境界性人格

母親に、「自分は境界性人格障害だという自覚はあるのか」と深夜に言われてしまい、少し口論になってしまった。わたしには全然自覚がなかった。というか、そんな話を主治医から聞いたことがなかった。多分、言わないほうが治療上良いと判断されたのだろう。はぁ。こんなタイミングで聞くなんて、思っていなかった。母親によると、歴代の主治医の誰かから伝えられたと言われた。問いただしても、どの主治医が言ったのかは教えてくれなかった。それはお前に関係ない、と切り捨てられてしまった。わたしのことなのに。そもそもこれは母親が作った嘘なのだろうか?けれど、境界性人格のことを調べれば調べるほど、自分の今までの言動にピッタリとはまっていく。この感覚は、気持ちが悪かった。

慢性的な空虚感、見捨てられ不安、必死な引き留め、自己と他者との関係の不安定さや線引きの下手さ、激しい怒り、衝動的な行動(主に破壊)、過食、パパ活、リストカット、オーバードーズ…全部自分に当てはまる。悔しいくらいに。

小学生の頃から、時々自分の名前がわからなくなることがあった。そして大体その時は、自分の存在が世界から抹消されていた。自分がなぜ生きているのか、自分は一体何者なのか、それが一切わからなくなる。現実は歪んでしまう。周囲の動きがスローになり、ぼんやりとする。そんな感覚に、長いこと悩んできた。

ずっとずっと、人格を否定されてきたから、ひどく自分は空っぽなのだと感じている。何も楽しくない、何も上手くできない、自分は能無し。これはもう本当に幼い頃からあった。

わたしは、どこまで他者のスペースに入り込んでも良いのか今だにわからない。だからいつも失敗する。自然と人はわたしの周りから離れていく。家族でさえ、もうわたしとは関わりたくはないような感じだ。他者に裏切られたと思った瞬間に、リストカットやオーバードーズを繰り返すわたし。それを止めたいと思いながらも、強い強い衝動性によって、自分でした約束を守れない。わたしは本当に、ダメな人間だ。

人に対して、とても激しい怒りをぶつけてしまうこともあった。気に食わないことがあると、道端でも激怒した。特に家族に対して、それがひどい。自分が他者をコントロールできないと、ものすごい怒りと不安を覚える。その時の怒りは脳内のフィルターを通すことなく、口から溢れ出る。だから、後から後悔することが多い。人が離れていくたびに、わたしは死ぬほど後悔し、落ち込み、錠剤を流し込み、手首を切り刻む。

自傷行為を他者に見せつけることで、なんとか自分の存在意義を保っていた。保健室の先生や、友達、医者や看護師に手当されるたびに、安心することができた。医療行為をされると、嬉しい。点滴や胃洗浄、縫合、全部が、わたしを安心させてくれた。けれど、もっともっと、さらにひどく、と上を求めてしまって、わたしの病気を進行させていった。派手に自傷行為をしないと、もう誰もわたしのことを見てくれない、心配してくれない、見捨てられる、という焦燥が、本当に苦しい。もうこんなこと、やめてやりたいのに。でも、わたしはやめられない。

他者に対して、特に恋人に、わたしはものすごい盲目的なのに、変に冷静になる時がある。どんなにひどいことをされても、わたしは恋人が好きだし、見捨てられたくなくて必死になる。けれど、恋人の弱点というか、悪いところ、完璧でないところをめざとく見つけて、責め立てる。好きだと言ってくる割には、どうしてそんなに怒ってくるの?とよく喧嘩になっていた。

わたしは、他者に対して、理想を抱きすぎなのかもしれない。自分の居場所をくれて、未来永劫愛してくれる存在を求めている。母親からもらえなかった承認を、他者から求めている。

自分の歪んだ認知を、治したいと思っている反面、もう無理なんじゃないかとも思う。ずっとこの不安定さの中で生きてきた。今更変わったところで、もうどうやって生きていけばいいのかがわからない。

性格の欠陥って、どうしようもないんですか?

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