紫陽花は好きだけれど、花言葉が「移り気」だから家で育てるとその家庭の色も変わっていくよ、と母親に教えてもらったことがある。それから、知らない家の庭に咲いてある紫陽花を見ると勝手に不安になってしまっていた。 でも、どうだろう。 花言葉がただ「移り気」なだけで、悪い方にばかり向かうわけでもないんじゃないかなって思えるようになった。 だって、良い方向にだけ進める人なんていないじゃないか。 それに、私が育った家には紫陽花は咲いていなかったけれどコロコロと家庭の色は変わっていった。
親になると忘れがちになる。自分が一体、何を好きだったってことを。 ほんの少しでさえ時間が空くと、スマホを見てしまう習慣が付いていた。 たとえばLINEの確認（通知が来ていないのは分かっているに）、ネットニュース、漫画アプリ、SNS...。 ポチッと押すだけでそこにはたくさんの情報が溢れていて、時間を潰すにはもってこいだった。所謂、スマホ依存症。 言い訳にはなるが、私がスマホ依存症になってしまった理由としてひとつ挙げられるのが子育てだ。 子供を産む前の趣味は読書やゲーム、映
久しぶりに、切りたいと思った。切るのは、自分の腕だ。 初めて切ったのは高校生のときだった。 突然、なんとも言えない不安感に襲われ、夜だったにも関わらず気が付いたらコンビニでカミソリを買っていた。 自宅に戻って、刃を腕に立てた。スーッと引くと、不思議と心が落ち着いた。 思い返せば私が自傷行為を知ったのは、小学生の頃だ。 クラスにひとり、自傷行為をしている女の子がいた。 「今日はここ切っちゃったの」と彼女はどこか愉悦な表情を浮かべながら、包帯が巻かれた手首を私に見せたのだった
