Absolution Gap読了ガイド(WIP)
Alastair Reynoldsの書く「啓示空間」の未訳の続編「Absolution Gap」を原語で読む上で役立つ知識をまとめています。
本書は紙、電子書籍ともにAmazonから手に入ります。
記事の前半は「Absolution Gap」前までの状況、後半に作中で描かれる状況を書いています。
私はまだ読み終えていないため未完成です。
Reynoldsの本の難しさは視点の転換と形容詞の多さにあるので、それを読み飛ばす、つまりひとつの視点を選んで読み、形容詞を飛ばせばそれなりに進むようになります。
Absolution Gapに先立つストーリー
「Absolution Gap」は啓示空間シリーズのうちThe Inhibitor Sequenceの3作目、「啓示空間」「量子真空」の直接の続編です。
以降、既訳の言葉は「啓示空間」準拠の日本語訳を併記します。
読めばわかりますが、訳者の中原尚哉は本当に良い和訳をしています。原語は普通名詞を使った固有名詞が多く、説明なしには意味を取れないような言葉に対して、うまく世界観にマッチした和訳をつくっています。
Ararat
「量子真空」のラストでNostalgia for Infinity号が到達し惑星Araratで展開されるパートです。
「量子真空」からは20年の月日が流れ、Araratの天体上には自活する植民地が築かれて、植民地生まれの若者も仕事につき始めています。
固有名詞および技術
# 種族および派閥
- Conjoiner: 連接脳派
- 脳内インプラントを介して集団意識をつくりだし、意識のあり方を変えた人類の一派
- 空間の電磁波を感知し、セキュリティの甘い電子機器を操ることもできる
- 人類世界でもっとも技術的に卓越している集団
- Demarchist: 無政府民主主義者
- インプラント技術により、政策を無意識下の投票で決定する人類の一派
- 連接脳派と戦争をしていた
- Inhibitor: インヒビター
- この世界でフェルミのパラドックスを作り出している自動機械。他の恒星系に知性の痕跡しか見つからないのは彼らのせい
- Wolf: ウルフもインヒビターの別名
- Jugglar: ジャグラー
- あちこちの海洋惑星に生息する藻
- コミュニケーションには成功していないがなんらかの知的な存在、もしくは有機機械らしい
- 海に入った物体の微細構造を調べて記憶する能力がある。そのためジャグラーの海に浸かる建造物は長持ちしない
- 人間の脳に能力や記憶を焼き付けることができる
- Pig: ハイパー豚
- 人為的に知能を向上させられた豚
- Ultras: ウルトラ族
- いわゆるサイボーグである人類の一派
- 近光速船の乗員をしていることが多い
# 技術
- Cache Weapon: 隠匿兵器
- 過去に連接脳派が建造した超兵器。星を破壊する威力がある
- 要素技術は破棄されたため現存する兵器群の奪い合いが起きている
- Nostalgia for Infinity号の乗員が過去に秘匿されているのを発見し、保有している
- Conjoiner Drive: 連接脳波製エンジン
- 巨大な近光速船を1Gで加速できる脅威的な性能の推進機
- 壊れると船ごと消滅する規模の爆発を起こす。作中でNostalgia for Infinity号のエンジンが心配されているのはこのため
- Cryo-Arithmetic Engine: 極低温計算エンジン
- 演算によって周囲の熱量を奪う計算機
- 局所的な熱力学違反を行なっていると説明されている
- Habitat: ハビタット
- スペースコロニー
- Inplant: インプラント
- 主に医療と身体機能向上の目的で体内に注入するナノマシン
- Lighthugger: 近光速船
- 相対論的速度で航行可能な巨大な恒星船
- 人類社会では連接脳派のみが建造している
- Servitor: サービター
- 人間に奉仕する機械、ドローン
# 場所
- First System
- 人類の故郷である太陽系
- 地球は氷河期の氷に覆われ、人類社会の時流に取り残されて久しい
- Resurgam: リサーガム星
- 孔雀座デルタ星の軌道にある植民惑星
- インヒビターの活動を誘発したことにより星ごと滅ぼされた
- 住民のほとんどはNostalgia for Infinity号によりAraratに運ばれて新たに植民地を築いて暮らしている
- Delta Pavonis: 孔雀座デルタ星
