ふるさと創生職員の求人が帰るきっかけをくれた。都市での経験を活かし地元で新しいビジネスモデルの構築を/小林尚美さん
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ふるさと創生職員の求人が帰るきっかけをくれた。都市での経験を活かし地元で新しいビジネスモデルの構築を/小林尚美さん

まちの人事企画室

「フリーランス行政マン」
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サーフボードを持ったリクルートスーツの女性。
昨年の夏、このサムネイルをご覧になった方はいらっしゃるでしょうか。
京都府の最北端、京丹後市が新しい職員採用の形として始めた「ふるさと創生職員」プロジェクトです。


ふるさと創生職員とは
半行政、半フリーランス。副業禁止が当たりまえという公務員の世界で、週2〜4日は行政で働きながら残りの時間で副業・兼業にチャレンジできる。任期は3年だが、行政職員として有休や賞与もある。

この画期的でチャレンジングな取り組みに、2020年度は募集枠の約5.4倍の応募がありました。現在は、5名のふるさと創生職員の方が着任しています。

どんな方がどんな想いで着任し、今どんな仕事や暮らしをしているのかを描いていくインタビュー企画です。


2人目は、小林尚美(こばやし なおみ)さん。

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さて、今回は、シティプロモーション推進担当として、採用された小林尚美さんへ お話を伺いました。

地方創生や地域活性化を目指し、全国各地の自治体が力を入れているシティプロモーション。地域のイメージを向上させ、ひいては移住・定住促進へと導くための政策です。

長年、都市でWEB関連のコンサルタント業務に携わってきた小林さんが、シティプロモーションについて考えていること、そして地元・京丹後市でチャレンジしたいこととは…?

週2日東京の仕事をしながら、週3日行政職員として働く、というフリーランス行政マンだからこそできる働き方についてもお伺いしました。

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WEB関連の企業コンサルタントを経てUターン

ー小林さんは、ふるさと創生職員5名の中で唯一、Uターンで京丹後に帰って来られたとお伺いしました。

はい、そうなんです。京丹後市出身で、高校を卒業後、進学のために京都市内に出ました。そこから大阪、東京と、約25年外に出ていました。

ーこれまでお仕事は何をされていたんですか?
主にWEB関連の企業コンサルタントの仕事をしていました。具体的にいうと、企業さんのホームページをどう改善したら売り上げが上がるか、問い合わせが増えるか、みたいなご提案ですね。

一番最初は、一般企業に就職して、営業事務をしていたんです。当時はインターネットが主流ではなかったけど、社内にインターネット事業部が立ち上がって。そこに異動になったのがきっかけで、それからずっとWEBに関わる仕事をしてきました。

制作からディレクターの仕事に変わっていって、最終的にコンサルタントに行きついた感じですかね。アクセス解析ができる良い師匠との出会いもあって、修行しながらステップアップしていきました。

ーずっとWEB関連のお仕事をされてきたんですね。それを大阪や東京で?

はい。一番最初は大阪でやっていて、その後東京に行きました。というのも、他社にコンサルタントをお願いするには、ある程度の予算がないと難しいので…。そういう意味でやっぱり東京のお客さんが多かったんです。

ー何回か転職も経験されたということですよね?

そうですね。4~5回転職したと思います。WEB関連の業界は、ステップアップのために転職する人も多いし、転職に対するハードルも低いので。5年くらいの周期で新しいことに取り組んできましたね。

ー いろんな会社で経験を積まれてきたんですね。

でも、ずっと会社で働いていると当たり前ですけど、他の方から依頼される仕事ができなくて…個人的に手伝ってほしいという声もいくつかもらっていたので、最終的には独立したんです。

企業の仕事をそのまま引き継いで、業務委託という形で。その仕事もしながら、個人的にも仕事を受けて、Wワークというやつですね。

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頭の片隅にずっとあった京丹後。Uターンのきっかけ

ー最終的に独立して、フリーランスでお仕事されるようになったということですが、そうすると、京丹後に帰って来る準備が整ってきたとも捉えられますね(笑)。

そうとも言えますね。
いや、でも、正直これまで都市で働いていて、京丹後へのUターンや移住に関する情報を探すことはありませんでした。

京丹後市に対して熱く語れるほど、何か強い思いがあったわけでもないですし…(笑)。

ーそうなんですか(笑)!

