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私がスイフトスポーツを買って3ヶ月の感想


車好きならば誰もが1度は憧れるスポーツカー。

特に流麗なボディデザインが特徴のいわゆるクーペと呼ばれるスタイルの車はいつの時代もわれわれ車好きを魅了してくれる。


しかし現実問題、スポーツカーを所有するとなると日常での使い勝手の悪さや維持費の面など様々な制約が付きまとう。


スポーツカーには乗りたいけれど日常での利便性を損ないたくない、それでいて経済的というそんなわがままを叶えてくれるのがスズキ・スイフトスポーツだ。


スイフトスポーツとはコンパクトハッチバックのスイフトをベースにスポーツチューニングを施したいわゆる『ホットハッチ』と呼ばれるスポーツモデル。


コンパクトカーがベースのため日常での使い勝手の良さはもちろんのこと、走行性能も一切妥協していないスパルタンな走りを楽しませてくれる。

筆者の自慢の愛車
純正状態でありながらカーボン調エアロ、2本出しマフラー、前後フォグランプ装備とスポーツカー好きをワクワクさせてくれる見た目となっておりチューナー泣かせの充実装備だ。(筆者はヒューエルリッドシールのみ別途オプションで取り付けた)
スポーツマインドを刺激する赤を基調としたコックピットもお気に入りだ。(筆者は純正状態からステアリングカバー、パドルシフトエクステンション、エアコンダイヤルリングを取り付けている)

妥協のない充実のパッケージングでありながら車両本体価格はおよそ200万円に抑えられている。

車の値段が上がり続けている昨今、ここまでコストパフォーマンスに優れた車は現代日本において貴重な存在でありまさしく至宝と言えるだろう。


現在私はこの車を所有して3ヶ月ほど経ったので改めてこの車を所有してきて感じたことをまとめていこうと思う。


なお、筆者が購入したモデルは6速AT、セーフティパッケージ装着・全方位カメラ非装着仕様となっている。

MTでの長期的な使用感については書けないのでご容赦いただきたいのだが、今や日本市場においてMT車の新車販売比率は1%程度しかないにもかかわらず、その1%の数少ない人達のことを考慮してMT仕様もラインナップしているスズキの心意気には一車好きとして感謝したい。

1人でも多くの方にこの車の良さを知ってもらい、そしてこの車の購入を検討している方、納車を控えている方の参考になれば幸いだ。


スイスポはいいぞ!


スイフトスポーツのメリット


1.運転することが楽しくなった

私はスイスポに乗る前はダイハツのムーヴコンテに乗っていた。

この車を買った当時はまだ学生であり、アルバイトをしつつ毎月ガソリン代と車のローンを払いながら車の維持をしていくので精一杯だった

コンテは10年以上前の軽自動車でありながら十分な室内スペースを確保していたため、生活の足としてはエンジンパワーが物足りないくらいであまり不便なことはなかった

カクカクシカジカのCMでお馴染みのムーヴコンテ。筆者は当時八年ほど落ちたモデルを40万円で購入した。

しかしながら運転していても当然の事ながら官能的な要素など皆無であり楽しいと思えるような車ではなかったのだ


そうしたこともあったのだが次に乗り換える車はどうせ高いお金を払うのだから楽しい車にしたいと思いスイスポを選択した。スイスポに乗り換えてからというもの毎日の運転が非常に楽しくなった。

車というのは多くの方がそうであるように私にとっても毎日乗るものなので走りの質が高いという事はQOLの向上に大きく貢献してくれている。


では具体的に何が楽しいのかと言うとなんといっても軽量でありながら非常にハイパワー・ハイトルクなエンジンの車を手足のように操る愉悦、いわゆる『人馬一体感』を堪能出来る点だ。

この車、走行時の安定感向上のため標準仕様のスイフトよりもワイドボディ化を行っていたりより重たいハイパワーなエンジンを搭載しながら驚くべきことに車両重量は1トンを下回っておりわずか990kgと軽自動車並に抑えられている。(ちなみにベースのスイフト日本仕様車はもっと軽く、860kg程度に収まっている)

車重が軽いということは走る、曲がる、止まるといった車の基本動作の全てが自分の思ったとおりに決まる軽快感に直結しており、まさに『スイフトスポーツ』という名を冠するにふさわしく、看板に偽りなしと言える。

スポーツの名前は伊達じゃない!


