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エロ本屋で見つけた幸福論

神保町のはずれ、軒先の本棚にギッシリと並んだ古本たち。
「2冊で100円」というなぐり書きのPOP。
興味を引かれて足を止め、本棚を物色していると、なんだかたいそうな名前の本を見つけた。

ショーペン・ハウアー
『幸福について-人生論-』
新潮文庫

幸福とは何か、真面目に考えたことなどなかったので読んで損は無いだろうと思い、装丁がめちゃくちゃ渋くてカッコいい夏目漱石の『こゝろ』と共に、店内のレジへ。

店に入った瞬間視界に飛び込んできたのは、艶めかしい女たち。
あと禿げたおじさん。

入店して初めて気が付いたが、この店、ゴリゴリのアダルト雑誌専門店だった。2冊で100円はエサだったのか。なるほど。視界に入る色の中で肌色の割合がグッと高まり、目のやり場に困る。はやくお会計を済ませて出ようと思った。

100円出した後、「レジ袋5円です」と店長と思わしきやる気のないおじさんが言った。

財布から追加で5円玉を出したら、5円のおつりが返ってきた。10円玉と見間違えていたらしい。全くやる気がない。彼こそ幸福論を読むべきなのではないか。

5円玉は受け取らず、銀色の中身が見えないレジ袋をもらい、そそくさと店を後にした。

以下、50ページほど読み終わってのレビューを書いたので、気になる人は読んでみてほしい。

『幸福について』レビュー

で、結局言いたいのは
「ものは考えよう」
ってことでしょ?

読めば読むほど、そうツッコミたくなってくる。

同じことを回りくどく永遠に繰り返し主張しているだけなので、内容が驚くほどの薄さ。手を替え品を替えあらゆる切り口で同じ主張を繰り返す様子からは、自論への相当な自信が伺える。ソクラテスをもdisるプライドの高さには感心である。宗教勧誘もこんな感じなのだろうか。刷り込み感が凄まじい。

しかし言っていることにはとても共感できる。(刷り込まれているのだろうか…)
幸福に生きるうえでとても大切なことが書かれている。
あたりまえか。

しかしながら、著者であり偉大な哲学者であるショーペンハウアーもまさか自分の崇高な思想を記した本がエロ本屋の軒先でうずくまることになるとは思いもしなかっただろう。知ったら絶対に憤慨する。知らなくてよかったね。

読み進めて、主張に進展があったら誹謗への謝罪も兼ねてまたレビューを書こうと思う。

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