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祖母への手紙その2-新緑に思う

ケアハウスで暮らし、現在面会禁止中の祖母にときどき手紙を書いています。

おばあちゃん、元気ですか。今年の東京は桜の開花がすごく早かったです。山口よりも早かったみたいですね。もうすっかり散って、木々の緑が美しい季節になりました。桜もいいけれど私は、山の雑木林の中に自在に咲く山藤もとても好きです。初めて東北に新緑の頃に行ったとき、山の美しいのにびっくりしたのを覚えています。東北は落葉樹が多いから、緑が目に瑞々しいんですね。でも最近は、中国地方の常緑樹が多く、雑木林の様々な色の混じった山が懐かしく、美しく感じられます。あの色彩に溶け込むような藤の花、もうすぐ見られますね。
今は新型コロナウィルスの影響で自宅待機中、なかなか出かけられませんが、次に登りたい山のことなど考えて過ごしています。家にいるので、毎日3食、自分で料理しています。いつもはそうそうできないことなので、それなりに楽しんでいます。村上の両親がよく山口の野菜を送ってくれて、ちゃんと使い切るように頑張っています。この前は池田の叔母のところで取れた竹の子が入っていました。竹の子ご飯にして食べましたよ。スーパーで買ったものよりもずっと歯応えがあって美味しかったです。一昨日は白和えを作りましたが、胡麻をするときいつも、おばあちゃんが「これでいいと思っても、まだもっとする、油が出てねっとりするまで」と言っていたことを思い出します。多くの料理本には「胡麻の粒が少し残るくらいまで」と書かれていますが、私はおばあちゃんの丁寧なすり方を実践しています。ちょっとだけ入れるお酢も。
ゴールデンウィークの頃にはよく、山本の家の向かいの斜面で、蕗をとりましたね。あそこは今年は、誰かとる人がいるでしょうか。ライバルが少なくて太いのがたくさん育っているかもしれないですね。前の手紙に「5月に会いましょう」と書いたけれど、全国的に非常事態宣言が出て、今年は帰れそうにありません。でもほとんど出かけず家で過ごしているので、私の方は心配いりません。おばあちゃんのとこは面会が禁止になっていると聞きました。退屈かもしれませんが、体に気をつけて、なるべく明るい気持ちで過ごしてください。周りの人とおしゃべりして、食事もたくさんとってね。
ではまた、手紙を書きますね。仕事がストップしているので、手紙を書く時間はいっぱいあるんですよ! 未知 令和2年4月18日

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