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帰ってきた対面アポイント、その(若手の)お作法

コロナ禍が明けてから「アポイント」が苦手になったという若手(字面がややこしい…)の方、いませんか?
営業は足で稼げ!とにかく会いに行け!というのは昭和のスローガンですが、コロナ禍以降、ビジネスコミュニケーションはオンラインがあたりまえになりました。
それ以前の世代にとっては結構なパラダイムシフトでしたが、一応「コロナは落ち着いた」と言われてはや一年、マスク姿が減ると同時に、対面の打ち合わせや会議、プレゼン等々、だいぶ戻ってきました。
それへの賛否はさておき、急に増えた社外との対面イベントにちょっと戸惑っている、というあなた。
無理はありません。
対面の方が、若手がしなければならないことがたくさんあるからです。

オンラインにはない準備や留意点を知らないと、抜けてしまうことはいろいろあります。
でも、コロナ禍のさなかに社会人になって、対面アポイントの作法を教わる機会がなかったんですけど?でも今更訊きにくいんですけど??というあなた。
あなたのために、対面アポイントの超ベーシックを置いておきます。
もっとも、具体的なマナーは書籍でもネット記事でもきちんと整理されて紹介されていますから、それらを勉強して身に付けるのが最善です。ここで書くのは「とりあえずの、若手の立場に限定した、経験則からの」ヒントです。


事前準備

準備段階は、基本的にすべて若手が行います。そのこと自体はオンラインでも同じですが、準備の項目が多くなります。
訪問側の場合、オンラインになくて必須なのは、移動経路と移動時間の確認です。急な電車遅延や渋滞もあるので、余裕を持って到着するように、場合によってはプランBも考えておくと万全です。また、タクシーなら時間通りに呼ぶ手配、公用車なら運転手への住所連絡。相手先と合流するまでの案内、移動の手配はすべてあなたの仕事です。ちなみに、移動時間を含めて同行者の時間を確保しておくことも忘れずに。
訪問を受ける側としては、受付への来客登録会議室の手配。お茶の準備が必要なこともあります。プレゼン等なら機材の手配も。機材の動作確認はアポイント時間までにしておきましょう。

到着・ご案内

当日のスタートは受付です。例外として、すごく偉いお客様の場合は、お迎えする側が玄関でお待ちしてご案内します。当然受付はスルー。
普通のあなた(!)が訪問する場合は、まず受付に向かいます。無人受付で内線が置いてあったり、担当者に電話してと書いてあったりすることもあります。有人の場合は「何時に誰宛て」のアポイントかを伝えます。何か書かされることもあります。その後、「●階へ行ってください」とか「担当者が迎えに来るのでお待ちください」とか案内されます。
相手先の担当者と会えたら一息ついてOKです。この後は、ホストである相手方に従い、あるいは上司の真似をしていれば大丈夫。
受け手側は、受付に迎えに行くなら受付で、直接フロアに来てもらうならエレベーターホールで、お客様をつかまえて会議室などへ案内します。顔が判らない場合は声を掛けて確認しましょう。アポイントの時間はだいたい似通っているので、大きなビルや会社では違う人をつかまえてしまうこともありえます。
自社側で同席する人たちには、受付から連絡が来た時点で声を掛け、先に会議室に行っておいてもらうとスムーズです。なお、夏や冬には事前に会議室の空調を調整しておくと相当デキる感、もとい歓迎している感が出ます。

名刺交換

会議室に入ったら名刺交換です。上位の人から始めます。例えば、双方とも部長・課長・自分というラインナップなら、自社の部長と先方の部長がまず名刺交換します。
身内側の動きとしては、次に課長が先方の部長に名刺を出します。次が自分と先方の部長です。相手側も同じ動きをしていますので、部長同士の後は入り乱れて同時に交換したりします。
ただし、一部の人だけ面識がある場合は、その人が上司→部下の順に自社側を紹介していきます。
いずれにしても、自社側が複数人いる場合、(自分だけ相手方と面識がある場合を除き)若手はここで場を仕切る立場ではありませんので、安心して上司たちに倣いましょう。自社側が自分だけの場合は、紹介されてもされなくても、相手先の上位者から順に名刺交換すればOKです。
相手方と自分側という観点では、先に名刺を出すのが丁寧とされます。若手はとにかく相手より先に出そうとすれば問題ありません。
受けとった名刺の置き方などはいくつか作法がありますので、相手方や上司の真似をしておくのが無難です。

