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合気道に学ぶプロダクトマネジメントの5つの極意

これは hey Advent Calendar 2021 16日目のエントリーです。

こんにちは! hey 株式会社STORES 決済 というプロダクトのプロダクトマネジメントをしている永嶋 ( @_nagacy ) です。hey で働き始めて(前身の Coiney から合わせて)3年半になります。

そういえば、最近エンジニアと対談の記事が上がっているので、よかったらみてみてください!

対談記事で仕事っぷりの話はしてしまったので、本エントリーは私の趣味エントリーとなっています。大層なタイトルをつけてしまいましたが、どうぞ肩の力を抜いて軽い気持ちでご覧ください。


今日は合気道とプロダクトマネジメントについて書きます。

2年ほど前、ひょんなキッカケから当時保育園児の息子と一緒に近所の道場で合気道を習い始めました。最初は親子コースで一緒に軽く身体を動かしていただけだったのですが、だんだんと自分が楽しくなり、しばらくして大人も受けられるコースに変更し、本格的に稽古を始めました。

それがちょうど今年の1月ですので、そういう意味では2021年をふりかえるエントリーとして適切ですね!ちょうどいい!

稽古を続ける中で「合気道の考え方って、実は仕事にも活きるところがあるなぁ」と思いはじめ、師範にこの話をしてみたところ、理解の方向性としては概ね間違っていなさそうだったので、こうして文章にしてみました。

# 合気道とは

私が「合気道とは」を書くなんておこがましいので、まずは Wikipedia 先生から。

合気道(あいきどう・合氣道)は、武道家・植芝盛平が大正末期から昭和前期にかけて創始した武道。植芝盛平が日本古来の柔術・剣術など各流各派の武術を研究し、独自の精神哲学でまとめ直した、体術を主とする総合武道である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%88%E6%B0%97%E9%81%93

古武術などの流れを汲んでいる動きもありますが、始まり自体は意外と近代の武道です。

私が現在通っている「塩田合気道場」の師範・塩田将大先生(以下、マサ先生)のおじいさん、塩田剛三先生は、上記の合気道開祖・植芝盛平先生の高弟で、小柄な体格ながら「不世出の天才」と高く評価され、「現代に生きる達人」とも謳われた方です。漫画『グラップラー刃牙』に登場する柔術家・渋川剛気のモデルとしても有名な方です(動画はたくさん上がっているのでぜひ見てみてください)。実は業界ではかなりの有名人でして、はじめは近所で通いやすいというだけで軽い気持ちで道場を選んだのに、どうやらすごい道場に来てしまったようです…!

ところで、合気道って、よくわかっていない人から「触れずに相手を投げ飛ばすなんてインチキなんじゃないの?」とか「実践的じゃないので他の武術より弱いんでしょ」みたいに言われたりすることがあるようです。

無論、合気道は決してインチキなどではありません。人間の心理や体の特性を活かした、理論と原理に基づく武道です(ネット上には思わず失笑してしまうガチのインチキ動画も存在しますのでご注意を)。また、そもそも合気道は武術ではなく武道であって、他人と競ったり戦って相手を倒すものではないので、実践よりも身体の使い方や考え方みたいなところが非常に大切です。

なお私の師であるマサ先生は、道場や海外でお弟子さんに合気道を教えるだけでなく、現代合気道界についてもいろいろ考えていて、合気道を広めるために幅広く活躍されている方です。異業種コラボなど Youtuber としての発信もしているなど、非常に面白い試みをしているので、動画に興味のある方はチェックしてみてください。

武道ってなんか堅そう…みたいなイメージがあるかもしれませんが、彼は、めちゃくちゃ気さくて、子供たちからも愛される、ナイスガイです(こんな書き方して怒られないかな)。


# 合気道の極意とプロダクトマネジメントの極意

ようやく本題です。私が合気道を学びなら、感じたことを、いくつかキーワードと共に紹介しながら、プロダクトマネジメントにこじつけていきたいと思います。

## 【極意1】まず身体の繋がりを作り、力が伝わりやすい状態を作る

合気道の極意は何よりも、合気です。なにかというと、呼吸と身体を相手と合わせるということです。合気道は、小さな力で他人を動かす武道です。小さな力で動かすためには「力が伝わりやすい状態にすること」「相手に反発させないこと」が必要です。そのためには、相手と自分がひとつに繋がる必要があります。

