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❏もういちど読みたい記事

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もういちどと言わずなんどでも読みたい。
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#小説

社会的羊と一匹狼

例えば、高級レストランに行ったとする。 白いテーブルクロスに夜景が見渡せるガラス窓、上品なお洒落をした客。クラシック音楽とワインを注ぐ音が静かに流れる店内。 お皿の余白が気にならないほど色鮮やかな前菜に目と舌を楽しませたあと、メインへの最後の序章ともいえる、温かいスープが運ばれてきたとする。 さて、いざスープを慎重に唇の隙間からゆっくり流し込もうというとき、席を共にする相手がズズズーっと音を立ててスープを飲み始めたとしたらどうだろう。 ギョッとして冷や汗が噴き出てくるだろ

「坊っちゃん文学賞」に落ちたショートショート。落選文学と名付けて発表!

世界で知らない人はいない気がする、モネ等印象派の画家たち。ご存知だろうか、実は彼ら、当時の画家の登竜門とでも呼ぶべき権威ある公式展覧会「サロン」への落選を繰り返していた。 どの画家もサロンへの入選を目指していた時代において、彼らは1874年、サロンに落選していた画家たち皆でグループ展を開催。のちに印象派展と呼ばれるようになったが、要は落選展である。別に拗ねているわけでも、開き直っているわけでもない。落選はしたものの、自分たちの作品を信じて愛していただけのことだ。それが、今の