着席

プレゼン等で席次が決まっている場合を除き、その場で判断します。
まずは、訪問側と受け手側がそれぞれ部屋のどのサイドになるか。検索すれば山ほど出てきますが、ざっくり言うと入り口から遠いほうが上席=訪問側です。ところが入口の正面が大きな窓になっていたりすると、眺めがよいということで訪問側に手前を勧めることもあります。また、テーブルの位置や形、椅子の配置が特殊であるとか、使用する機材の位置を勘案する、脚の悪いお客様に敢えて手前に座っていただく、など無限の応用編があります。でも、安心してください。来客席をどちら側にするかは受け手側がどの席を勧めるかで決まりますが、これはだいたい上司や先輩がやってくれます。
テーブルのどちら側かが決まったところで、各人の席がどこになるかは、逆に訪問側の動きで決まることが多いです。訪問側の最上位者が座ったら、その正面に受け手側の最上位者がきます。以下同様です。
ともあれ、一番の若手はいずれにしろドアに一番近い位置で、全員座るのを待ってから着席してもおかしくないので、焦る必要はありません。

用件中

オンラインだと通信の調整・不具合など若手が対応したりしますが、空調が暑すぎる・寒すぎるなどその場の不具合に対応するのは対面でも同じです。自分がメインで話しているのでなければ、そうした用件で席を立つことは何も問題ありません。すっと立ってすっと戻ります。長く部屋を出るような場合は筆談で上司に伝えましょう。
なお、メモ取りはオンラインの場合よりあからさまに相手に見えるので、そちらに集中しすぎない方がかんじがいいです。キーボードの音にも注意です。

退出・送り出し

用件が終わったら、入口の近くにいる、受け手側の若手が入り口のドアを開けます。開いたままにできるドアなら開け放してエレベーターを呼びに行きます。閉まってしまうドアの場合は支えておいて、全員出てからエレベーターを呼びます(追い抜いて構いません)。エレベーターが来たら扉を押さえて訪問側に乗ってもらい、全員乗ったらお辞儀をして送り出します。丁寧なお作法としては、ドアが閉まり切るまで頭を下げておきます。さらに丁寧な場合は、一緒に一階まで行って玄関でお見送りすることもあります。
訪問側の場合、エレベーターには若手が一番に乗って「開」ボタンを押し全員乗るのを待ちますが、上司同士の会話が続いていて終わらないことがあります。ブチ切ってしまわないよう、頃合いを見計らって閉めましょう。

番外編:遅刻

オンラインにはあまりないのが「遅刻」です。電車遅延や渋滞、前のアポイントの都合でどうしても間に合わないという場合、訪問側はできるだけ早めに連絡を入れます。時間になってから、ではありません。また、こういう緊急の連絡は、確実に伝えるために電話が安心です。
逆に、受け手側の都合でアポイントの時間を遅らせる、というのは基本的にはありえません。訪問側はもう来てしまっているからです。上司が遅れるなら、その間、部下が雑談をするなどして間を持たせておきます。


そりゃそうでしょ、というものばかりだったかと思いますが、逆に、こんなことでも「お、この若手はちゃんとしてるな」と相手側にも自社側にも思ってもらえたりするものです。焦って抜けたり間違えたりしても、「これ本当は知っていた」だけで落ちつけることもあります。この中に一つでも、そんなお守りになる情報があればうれしいです。

おまけ
トップ画像をつくろうとCANVAで素材検索したら、いらすとやさんの絵が出てきて、「いまやこの絵を目にしない日はない、全日本国民が知っている、あのいらすとやさんの絵を自分の記事に使えるのか…!!」とド素人の昂奮が止まりません。