たとえば誰かに腕を掴まれたとします。その際、強い力でがっちり掴まれていると、振りほどこうと思ってもなかなかうまくはいきません。ところが、相手の掴んだ手と肘と肩とを直線で結んだ方に力を加えると、肩が詰まり、相手の踵がひょいっと持ち上がる角度があります。この状態が「繋がっている」状態です。掴みにいった側は掴んだ手を押されている感覚ではなく、力が腰に響いているのが感じられるでしょうか。文字だけだとちょっと難しいですね。

相手と繋がっていない状態では、こちらがいくら力を加えても動かすことはできません。抵抗した力が逃げてしまうし、掴まれた力の方が強く、相手に抵抗されてしまう。

ところが、一度身体が繋がると、非常に効果的に驚くほど小さな力で自分より大きい相手の体制を崩すことができます。一度崩してしまえば、あとは横に動かすなり倒すなりが可能になります。相手と繋がっている状態を作るというのは、合気道における『一丁目一番地』と言えるでしょう。

仕事でも同じ状況があるなと感じることがあります。チームビルディングや関係性の構築と言われるような領域です。

例えば、こんな経験はないでしょうか。

あなたはプロダクトマネージャとして、ユーザのために今すぐ解決してあげたい大きな課題を見つけました。すぐさまデータ分析とヒアリングを繰り返し、本質的な課題に辿り着き、ソリューションを考案。気合を入れた資料を作り、満を持してみんなを集めて熱の入ったプレゼン。

熱の入ったプレゼン

ところが・・・なぜかみんなはぽかーん。

絶対にいける!と信じて語ったプレゼンの空振りに焦って、隙間を埋めるように言葉を重ねれば重ねるほど、みんなの表情はよりいっそう固まっていき、意見を募ってもメンバーからは反応や質問は起きない…。

どうしてでしょうか。

この状況は、まだあなたとみんなが繋がっていない状況なのです。あなたのアイデアが悪いのではない、分析が悪かったわけでもない。伝え方、もっというと、伝える前のお膳立てが足りていないのです。

プレゼンの極意として、とにかくツカミが大事だと言います。

メンバーが「なるほど今からこういう話をするんだな、さあ聞くぞ」、という状況をまず作り、その状態から話を始める。課題定義に関しても自分ごとと捉えられるような例を示す。こうすることで、あなたの力は最小限で伝わりやすくなることでしょう。最小限の力でよいので、余計な力みもなくなり、より効果が高まります。

合気道においても、プロダクトマネジメントにおいても、他者との「繋がり」をまず意識する。これが非常に大事なことだと考えます。

# 極意1
- 合気道ではまず相手と「繋がること」が大事
- プレゼンの際も聞き手との「繋がり」を意識しよう

## 【極意2】後の先を取る。相手に合わせ、相手の力を利用する

まず、繋がることが大事だと書きました。では、どうすれば繋がることができるのでしょうか。それは「先に動かないで、相手の動きをよく観察すること」です。

先ほど、掴まれた腕の繋げ方の話をしましたが「やってみたけど全然繋がらなかったんだけど…?」というあなた、おそらくそうだと思います。私も最初は全然わかりませんでした。先ほどのはあくまで一例でして、身体の繋ぎ方は一通りではありません。合気道の動きには大きく分けて「表」「裏」の動きがあります。

「表」 - 入身で相手の死角に踏み込み、相手の体制を崩すこと
「裏」 - 転換で相手の背後に回りこみ、相手の体制を崩すこと

これだけではよくわからないですね。

簡単にいうと、「表」は相手に引っ張られる力を利用し、「裏」は相手に押される力を利用します。

引っ張られる力にこちらも引っ張る力で反発すると、力の強い方が勝ちます。あなたが力自慢であればそれでいいでしょう。ですが、相手の力が強いのであれば、あなたは負けてしまいます。そこであえて、相手の引く力に乗ってあげます。そうすると、相手は力が空振りしてしまうため、隙ができます。その隙に身体が繋がる方向に体制を変えます。

押される力もロジックは同様です。押される力に反発すると、力と力のぶつかり合いになってしまいますね。そこで、回転します。すると、相手の押す力が空振り、前のめりになり隙を作ることができます。