2.スポーティでダイレクトな足回りと高いボディ剛性

 足回りもスポーティに仕上げられている。これは後述するデメリットにも繋がってくるのだが運転している際にはこれが運転の楽しさに優位に貢献してくれる。

ステアリングやシートを通して車が走っている路面の状況がダイレクトに伝わってくる感触は今までに味わったことがなく、ちょっとした段差を乗り越えたり高速道路の継ぎ目を乗り越える度に伝わってくる車との一体感は3ヶ月経った現在でも色褪せていない。

それでいてボディ剛性が非常に高いので高速で走っていても安心感・安定感が非常に高い。

このボディ剛性の高さと車との一体感は低速で走っていても楽しく、交差点で曲がっていく時にハンドルを切るだけでも車を操っている楽しさを堪能させてくれる。

軽量でありながら高いボディ剛性を確保するスズキの謎技術・ハーテクトの技術が大いに貢献している。

また軽量化の為にスズキ内製で作られた専用設計のセミバケットシートも運転の楽しさに一役買っている。

スイフトスポーツ専用装備のセミバケットシート。

大きく張り出したサイドサポートのおかげで旋回時に体をしっかりホールドしてくれるため、軸がブレずにハンドルを切っていけるのだ。この点はベンチシートのコンテから乗り換えた際にシートの形状でこんなにも運転が変わるのかと感動した。


3.ハイパワー・ハイトルクなターボエンジン

そして極めつけはなんといってもこの車の心臓部であるエンジンだ。

同社製のシティSUV、エスクードに搭載されているK14C型ブースタージェットエンジンをスイスポ専用にチューニングしたものが搭載されており、1.4ℓ直列4気筒・直噴ターボエンジンとなっている。

先代までの1.6ℓ自然吸気エンジンから排気量を落としターボでパワーを補ういわゆるダウンサイジングターボと呼ばれる手法が取られている。


エンジンの出力としては最大馬力140ps・最大トルク230Nmとなっており、リッターあたり100馬力を達成している点も立派だがなんといってもこのエンジンの特徴はターボエンジンの恩恵によりもたらされる低回転域から発生する最大トルクの力強さにある。

車重をトルクで割ったトルクウェイトレシオは41.4kg/kgmとなっており、これは日本を代表するスポーツカー、日産フェアレディZ(34型)の38.6kg/kgmに迫る数値となっている。もちろん数値だけで車の良さが決まる訳では無いのだがこのデータから如何にこの車の加速性能が優れているかを見ることが出来る。


アクセルを踏み込めば低回転域から一気にエンジンが吹け上がり、グォン!と体がシートに押さえつけられ、一気に加速していく。

試乗した際に体感したある種暴力的なこの加速力に惚れたのが購入の決め手となった。

見た目は普通のコンパクトカーなのに鋭い加速力が顔をのぞかせる様はまさしく『羊の皮を被った狼』だと言える。

またエンジンサウンドが車内でも聞こえるようにマフラーがチューニングされているため加速していく際に官能的なエンジンサウンドを存分に楽しむことが出来る。

スイスポの高い加速性能はこちらの動画をご覧いただければと思う。

軽い車体に高いボディ剛性、そして吹け上がりの良い素晴らしいエンジン。これらの要素全てが非常に高い次元でまとまっており、200万円という価格帯の中で出来る最大限の走りを楽しませてくれる。

退屈なはずの車通りの少ない田舎道や峠でのワインディングを走る時間が至高の楽しみに変わったのはスポーツカーがもたらしてくれる最大の恩恵であると言える。

また、私が選択した6速ATモデルにはパドルシフトが備わっており自分の好きなタイミングでシフト操作ができる。

6速ATモデルの内装

私は運転している間はほとんどマニュアルモードを使用しているのだが多段ATのため変速するとしっかりとギアが入れ替わっている感覚を感じられる。

変速時には操作してから少々ラグがあるものの慣れの範疇に留まっているレベルなので気軽にマニュアル変速を楽しめるのも嬉しいポイントだ。

ちなみにパドルシフトの操作感としてはゲームのハンドルコントローラーのパドルシフトにかなり近いものとなっているためこの辺は好みがわかれるかもしれないがまさしくゲーム感覚でシフト操作を行うことが出来る。

またATでも出来る限りMTの感覚に近づけたいという思いからあえて変速時に生じるシフトショックを残している。

これは実際に低速でシフトチェンジを行うと体感することが出来、MT車特有のシフトが入れ替わった時の感覚を見事に再現している。こういった細部のこだわりからもスズキのこの車に対する熱意を感じられる。