でも、故郷に対して「何かしたい」みたいな想いは、ずっとあったと思います。地元で育ててもらった恩は感じていたし、25年外に出ていたとはいえ、ゴールデンウイークやお盆、年末年始と、わりと頻繁に戻って来ていたので。

離れていても、距離は遠く感じていませんでした。

なんだかんだで好きではあったと思います。だからこそ街がさびれていく寂しさもありましたし。

ー良かったです。ちょっと安心しました(笑)。でも、どんなきっかけで戻ってこようと思ったんですか?

何となく、頭の片隅にはずっとあったけど、私のやってきた仕事を求めてくれる会社が京丹後市にはないだろうなと思っていて。なので、他の形でできることはないかと考えていたんです。

そうこうしていると、こんなご時世になって、自宅で仕事をするスタイルになって、お客さんともリモートで打ち合わせができるようになって。私の仕事、リモートでできるんだと気づかされましたね。

それから、コロナで京丹後市はどうなっているだろう?と、ふと思ったり。
そういうのがいろいろ積み重なったあるとき、特に理由は思い出せないんですけど、京丹後市のホームページを見たんです。そこに「ふるさと創生職員」の募集がありました。

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内容を見たら、地域のPRや京丹後市のブランディングができる人材を募集していて。尚且つ、専業じゃなくて、今持っている仕事も両立してやっていけるということでした。

3年の猶予をもらいながら、ちゃんと地元のことを考えられる機会をいただけるのは良いなと思って、とりあえず受けてみようという気持ちになりました。

ーそういうきっかけだったんですね。このご時世、東京からだと、なかなか帰って来れないですもんね。小林さんと同じように、家族がいる地元のことをふと考えてしまう人も多いかもしれません。

そうですね。もしかしたらコロナで帰りたくても帰れなくて寂しい、みたいなこともきっかけとしてあったかもしれないです。

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まずは「ふるさと創生職員」として種を撒く

ー「ふるさと創生職員」として京丹後に戻って来てからの働き方はどんな感じでしょうか?

今は、これまでやってきた東京の仕事を週2日、自宅でしながら、市の職員としては週に3日働いています。

東京でやっていた仕事をそのままこっちでも展開できるとは思っていませんが、そこで得た知見、エッセンスをどういう形でなら、この地域で活かせるかを考えているところです。

企業を良くする方法は知っているけど、「教える」というビジネスでは地方では上手くいかない。そこに予算を割くのは本当に難しいことだと思うので…。

例えば一緒に作っていって、利益を半分にしましょう、みたいにするのがいいか、とか。ビジネスモデル自体を再構築しなければならないと思っています。

ーそこは難しいですよね。確かに都会と同じようにはいかないところもありますし。

そうですよね。私以外に帰ってきたUターン者も、きっと同じような悩みを持っているだろうし、帰ってこれない理由もそこにあると思っています。
今やっている自分の仕事を持って帰っても、地方では展開していけないだろうな、みたいな。

でも「ふるさと創生職員」だと、市の職員という立場で人脈づくりができるので在り難いです。今はそうやって種を撒いていきたいですね。

それが自分自身にもメリットがあるし、私の取り組みで地元の企業が成功することは、ひいては市のメリットにも繋がると思うので。3者がWIN-WINになることができると信じて、その方法を探している段階です。

シティプロモーション推進担当としての仕事

ー「ふるさと創生職員」には、シティプロモーション担当として採用されたわけですが、小林さんの希望だったのでしょうか?

実は、別の政策担当に応募していたんですが、採用時にシティプロモーション担当をお願いされました。職歴からすれば、圧倒的にシティプロモーション向きだと思いますよね(笑)。

実際はどれも魅力的な政策だと思っていたし、採用していただけるなら5つのどれでも良かった、というのが正直なところです。

ーそうだったんですね。シティプロモーションの仕事内容はどんな感じですか?

実際は、まだシティプロモーションの業務にまで行き着いていないのが現状です。というのも、PRをする前に、そもそも京丹後市の魅力は何かを整理するところから始める必要があると思うんです。それは、既に観光パンフレットに載っているようなことではなくて。

その魅力を発信して、市がどうなりたいのか、というところまで明確化する必要があるんですよね。

まずはそこからスタートして、今後長期的スパンでやっていこうと思っています。

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ーなるほど。「そもそも」を考えてから実行に移すのは、とても大事なことですよね。

そうなんです。だから、シティプロモーションというのはゆっくり温めつつ…、実際に今動いている仕事としては、大きく2つあります。

一つは、京丹後市のホームページがもっと使いやすくなるように提案すること。これはほぼ、今までやってきた仕事と同じようなことですね。

そしてもう一つは、ふるさと納税の寄付を増やすための仕事です。私の行政職員としての仕事の7割くらいはこの業務をしていますかね。

ーこれまでの経験を活かされての仕事だと思いますが、行政マンとして働いていて大変だと思うことはありますか?赤裸々にお願いします(笑)

