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痛みから逃げる

人間はあらゆるものから逃げる権利がある。 白旗をあげたり、しっぽを巻いたりして、その場を置いて、逃げる権利とか負けを認める権利がある。 けれども、痛みから逃げることは出来ない。 強い痛みを感じたら、痛みから逃げるのではなく、生活のいろいろな手間から逃げて、ベットで養生するしかない。 少しでも痛みがおさまるように。 私はそれをする度、自分が生活のいろいろな手間の方から逃げたくて、痛みを言い訳にしているのではないかと思ってしまう。 痛みは目に見えないからだ。 少しでも目に見え

    • 「重力の腕」

      「重力の腕」はほんとうにある。 わたしがそれを明確に感じとったのは小学生のころだったと思う。まだそれを「重力の腕」とよんだりはしなかったけれど、あれはいま思えばまぎれもなく「重力の腕」のしわざだ。 母はそれを「アンネ」と呼んだ。わたしは「アンネの日記」が好きだったし、母はかなり昔の人だったから、生理のことをアンネと呼ぶのはなにもふしぎではなかった。 大人の仲間入りをしたという気がして、わたしもアンネと同じになれた気がして、はじめはとても嬉しかった。わたしが「重力の腕」を感じ

      • よく見かける「ふしぎなひと」

        わたしがかよっている作業所は、車で自宅まで送り迎えをしてくれる。作業所とは文字どおり作業をするところなのだけど、かよっている人は、まずまちがいなく、精神疾患や発達障害などをかかえている。 わたしもそのようなものをかかえているが、今回の話にはあまり関係がないので、とくに説明することはない。 作業所のおくりむかえの車でいっしょになる、「ふしぎなひと」がいる。 わたしははじめ、そのひとに熱烈な視線をおくられているのかと思ってしまった。 そのひとは完全にわたしをみつめて

      痛みから逃げる