4.スポーツカーなのにランニングコストが安い

スイフトスポーツがコストパフォーマンスに優れているのは何も車両本体価格だけではない。

購入後のランニングコストも優秀なのだ。

燃料こそハイオクではあるものの、車重が軽いのが効いており燃費がめちゃくちゃ優秀なのだ。

信号の少ない幹線道路を1日乗り回した際の平均燃費はリッターあたり14km、ストップアンドゴーの多い市街地では11kmほどとなっている。

高速道路を走った際には16km程をマークしていた。

もちろんハイブリッドのエコカーなどには及ばなくとも、ピュアガソリンエンジンでありながら高い走行性能を誇るこの車でこの数値は十分すぎるほど優秀ではないだろうか。

スポーツカーでありながら平均燃費が10kmを超えているのであまり燃費のことを気にせずにストレスなく毎日乗ることが出来る。

また、使用燃料がハイオクなので乗り換える前は抵抗感があったが今ではむしろハイオクの黄色いノズルで給油する時間もまた少し特別感があり楽しみの一つとなっている。

更には排気量が1.5ℓ以下なので自動車税も安く抑えられるのも嬉しい。

これだけ走ってくれるのにランニングコストとしては一般的な乗用車に毛が生えた程度で済むというのはある種現代日本においてこういったパッケージングというのはスポーツカーの最適解であると言えるだろう。


5.車を通しての楽しみが増えた

憧れのスポーツカーのオーナーとなったことで私は愛車に対する意識が大きく変わった。

以前コンテに乗っていた時はただただ生活の足としてしか使っていなかったため、洗車などをする機会もそんなに無かったのだが、現在では2週間二一回ほどの頻度で手洗い洗車を行うようになっている。

洗車はいわば自分の車との対話である。

手洗いを通してボディについた傷などに気がつくこともあるため今では定期的な洗車が欠かせない。

そして何よりも車を走らせるために外出する機会が増えた。

車のいい写真が撮れたらとても嬉しい

車好きの友人とツーリングに出かけたり車の写真を撮るためにオシャレなスポットを探したり、目的地を決めてドライブする際には目的にたどり着くまでの道中車を走らせるのもまた楽しみの一つになった。

友人のマークXと共に

このようなちょっとした楽しみが休日に増えた事はQOLの向上に大いに貢献してくれている。本当にありがたい限りだ。



スイフトスポーツのデメリット・注意点

ここまではスイフトスポーツの良い点を書いてきたが、長所と短所は表裏一体であり、当然人によってはデメリットに感じる部分もあるかと思う。

その中でも特に私が日常的に使用する中で気になった点をいくつか例挙して行こうと思う。


1、後方視界が悪い

これは高い走行性能を謳っている車でありながら結構気になる点なので1番初めに書いておきたい。

この車、スタイリングのために後部のドアノブがCピラー部に隠されるように着いているのだがいかんせんこのドアノブ部分が大きく、左右後方への視界が非常に悪くなっている。

後部座席のドアノブ

スタイリングのため致し方ない部分ではあるのだが、車線変更時に後ろを見ると車一台分が隠れてしまうほどの死角が生じているので結構ヒヤリとすることがある。


しかしこの弱点はマイナーチェンジ後にしっかりと改善されており、セーフティパッケージ装着車であればミラー部に後続者を知らせてくれるブラインドスポットモニターの機能が付いているため車線変更時などに一目ミラーを見れば直ぐに隣の車線に後続車が来ていることがわかるようになった。

この恩恵はかなり大きいので是非とも購入時にはセーフティパッケージの装着をオススメしたい。


2.足回りが固い

これは良い点の中にも挙げたのだが、足回りの硬さは運転している本人以外には気になるポイントだろう。

助手席はまだ運転席と同じくセミバケットタイプのシートなので多少揺れてもしっかりとホールドしてくれるのでそこまで気になるレベルではないと思うが問題は後席だ。

一応大人が2人座れる座席にはなっており、実用上は十分なスペースも確保されているため特段問題は無いかと思われる。

座面が前席とは違いサポートも無くフラットになっており、またサスペンションの設定上リアの突き上げ感が強いため運転中は後席が結構揺すられるため路面状況や運転の仕方によって同乗者が酔ってしまうのでは無いかと思う。

頻繁に後席に人を乗せる場合この点は見逃せないだろう。後悔しないためにも慎重に吟味した上で購入を考えて欲しい。



3.レブリミットがレッドゾーンの表示と合っていない

これはドライバーが運転することを楽しむスポーツカーでありながら如何なものかと思うのだが、タコメーターの表示上レッドゾーンが6300回転からになっているのだが実際のレブリミットは何故かその手前の5800回転になっており、タコメーターの表示と噛み合っていない。

マニュアルモードでエンジンの回転数を上げていき、5800回転まで上がると何故か勝手にシフトアップしてしまうのだ。

MT車の場合も同様に5800回転で頭打ちとなっているそうだ。

この点はマイナーチェンジ後の現在でも改善されていない。

このタコメーターのせいで車との一体感が損なわれているのは残念なポイントなので次世代のスイスポでは改善されることを願う。


4.AT車の場合マニュアルモードでも勝手にシフトチェンジされる

この点に関しては何もスイスポだけに限った話では無いのだが、マニュアルモードで運転していてもある程度回転数が落ちると勝手にシフトダウン、逆にレブリミットまで回すと勝手にシフトアップしてしまう仕様となっている。