これは一瞬のことです。ここのポイントは「相手が動きたい方向逆らわずに一緒に動いてあげる」ということです。

例えば、これがプロダクトマネジメントだとどうでしょうか。

仕事は一人で進めることはできません。たくさんの人がいる中で、全ての人が全く同じ考えであることは少ないでしょう。メンバーがやりたいことと自分がやりたいことが少し違っていて当たり前です。その際、まずあなたが強い意見を言ってしまうと、相手は構えてしまいます。あなたの立場が下である場合、相手は発言を潰しに来るでしょう。あなたの立場が上の場合、相手は我慢してしまうでしょう。そして対等である場合は、対立が起きてしまうでしょう。

対立

もしあなたがどうしても実現したいアイデアがあるのであればなおのこと、まずメンバーの意見を聞くべきです。それは力の御し方みたいなテクニックの話もありますが、それ以前に、一度聞き役に回ることであなたが気づいていなかった新たな気付きをもらえ課題の本質に気付かされることも多いでしょう。思い込みで行動しなくてすむというメリットもあります。

メンバーは押したいのか、引きたいのか、それを知った後、後の先であなたはその力の方向に力を添えてあげればいいのです。解くべき課題の方向性さえ一致していれば、目指すところは同じのはずなので、表から行こうが、裏から行こうが構わないですよね。お互いが気持ちよく、物事を進められると良いですね。

# 極意2
 - まず相手が動きたい方向を見極めることが大事
 - 反発するのではなく、その方向に力を添えてあげよう

## 【極意3】脱力、脱力、脱力、でも強い姿勢で

合気道のもう一つ大事なポイント、それは「脱力」です。

私自身もよく指導されるのですが、合気道初心者のよくやってしまう間違いとして、相手と繋がる部分(主に「手」になると思いますが)をぐっと力を入れてしまいます。合気道では相手に技をかけたい場合、強く握ったり、触れている部分に力を入れるとうまくいきません。フェザータッチ(マサ先生には「赤ちゃんやおばあさんを触るようなやさしい手で」と表現されます)が大事なのですが、全然うまくできません。

強い力で持ってしまうと、持たれた相手もこわばってしまい、反発が起きます。優しく触れることで、相手の反発も減らすことができます。また、自分自身の力を手先ではなく、全身を使うことができるようになります。そのためには「強い姿勢」が必要です。強い姿勢は、背筋を伸ばし、自分の身体が地面と繋がった状態を意味します。

この「持つところは優しい力で」「強い姿勢を保つ」のは力を効果的に伝えるのに重要なコツになります。ちょっと話が逸れるのですが、最近、合気道から派生していろんな武道に興味を持ち始めたのですが、どうやら「ジークンドー」でも「ウェイブ」でも「システマ」でも、「脱力」と「強い姿勢」は非常に重要なようです。上腕筋より、僧帽筋や大腿筋の方が大きく、強い筋肉ですからね。全ては繋がってるんだなぁと…。ついでにもっと逸れると野球の落合博満選手って、身体の使い方だけ聞くと実は野球選手じゃなくて武道家なんじゃないかって思いはじめたり、、、逸れすぎですね。戻ります。

プロジェクトマネジメントとプロダクトマネジメントの大きな違いとして言われることとして、プロジェクトマネジメントは「どうやって終わらせるか」にコミットするかに対して、プロダクトマネジメントは「どうやって継続するか」にコミットすること、みたいに言われたりします。

継続するためにプロダクトマネジメントにとって大事な視点は、「中長期視点」です。

中長期視点

「そもそも短期の成功を積み上げないと中長期もなにもないでしょ」というのは確かにその通りです。そういう意味では、プロダクトマネジメントはプロジェクトマネジメントの積み重ねであるともいえます。(私自身はプロジェクトマネージャ出身ですから、プロジェクトマネジメントの重要性は十分理解しているつもりです)

しかし、中長期で意味のないことをいくら短期で実現しても、それはやはり意味のないことです。有限のリソースの無駄遣いとも言えるでしょう。プロダクトマネージャの責任として、「いま手がけていることが短期に力を入れて本当に達成すべきことなのか」、中長期視点を持ってジャッジする必要があります。

もちろん、未来のことはわかりません。中長期で本当に意味がないかどうかなんて誰もわかりませんが、少なくとも、中長期で実現できている未来をイメージすることは、事業・プロダクトとして「強い姿勢」を作ることになると考えています。強い姿勢・強い力(中長期視点)を持ち、脱力(短期成果に拘らない)することが、プロダクトの継続の道筋だと考えます。