- 人類の植民地であるリサーガム星、ガス惑星のRoc星などを含む星系
- 中性子星ハデスとの連星系
# その他
- Melding Plague: 融合疫
- インプラントに感染し、その機能を暴走させる疫病。ナノマシン技術を使用した人間、建築物、宇宙船に対して致命的
- 船長とNostalgia for Infinity号が感染している
各パートの内容
ここからは「Absolution Gap」作中の内容を含みます。
Ararat 2675
前作では大破した近光速船Zodiacal Light号が修理のためResurgam星に残り、Nostalgia for Infinity号は先行してAraratに辿り着いた
そこから20年が経ち、Araratには自活するコロニーが築かれ、Resurgam星から脱出したおよそ16万人が暮らしている
一方のZodiacal Lightに残ったAna, Thorn, Remontoireは星間船の修理の間にHades星の調査を行う。その過程でThornは死亡するが、Anaは遺された娘Auraを経由してHadesの知識を得られるようになる。物理学の新領域に属する知識によってInhibitorに抗する兵器の製造が可能になる
Skade率いる連接脳派の船団がDelta Pavonisに到着し、Remontoireと交渉の最中にSkadeがAuraを強奪、Auraの知識を得たSkadeとRemontoireの両者はAraratへ向かう
Araratでは"船長"の活動(とはつまり、Nostalgia for Infinity号の随意的な活動)が活発化し、Antoinetteの前に船長が姿を現し言葉を交わす
登場人物と固有名詞
# Clavain側の登場人物
- Captain: Nostalgia for Infinity号の船長
- 融合疫に感染したウルトラ族だったが、船長の身体を侵す疫病が星間船全体に広がるのに乗ってNostalgia for Infinity号を身体とする存在に生まれかわった
- 太陽系出身。700歳
- Nevil Clavain: ネビル・クラバイン
- 連接脳派
- 過去に連接脳派が残した超兵器を独占すべきではないとして連接脳派を裏切った
- 太陽系出身。600歳
- Ana Khouri: アナ・クーリ
- Hades星調査の過程でAuraを授かり、娘を通じてハデス星の知識を得た
- Aura
- Anaの娘
- Hades星の知識に接続して?人類の手にしたことのない情報をもたらす存在
- Thorn: ソーン
- Anaの夫
- Hades星で死亡
- Remontoire: ルモントワール
- 連接脳派
- Clavainの盟友
- 連接脳派の主流と袂を分ちClavainと行動を共にする
# Skade側の登場人物:
連接脳派のうち、ClavainのもつCache Weaponを奪おうと追跡してきた3隻の近光速船の乗員
- Skade: スケイド
- 前作ではある人物に操られていることが示唆されている
# 固有名詞
- Hades: ハデス星
- Delta Pavonis(孔雀座デルタ星)と連星系をなす中性子星
- 実体は自身を構成する粒子で計算を繰り返す古代の計算機
- 内部には自身をソフトウェアに転換して移住した人間や異性種族が存在する
- hypometric weapon
- Auraの知識により製造された、物理学の新領域にもとづく超兵器
- bladder mine
- hypometric weaponの一種
- 物質を消し去るか何かする
Gnostic Ascension
近光速船Gnostic Ascensionのパートです
# 場面
- 2615星間空間
- anomaly: the largest gas giant in 107 Piscium they're approaching had simply ceased to exists
# 登場人物
- Quaiche
- Queenのお気に入り
- Queen Jasmina
- Surgeon-General Grelier
- body factoryを管理している
- Quaicheをライバル視している
# 用語
- body factory
- 人間の身体を培養する工場
- 身体にはQueenが入る?
参考リンク
啓示空間世界のwikiにAbsolution Gapのページもあり、おおよそのあらすじが書かれています。
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