これはエンジン保護のための機能だと思われるが、MT仕様と同じようにギアをキープすることは出来ない。

なのでシフト操作も完全に自分で行いたい場合はMT車を選択する必要がある。

この仕様は運転していればある程度慣れてしまうので筆者はこの制限内でマニュアルモードを楽しんでいるが当然の事ながら車を操る楽しみの面ではMT仕様に1歩劣る事になるだろう。


5.思ったより高回転まで回らない

前述の通りこの車のレブリミットはターボエンジンである都合上5800回転ほどとなっており、自然吸気エンジンで上まで回せるフィーリングの先代スイスポとは真逆の性格をしている。

低回転域ではターボエンジンの恩恵を存分に感じられる鋭い加速力が味わえるのだが、高回転域まで回したい場合このエンジンは少し物足りないかもしれない。

この点はターボエンジンのため致し方ないのだがアクセルを踏んでいってこれからというところでレブリミットにあたってしまう。

ないものねだりにはなってしまうのだがたまにもう少し上の回転域まで回したいなぁと感じる瞬間があるのだ。

せめてタコメーターの表示通り6300回転まで回ってくれたらなぁと思ってしまう。


6.車両感覚が掴みづらい

走行安定性のために標準のスイフトよりも全幅が広がり、大きくフェンダーが張り出しているのだがそれに合わせてホイールも外側へと出ている。

そのせいか思ったよりも車両が大きいのでホイールを結構擦りやすい。

筆者も立体駐車場から出る際、駐車券挿入口に寄せすぎてしまいホイールを少し擦ってしまった。

結構ショックだった・・・

これはスイスポあるあるらしいので運転する際には思ったよりもタイヤが外側にある事を意識する必要がある。


7.あともう一歩届かない使い勝手

ここまでは走行面に関して挙げたが、ここからは日常的に使ってきた中で感じた車内の使い勝手に関して挙げていこうと思う。

まず初めに気になったのがドリンクホルダーだ。

ドリンクホルダーの数自体はかなり多いのだが斜めになっていたりホルダーが少々大口になっており口の空いた缶などの飲料をストックする場合不安定なことがあるのだ。

筆者は助手席側に社外品のドリンクホルダーを取りつけることで対応している。

また、小物入れも中央部に少しあるだけであり、必要最低限は揃っているものの助手席側のダッシュボード下などに設けてあったらもっと便利だったのになぁと思う。


次に気になるのがチケットホルダーが無いところだ。

チケットホルダーがないので駐車券はいつもサンバイザーの間に挟んでいるのだがサッと挟めないのでどうにもこの辺りの使い勝手はあまり良くない。

またサンバイザーの中の鏡にも照明がついていないのも残念ではあるのだがこれに関してはコストカットのため致し方ないのかもしれない。

照明つながりで言うならばもうひとつ、車内の照明が前席にしかついていないので夜の後席が暗いのも気になる。が、これもコストカットのあおりを受けてのことなのかもしれない。

また標準のスイフトには運転席と助手席側両方にシートヒーターが付いていたのだがスイスポには運転席側にしかシートヒーターが付いていない。

そしてもう1つ気になるのがハザードスイッチが運転席から遠い事だ。

ハザードを押そうと思うと体を少しシートから離さないと届かないのだ。

日常的に使う中では我慢できるのだがサーキット走行を想定した場合は別途ハザードスイッチを近くに取りつけるなどの処置が必要になってくるかと思う。

この辺りのあともう一歩とどかない使い勝手に関してはほとんどがコストカットの都合上仕方ない部分が多いので我慢できないことは無いがこういった部分は情報として知っておいて欲しいと思う。




総評

以上が私がスイフトスポーツに乗ってから3ヶ月で感じたことである。

当然デメリットもあるのだがそれを補って有り余る走行性能の楽しさは筆舌に尽くし難く、何物にも変え難い。

本当に頑張ってお金を貯めて買ってよかったと思っている。

少しでもこの車の購入を考えている方の参考になれば幸いである。


またこういったスポーツカーが再び国内市場で盛り上がりつつあるのはひとえにトヨタ86及びスバルBRZの存在があるおかげなのではないかと筆者は考えている。

日本を代表する大手メーカーにFRスポーツカーがあるおかげで他のメーカーもスポーツカーを出しやすくなっているのではないかと思うのだ。

車好きとしてトヨタ・スバルを初めとしてこの時代にスポーツカーを作ってくれているメーカーには本当に感謝している。

当然新車を買えるようになった今、スイスポを作ってくれたスズキには感謝してもし足りない。

スイスポはいいぞ!!

これからもスイスポと共に良いカーライフを送っていきたいと思う。

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