冨樫義博氏に一言、言いたい。

どーもこんばんは。

久しぶりにハンターハンターを読んで感情が昂ったので、思った事を書くことにする。

もう何回読み返しただろうか。
軽く30回は超えると思う。

最初に読んだのは小学生の頃だったと思う。
初めて買って読んだコミックスは3巻。

当時の僕は何故か1巻ではなく、途中から買うという習性があった。
想像するに、1巻より3巻のほうが話が盛り上がってそう。
多分そんな理由だと思う。


しかも本命はI'sというちょっとエッチなラブストーリーだった。

小学生の僕にとっては大変な冒険であり、単体で買うには勇気が足りない。

その生贄としてハンターハンター3巻が選ばれたのである。

ハンターハンター3巻の下にI'sを忍ばせて死ぬほどドキドキしながら買った。

カモフラージュの為に買ったハンターハンターだったので、I'sを読み終えた後、
「そういえば、買ってたな」と思い出して
適当にパラパラと読み始めた。

そして、ものの見事にハンターハンター3巻にハマってしまったのである。

小学生の僕は大したお小遣いも持っていなかったので、お金が貯まるまでの間、ひたすらハンターハンター3巻を読み続けた。

その時の興奮は今でも覚えている。

手に鋼鉄を仕込んだマジタニ。
素手で肉を引きちぎるジョネス。
当時、小学生の僕はジョネスに震え上がった。

ジョネス、まじ恐ぇ…

そのジョネスをあっさり瞬殺するキルア。

キルアの歩き方（なんか緩急をつけて分身したっぽく見せるやつ）を毎日練習していたのは今ではいい思い出。

また、ハンターハンター3巻を読んだ日を境に、
僕は多数決を憎むようになった。

こんなに面白い漫画があるなんて！
まだ3巻しか読んでないのに！

あれから二十数年、漫画を描くようになって改めて漫画を読み返すと、当時は全く気づいてなかった凄さに改めて気づいた。

コマ割りがとにかく神がかっている。
全てのコマがあるべき場所に完璧に配置されている。（多分）
そこでそのコマは天才過ぎる…！
どのページを読んでも、感心するばかり。

漫画を描く技量がまだまだ足りていない僕としては、欠点が全く見当たらない。
比較的コマ数も多く、セリフの多い漫画ではあるが、読みにくさも無い。

そしてセリフが良い。

漫画の面白さというのは、キャラ同士の会話が面白いかどうかにかかっているといっても過言では無いと思う。

その部分がハンターハンターという漫画は圧倒的に面白いのである。

「ウボォーは最後になんと言っていた？」
という団長のセリフ。

これは、13巻の前半、
クラピカが団長を攫うシーンで、
クラピカが団長に、ある質問をするが、
それには答えずに
団長が放ったセリフである。

凡庸な漫画であれば、
相手の行動に対する反応のみで会話が構成されていく。

クラピカの質問に対して、
「お前に話す事は何も無い。」という、
団長の意思表示だけでも、
話としては成立するのである。

が、冨樫氏は違う。

クラピカの質問に答えず、
一見無関係な質問をしているように見せて、
実はその質問こそが団長の意思表示であるという、
惚れ惚れするような技術を見せてくれる。

ウボォーは最後になんと言っていたかを尋ねる団長。
団長は、ウボォーが最後になんと言っていたかは聞かなくてもわかっている。

●団長の意思表示
●幻影旅団の関係の深さ
●幻影旅団から情報を得る事の難しさ
●クラピカの焦り

このシーンだけで、
感情、その場の空気、どちらが優位にたっているか、
など
非常に複雑かつ、どちらに転ぶかわからない、不安定な場面を読者に理解させている。

…何度読んでも感心してしまう。


幻影旅団編のセリフは特に全編にわたって神がかっていた。
いや、ほんとすごい。すごいしか出てこない。

今現在、冨樫義博氏は休載中だ。
ネット上では、批判の声も色々目にする。
が、漫画を描き始めた今、僕としては全く批判する気にはならない。
いや、もし漫画を描いていなくても批判する気にはならなかったと思う。

最新巻は36巻。
船の上での王位継承戦の真っ最中。
非常に複雑なストーリーが展開されている。
クラピカ、幻影旅団、新世界、会長の息子、ハンター協会、そして王位継承戦。
これらが複雑に絡み合うストーリーというのは、卓越したバランス感覚が必要である。
これらの要素を読者に理解させ、ストーリーも違和感なく進行させ、そして面白い漫画として完成させるのは、とてつもない努力、あるいは才能が必要だ。
これをやろうとした冨樫氏は尋常ではない。

もちろん、続きが読んでみたいという気持ちはある。
が、それを超えてあまりある気持ちでいっぱいだ。

冨樫義博氏、本当にありがとう。
ハンターハンターは僕にとって最高の漫画です。
感謝の正拳突きはしないけれど、僕も頑張って漫画描きます。

どうか無理はしないでください。