティストなどを退治し、囚われの美女を救出するというものである。スペオペと略されることもある。

Wikipediaから引用

あけましておめでとうございます。

みなさん年末年始はいかがお過ごしされましたでしょうか?

私はというと

映画映画寝寝寝酒寝酒映画パチンコパチンコパチンコパチンコタコ負け酒酒酒寝寝寝映画映画パチンコ寝映画酒酒酒寝パチンコ映画映画映画酒寝寝寝

みたいな感じでした。

昨今は動画配信サービスのおかげで家でも気軽に映画が観れて便利ですよね。

家族の団欒の1シーンとしてもやはり動画配信サービスは欠かせないものとしてその地位を確立しているといっても過言ではなく、年末年始も全国のご家庭で大いに活躍したことでしょう。

そして動画配信サービスが重宝されるこの貴重な時期、2023年の年末、Netflixは勝負に打って出たのでした。

それはとある映画をゴリゴリにゴリ押すという一大戦略です。

そうです、皆さんご存知のことでしょう。

『REBEL MOON: パート1 炎の子』です。

インターネットを開いてもサイトの広告に映るのは

レベルムーン!レベルムーン!レベルムーン!

気晴らしに映画館に足を運んでも上映前に流れるのは

レベルムーン!レベルムーン!レベルムーン!


Netflixを開こうものなら

レベルムーン!レベルムーン!レベルムーン!レベルムーン!あなたのおすすめはレベルムーン!レベルムーン!レベルムーン!


巨大資本による金に物を言わせた洗脳により我々はNetflixを開いたら最後、気がつくとレベルムーンの視聴を終えています。

しかしこの映画の評価はというと大層散々なものでありました。

Rotten Tomatoes

なんと脅威のトマトメーター23%、オーディエンススコア58%、この金のかかった特大のクソは年末年始に世間のお茶の間を凍りつかせました。

批判的なレビューで多くみられる意見として

「スターウォーズみたいで新規性を感じることができずつまらなかった。」

というものがあります。

この映画の生い立ちとしましても少し特殊であり、元々スターウォーズの新作映画として監督のザック・スナイダーがルーカスフィルムに売り込んだ企画が元になっており、そりゃあまぁジェネリックスターウォーズになっちゃいますわな…と、同情の余地はありますけども。

この「なんかスターウォーズみたいでつまんないな…。」現象はレベルムーンに限った話ではなく、昨今ではアメコミ映画でも起こりました。

はい、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』です。

Rotten Tomatoes

さすが腐ってもハリウッドの覇権コンテンツMCUと言いましょうか。レベルムーンほどの酷評ではありませんが、トマトメーターは46%としっかり腐っております。

この映画についても「なんかスターウォーズっぽい。」という批判が主でした。

といっても、この世に溢れる万物の創作物のほぼ全ては他の何らかの創作物から少なからず影響を受けているものであり、完全に100%オリジナルなものはないでしょう。
スターウォーズだって黒澤映画の影響をビシビシ受けていますし。

でもね

でもですよ、例えばいわゆる“剣と魔法のファンタジー”にあたる作品を見て「これは指輪物語のパクリだ。」と評するアホはいないでしょう。

同じく攻殻機動隊を指差して「これはブレードランナーのパクリだ。」というアホも勿論いません。

しかしなぜ“スペースオペラ”というジャンルにおいては常にスターウォーズが比較対象として今も尚、君臨しているのでしょうか。

答えは単純であると私は思います。

なぜなら“今も現役でスターウォーズがスペースオペラの覇権コンテンツだから”です。

スペースオペラと言いますと、他にも有名な作品として『フラッシュ・ゴードン』や『スタートレック』などがありますが、これらの作品をスペースオペラものを評価する際の比較対象として挙げるような変態は2024年においてはまずいません。むしろいたら教えてください。

でもスターウォーズは別です。

何故ならこいつは先に挙げた2つの作品とは違い2023年現在においてもバチクソ破竹の勢いの覇権だからです。

例えば2023年の全世界におけるメディアミックスコンテンツの収益ランキングを見てみましょう。

TitleMax

この通り、第5位にはスターウォーズが堂々のムキムキに君臨しております。

他にも2019年および2023年最も視聴された配信ドラマはNetflixのストレンジャーシングスを抑えてスターウォーズのスピンオフドラマである『マンダロリアン』ですし、2023年違法視聴されたドラマのランキングにも同じく『マンダロリアン』と『アソーカ』がそれぞれ2位と4位に並ぶほどです。

さらには新作映画の制作も数本決まっており、つい先日には先に述べた『マンダロリアン』の映画化まで発表されました。

まさに破竹の勢いとしか言いようがないアホの数字を叩き出す無敵のコンテンツパワーです。

なので死んでいます。

スペースオペラは死んでいます。

スペースオペラというジャンルは、スターウォーズが金字塔として古典になることなく現役バリバリで幅を利かせているせいで、その他の作品は「新規性がない。」と評され、陳腐化してしまっているという悲しき図式が成り立ってしまっているのです。

これをボクシングで例えるなら、不老不死のサイボーグ化しためちゃつよモハメド・アリが今も現役でWBCヘビー級世界王者として半世紀君臨し続けているせいで他の新しい選手が評価されなくなってきた、みたいな話ですよ。

スペースオペラという土壌で大先輩スターウォーズ様に勝てるエンタメは早々ありません。

スターウォーズを意識せず新規性に富んだ全く新しい作品を生むのも現実的ではないでしょう。

そして何よりスターウォーズみたいな映画を見なくとも、面白い本物のスターウォーズの最新作がいまだに見れちゃうんです。

はい、積んでいます。死んでます。

この図式は誰が悪いわけでもなく、また誰にも止めることができません。

かく言う私もスターウォーズは大好きですしコミコン2023ではニコニコの素敵スマイルでマンダロリアンのコスプレイヤーと写真撮りましたし。

まぁ『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』のようにスターウォーズの呪縛を乗り越えて高評価を獲得したスペースオペラもあるので一概には言えないんですけども。

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