# 極意3
 - 強い姿勢をとって、脱力することが大事
 - 短期成果のみに拘ってはいけない。中長期を意識しよう

## 【極意4】力点より作用点を意識する。動かす対象の構造を理解する

先ほど、脱力と姿勢の話をしました。これは、その力をどのようにかけるのか、という話になります。

脱力と近い話をしているのですが、相手を崩したいときに、持っている部分に力を加えてはいけません。力を加えるときに強く意識する場所は「相手が崩れる先」になります。

たとえば、「四方投げ」という技があります。

四方投げで相手を崩す寸前の形で、投げるときに大事なポイントは、持っている手を腕で力づくで下に落とすことではありません。ポイントは、相手の足と足を踵の方に直線を引いて三角形で結んだ頂点になります。そこがもっとも力が効きやすいポイントです。実際には腕を「えいっ」てするのではなく、倒れた先のポイントに、下半身を使って全身で連れていってあげるようなイメージです。相手は、「投げられた」ではなく、そこにしかないポイントに「崩された」ような感じになります。

全然よくわかんないですよね。

「力点」「支点」「作用点」って覚えていますか?昔理科の授業で習った、テコの原理です。

テコの原理

これは完全に私の独自解釈だとおもうのですが、合気道の力の掛け方は「テコの原理」に非常に似ているのではないかと思っていたりします。ただし、テコには「力点」「支点」「作用点」がありますが、合気道の場合は、前述のとおり「力点」に力を入れてはいけません。繋がりにより「支点」を作ったのち、脱力しながら強い姿勢で「作用点」に強く意識を持ち、「力点」を押さえます。

実際には力を加えるのはもちろん「力点」でしょう。ただ「意識を流すことで力が流れる」という表現をされたりしますが、これは「作用点」を強く意識することだと解釈しています。結果をイメージすることで、効果が大きく変わります。

プロダクトに置き換えてみます。

プロダクトを運営をしていると、 KPI というものを強く意識するでしょう。例えば、ユーザにメルマガを配信する施策があるとすれば、 KPI は「開封率」「クリック率」「コンバージョン率」こういったものになるかと思います。

その際、大きな組織ですと、分業がされ、担当ごとにミッションが異なることから、自分の持っている KPI のみを意識することになってしまいがちです。ただし、ここに大きな罠があります。「コンバージョン率」のような KPI は、あくまでその大上段の「事業が達成すべき数字」のいちパラメータにすぎません。

KPI ツリーというものを聞いたことがあると思います。 KGI はビジネスゴールを定量的に示す指標です。そして KPI はそのビジネスゴールを達成するための要素を分解した指標となります。 KPI はさらに細分化され、KGI = KPI × KPI 。その KPI がまた KPI = KPI × KPI 、のように多段になり、さながらツリーのように表現されます。

KPIツリー

とある申し込みフォームの CVR 改善施策があったとします。そしてあなたはそのフォームの改善担当です。当然、目標に「CVR ○○%改善」というものがあるでしょうから、少しでも改善するための施策を練ると思います。

CVR をいたずらに上げようと思うのは簡単です。項目を限界まで減らせばいいのです。ただ、そうするとどうなるか。まず、申し込みリストの精度が下がります。リストの精度が下がるということは、そのリストの精査にコストがかかります。結果として、本当に登録が必要な人に手が回らなくなり、登録完了率が下がる可能性があります。結果として、事業として大切であったユーザ数が目標達成できなくなることがありえるかもしれません。

これくらい簡単な例であれば、「普通そんなことしないでしょ」と思いますよね。そうだと思います。ただ、実際はもっと複雑です。あらゆる人が自分の持っている KPI に対し達成すべき KGI がなんであるかを常に意識できているとは限らないのではないでしょうか。

目的は相手の握った手を少し動かすことではありません。相手の身体の構造を理解し、制することです。持っている KPI が何の KGI を達成するための要素であるのか、どのようなツリー構造になっているのか、この KPI の達成の仕方が KGI に寄与できるのか常に意識し、 KGI(作用点)に効くように KPI(力点)に力を流すことが大事です。

