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読書体験【本を守ろうとする猫の話】

本を守ろうとする猫の話
作者→夏川草介
発行→株式会社小学館

ここ数年、読むものといえばエッセイや実用書ばっかりだったから久しぶりに読んだ小説。
『神様のカルテ』などを書いてる夏川草介さんの本。

古書店を営む祖父と二人暮らしの引きこもりがちな読書好きの少年が祖父を亡くすところから物語が始まる。
そんな中、喋るトラ猫と出会い「本を助けてほしい」と依頼される。
少年「林太郎」とトラ猫の「トラ」と共に本を助ける冒険へと出かける物語。

第一の迷宮「閉じ込めるもの」
第二の迷宮「切り刻むもの」
第三の迷宮「売りさばくもの」

そんな本の扱いをしている者たちと対峙していく物語。
閉じ込めるもの、切り刻むもの、売りさばくもの
どれもが現代の本に対しての在り方を示唆しているようですごく興味深かったし、もしかすると自分もこんなことを本に対してしているんじゃないかと問いかけるような内容だった。

どの迷宮の主人たちも、その人たちなりに本を愛してて
歪んではいるけど、純粋に本を楽しむってことが出来なくなってしまった人たちなんだと思う。
私もそういう在り方でなく、純粋に本を楽しめる心を忘れず持ち続けたいと思えた作品だった。

終章の中で林太郎が本を勧めて、読むようになった同級生で学級委員長の柚木に
「読んで難しいと感じたなら、それは柚木にとって新しいことが書いてあるから難しいんだ。難しい本に出会ったならそれはチャンスだよ。」
「読みやすいってことは、それは柚木にとって知っていることが書いてあるから読みやすいんだ。難しいってことは新しいことが書いてある証拠だよ。」っていうセリフが印象的で、これは心に残しておこうと思った。
難しいと感じることはチャンス。これは読書だけじゃなく、他のことにも言えることだと思う。
難しいことに出会ったとき、それをチャンスだと、楽しめるようになりたいなって思った。

終章で、林太郎が古書店の玄関先でプランターに水をあげてるシーンも好きだなって思った。
今、電動自転車を買って前の自転車がまだ置きっぱなしになっているからそれを処分したら玄関先で花を育ててみたいなって思った。
こういう新しいことに興味をそそられるようになるのも読書のいいところだと思った。

この次の作品「君を守ろうとする猫の話」を本屋でよく見かけるようになって、読みたいって思い、どうせ読むならシリーズの最初から読みたいなって思って探し回ったかいがあった。
文庫しかなくて、文庫はあんまり好きじゃないから何店舗も回って文庫じゃないやつを探し続けて、なかったからもう読むの諦めようかと思ってたけどようやく見つけたときは運命だと思ったから買ったんだけど、やっぱり今の私にとってこれは読んでよかった作品になりました。

神様のカルテも本も映像も見たことなかったけど、一度体験してみようかなって思った。
誰かの本との出会いの参考になればいいな。


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