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❏もういちど読みたい記事

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もういちどと言わずなんどでも読みたい。
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#旅

夕闇に沈むモレの橋

「この絵の場所を知りませんか」 フォンテーヌ・アヴォンの閑散とした駅舎で、ぼくは息を切らしながら駅員に尋ねた。正確には、ガラケーに保存していたその絵の画像を差し出した。充電はもう残りわずかしかない。 聞き取れないはずのフランス語でも「知っている」と言っているのがわかった。彼は線路の下り方面を指さして、2つ先の駅で降りろとだけ教えてくれた。橋の詳しい場所までは知らないようだった。 晩秋のパリ郊外。時計の針は午後4時半を回っている。日が暮れるまであと30分もないであろうこと

スポレートのフィリッポ・リッピ

イタリア中部、ウンブリア州にスポレートという町がある。 アッシジの語学学校に通っていた時、同じペルージャ県にあるその町に日帰りで出かけていった。 日本に住んでいると、気軽に電車に乗ってほいほい出かけていくのが好きだけど、イタリアでは電車(というか列車)に乗って、自分の住んでいる町から出かけていくのはちょっとした小さな旅行のような気分だった。(日本でも、地方だとそうなのかもしれませんね。) スポレートはローマからだと列車で1時間半くらいらしい。日本人はあまり訪れることは少な