# 極意4
 - 作用点を意識し、力点に力を加えることが大事
 - KPI ツリーを意識し、KGI に効く施策を打とう

## 【極意5】応用は基礎の組み合わせ。型そのものではなく意味を理解する

合気道にはさまざまな流派があります。流派によって若干の違いはありますが、塩田合気道では「構え」「体の変更」「譬力(ひりき)の養成」「終末動作」と言った基本の型というものがあります。あらゆる技がこの基本の型の組み合わせによって構成されているため、技を覚える前にまず基本の型を体に染み込ませる必要があります。これらを鍛えることで、強い姿勢が作れるようになります。ただ、この型はただ形を覚えれば良いのではなく、重心・角度・流れ・体の角度・意識など、自然な動きができるようになるまでは頭で理解するだけでは足りません。体で覚えるために繰り返しの鍛錬が必要になります。

新しい技を学び、試してみようとしたとき、だいたいうまくいかない原因はこの型が崩れていることにあることが多いです。その時は、また基本の型に戻って鍛錬を繰り返します。

特に力の入れ方・抜き方は、繰り返すことである日突然「あ、もしかしてこうかな?」みたいなものが少しずつわかってきます。知ったようなことを書いていますが、まだまだ全然わかりません。とにかく、型を自分のものにするためには繰り返し練習を重ねるしかありません。

一方、プロダクトマネジメントにもいろんなフレームワークがあります。数年前までは、国内ではそもそもプロダクトマネジメントはその名称すら認知度が低く、ノウハウも全然流通していませんでした。最近ではいろんな方の知見や経験などが各所書籍・ブログ・スライド等でまとめられており私達はすぐにその情報を手に入れることができます。

しかしながら、私たちは完成されたフレームワークをその通りに利用させていただくことが多く、先人達が自分たちの経験の中で生み出したフレームワークが、なぜそうなっているのかを知る機会はそう多くありません

フレームワークはよいプロダクトを作るための方法論ではありますが、良いフレームワークがあれば必ずしも良いプロダクトが作れるわけではありません。無数の課題・無数のプロダクトがある中で、全く同じ条件下でプロダクトを作ることはほぼないでしょうから、自分たちの取り組んでいるプロダクトの性質・フェーズ・ユーザ・チーム、あらゆる条件が相対的に影響してきます。そういう状況においては、より良いプロダクトを作るためには巷に溢れているフレームワークを大量に振り回すよりは、ひとつずつ、自分に合うものを見つけ、試し、失敗し、改善を繰り返しながら、自分なりの型を作っていく必要があります。一朝一夕で自分たちの型を作り出すのは難しいことだとは思いますが、遠回りを覚悟し、失敗を繰り返すことが、結果として近道の可能性もあります。

そのためには、あらゆる施策において、基本の型である「観察」「状況判断」「意思決定」「実行」を繰り返し、打ち手の精度を上げていくしかありません。まぁ、これもフレームワークなわけですが。応用は基本の組み合わせなので、これは、至極当たり前の話かもしれませんね。

# 極意5
 - 型(フレーム)はただの知識ではなく繰り返しの鍛錬の中で身に付くもの
 - 失敗を繰り返して、自分なりの型を作っていこう

# まとめ

アドベントカレンダーの息抜き回として、合気道に対するお気楽な趣味投稿をしようと思って書き始めてみましたが、思った以上にプロダクトマネジメントの話になってしまいました。

【極意5】のところでも少し書きましたが、私自身はプロダクトマネジメントに対する「かくあるべき」が体系が急速に整備されていく昨今に、少し不安になることもあります(体系化そのものは非常に重要だと思います)。それは、上辺だけで知識をいくらつけても、そのままでは業務の役には立たないだろう、という思いからです。そこには先人のナレッジの背景まできちんと理解すること、そして、プロダクトをどうしたいんだという強い想いと、そのためにあらゆる手を駆使してでも実現させるという強い意志、これが必要だと考えています。

今回、趣味の合気道にこじつけて【極意】なんて偉そうに自論を展開しましたが、もちろん合気道を代表するものでもないですし、プロダクトマネジメントを代表するものではありません。プロダクト開発に関わるそれぞれの方がそれぞれの自分自身の型を持ち、自分なりの【極意】でプロダクトをより良い方向に導いていくことができれば、世の中によいプロダクトがたくさん溢れ、よい世界になるだろうと信じています。

# さいごに

hey では一緒に働く仲間を募集しています。全職種で絶賛募集中ですが、特にプロダクトマネジメントは仲間が足りません。急速に拡大する市場・環境で、やるべきこと、やりたいことがある方にはチャンスのある領域だと思っています。興味のある方はぜひお声がけください。

また、このエントリーを通じて、合気道に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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