ほっこりするなら
ゆったりした毎日を過ごしていた。
プリキュアに間に合うように起きて、ワンピースが始まるまでは父の背中の上でごろごろする。
目玉焼きとベーコンの焼ける音で目が覚めることもあった。油がパチパチ跳ねる音はちょっぴり怖くて苦手だった。
仕事の話を聞くことはほとんどないし、ただ毎日をゆったりしていた。
ゆったりしていた記憶はあるけれど、どのように過ごしていたのか具体的には覚えていない。それくらいゆったりしていた。
弟と遊びに行くからと、私も一緒になって外に出たかったけれど、母がひとりになるから我慢する。
父にも、母にも、家にいるのは私の意思だと繕ってテレビを見ていた。本心に気づいていたのかは知らない。
断片的にしか覚えていられなくなった。
少し前までは全てのことを事細かく話せていたけれど、今は違う。
変わることが怖くなった。
同じことばかりをするのはつまらないと思う自分と、見えない自分に出会うことを恐れる自分がいる。
もう3ヶ月経ってしまった。でもまだ3ヶ月。
ゆったりした毎日を過ごしてきた私は、これから時間を意識する生活をし続けられるのだろうか。
思いつくままに文章を書くことを許されない場所で、私の好きな発想は失われないのだろうか。
「きっとまだ途中だからそう思うんだよ」
そうだとわかっているけれど、怖いものは怖い。
ゆったりした太陽を浴びながら過ごす時間を手に入れるために、一瞬で過ぎ去る平日を大事にしなければならない。
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