そうですね…企業は利益を出すためにどうするかを考えるじゃないですか。会社はそれを目的としているものであって…。

でも、行政は全体の最大化。京丹後市民全員のために動くものなんです。当たり前かもしれないけど、全体の奉仕者にならないといけない。企業のように良いものを拾って、悪いものを捨てる、みたいなことはできないんですよね。

そういう、企業で働いていた時との価値観のギャップに悩むことはあります。公務員ってどういう存在なのか、自分自身の中でもう少し考えないといけないなとは思っていますね。

これから応募を考えている皆さんも、そこは調べたり、聞いたり、イメージして応募されるのがいいかなと思います。

ーそうなんですね。確かにフリーランス×行政マンという新しい形の取り組みですから、いろんなギャップがあってもおかしくないですよね。

まぁ、楽しい部分だけ見せるのも違うと思うので、正直に話しちゃいました(笑)。

でも、他の4名の「ふるさと創生職員」とも、LINEで情報交換したり、リモート飲み会をしたりしながら、楽しくやっていますよ。いろんなスキルを持った方が採用されているので、すごく面白いです。

まだ仕事では、チームとして連動して動く、みたいなことができていないんですけど、いずれそうしていきたいよね、と話しているところです。

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将来はプロモーション会社を立ち上げたい

ー今後、京丹後市でやっていきたいことは何でしょうか?

みなさん、京丹後市には良いものがたくさんあるというんです。私は、ぜひそれを外に伝える仕事がしたい。

シティプロモーション担当としてはもちろんのこと、いつか、企業や商品のプロモーションをする会社を立ち上げられたら、IターンやUターンの人たちとも一緒にやっていけるんじゃないか、と今日の時点では思っています。まだ帰って3ヵ月なので、将来はわからないですけどね(笑)。

地元の企業を支え、そこから支えられる会社にならないといけないなと、漠然と考えています。

ー最後に、小林さんと同じようにUターンを考えている方々に向けてメッセージをお願いします。

私は、京丹後市のことをわかっていると思っていたけど、帰って来て、意外と知らないことが多いということに気づきました。

25年も離れていれば、見かけのことしか見えていなくて、空き家が増えて行ったり、スーパーがなくなったり。そんな悲しいニュースばかり見ていたように思います。

でも、帰ってきたら若い人たちがいろんな取り組みしているのを初めて知って。今はそれがとても励みになっています。

Uターンをお考えのみなさん、頑張ってる若い人たちがちゃんといるから、帰って来ても大丈夫だよ!

一回都会に出て、月に30万以上お給料をもらっていたら、単純にお金だけで考えると帰って来るのは難しいけど、そこじゃない価値に気づけたらいいし、コロナ禍だからリモートワークできるし、帰ってやろうかみたいな人が増えると嬉しいです。


聴き手/文・撮影:坂本知恵里

オンラインイベントのご案内

最後まで記事を読んでくださった方へ、

この度、第2期の募集を開始するにあたり、特別企画としてテーマ型のオンラインイベントを開催することになりました!

第1期で採用された5名の方から、それぞれテーマを投げかけていただき、それについて、対話・交流していくものです。


今回、インタビューさせていただいた、小林さんは、コロナをきっかけに京丹後市へUターンされ、都市の仕事をリモートでやりながら、ふるさと創生職員の仕事をされています。

そんな小林さんを筆頭に、京丹後市にはUターンで帰ってこられている方たちがたくさんいます!

なので、テーマは、

京丹後市へのUターンって実際どうなの?

ってあたりをぶっちゃけて話すイベントを開催したいと思います!


京丹後市やその周辺地域へのUターンを考えておられる方はもちろん!

すでにUターンで帰ってきておられるけど、まだ横の繋がりがない方。

全く縁もゆかりもないけれど、京丹後市に興味を持っていて、せっかくなら外をみてUターンして帰ってきた人絡みた京丹後市を知りたいという方!


テーマに関心のある人であれば、基本的にどなたでも参加可能です!
ぜひ、お気軽にご参加ください!

京丹後市ふるさと創生職員(フリーランス行政マン)第2期募集開始!

第2期募集ページは👇
https://www.open-innovation-team-kyotango.com/


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まちの人事企画室
「このまちで、人のためになる事を企画していきたい」という想いで、2020年に団体を設立しました。 また、企業・行政・団体の人事にまつわる課題解決に向けた伴走をしていきたいと思っています。