祖母への手紙その３-勧進帳のことなど

ケアハウスで暮らし、現在面会禁止中の祖母にときどき手紙を書いています。

おばあちゃん、元気ですか。こちらは気温が毎日２０度を越えて、半袖で過ごす日もあります。家の周りに蛇苺でしょうか、白い花がたくさん咲いていましたが、みんな揃ってかわいい赤い実になりました。前に山の植物図鑑を見ていたら蛇苺は食べられるようなことが書いてあったけれど、どうも美味しくはないようです。
東京の非常事態宣言からそろそろ１ヶ月、さらに５月いっぱいまで延長されました。新しい感染者数は減少傾向にあるようです。新しくインフルエンザの治療薬が認可されれば、収束も見えてきそうです。しかし楽しみにしていた大相撲の５月場所は中止とのこと、覚悟はしていましたが・・・がっかりしています。本来なら名古屋場所の７月が、東京場所に変更になるようです。いつだったか、おばあちゃんとお母さんが一緒に東京に遊びにきて、大相撲を見に行きましたね。あれは何月だったでしょう。５月だったんじゃないかしら。確か同じときに歌舞伎座で、勧進帳も見ましたね。あれより前に松本幸四郎（いまは松本白鸚を名乗ってらっしゃいますね）の弁慶に感動して、おばあちゃんたちにも見せたくて席を取ったのでした。ラッキーなことに、たまたま花道のすぐ横の席でしたね！幸四郎さんの飛び六方、おばあちゃんのすぐ横を駆け抜けて、汗が降る雨のようで、大迫力でした。確か冨樫の役は海老蔵のお父さん、團十郎さんでした。この５月に海老蔵が團十郎を襲名予定だったそうですが、これも延期になったそうです。そうそう、海老蔵さんは私と同い年なんですよ。彼の弁慶も見たことがありますが、そのときは幸四郎さんに比べるとまだまだだなあ、と思ったものです。團十郎になった海老蔵を、また一緒に見に行けるといいですね。京都の南座もいいかもしれません。
今日はお母さんからメールで、家の畑の苺の写真が送られてきました。今年もよくできたみたいですね。これからおばあちゃんのところへ持っていくと書いてありましたから、おいしい苺が食べられたことでしょう。苺もだけど、私はとうもろこしができて、送ってもらうのを楽しみにしています。その頃にはきっと、いつもの生活が戻ってきているでしょうね。
ではまた、手紙を書きますね。元気で、朗らかにね。　未知　令和2年5月４日