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映画「言えない秘密」をみた

 情報解禁時から楽しみにしていた「言えない秘密」、観てきた。なんとなく6月の間に観たかった作品。念願かなって嬉しい。
 解禁されていく予告で薄々感じてはいたけど、すべての要素がとんでもなく好みに刺さった。ストーリー、音楽、作品・映像の質感。もう少し迫ると、音大生、季節の移り変わり、登場人物たちの服装、ピアノの音色。
 余韻のまま、初発の感想。だいぶぐちゃぐちゃしてる。以下ネタバレ含みます。

 この作品、はじめからおわりまでずっと、ずっと綺麗。あと、久しぶりにちゃんと聴くピアノの音が本当に良かった。思い返せば湊人と雪乃、二人の絡みで言葉は多いと感じなかったけど、二人がお互いを想う気持ちが伝わって印象に残っているのはきっとピアノの音に感情がのっていたからじゃないかな、って思う。その繊細な心情表現も素敵だった。あの二人はたしかに音楽でつながっていた。そして、湊人と雪乃は同じ時代を生きていたわけではなかったという事実。個人的になんとなーーく読めていた展開ではあったけど、それでもずっと新鮮に観ることができて心から感動したのは、画力(漢字合ってる?)が大きいと思った。こんなこと言ったらこの作品に本当に失礼なことだと分かって正直に言うと、大我さんと琴音ちゃんの顔力が強すぎて(もちろん演技の部分も含めて)これだけでもスクリーンで見る価値あると思ってしまった。強い。
 そして何より服装が好き。雪乃とひかりの21年前/現在の対比が服装でも見れるのが面白いと思った。ちょっとレトロで清楚で上品な雪乃ちゃんの服、全部好きだったなあ。スタイリングが可愛すぎて、そして雪乃として着るあの服たちが可愛くて。いい意味で素朴で女の子らしい、音大生らしい服がとっても似合ってた。ひかりちゃんの服とヘアスタイルも可愛かったなーーー。服装といえば、湊人の友達のチャラめな男の子二人組の服装はあれあんなかんじなの?音大生の実際を知らないけど、そんであの二人組がピアノ科だったかすら曖昧だけど、そこらへんにいるようなチャラめの普通におしゃれな服着てて面白かった。

 ここから感想、本腰を入れる。この作品にしかないであろう、自分が ‘いいな’ と思ったところ(魅力)をまとめると、まず惹かれ合う二人の、互いを想う気持ちの美しさ。そして、純粋に感情を音楽にのせているところ、そして二人がそこにちゃんと言葉で口に出して伝え合ってるところ、かな。
 湊人からみた雪乃の存在。夢半ばで挫折して留学先から帰ってきた湊人、師からの厳しい言葉で現実に気づいてしまった時、自分には才能なんてなかったと思ってしまう時、そこにあるのは絶望だと思う。絶望の中の雪乃ちゃんの存在はまさに自分を暗い底から引っ張って導いてくれる、掬い出して救い出してくれる光でしかない。湊人の記憶に鮮明に残る厳しい言葉たちがフラッシュバックして八つ当たりのような雑な演奏をしたあと、演奏の手が止まってしまったあと、「感情ののった湊人の演奏が好き。楽しいと思った時に湊人がどういう音をだすのか気になるよ」(超絶ニュアンス)の言葉、すごく好きだった。感情がちゃんと音にのって雪乃には伝わってた。分かってくれてた。寄り添って、少しずつ光の方へ導いてくれるひと。何かと雪乃ちゃんが湊人を誘い出す時に腕をガシッと掴んで引っ張っていたのが印象的。思い込みかもしれないけど。
 反対に雪乃からみた湊人も、光だった。最後まで明かされることのないこの「秘密」にもやもやしたけど、雪乃にとっては確実に湊人との出会いこそが光。持病の悪化で生きる意味を見失っていた時に、見たことのない譜面と出会い、湊人と出会い、生きる意味と出会う。雪乃の最期の言葉は「みなとあいたい」、日記の最期の言葉には「最後は湊人のピアノがいい」(またまたニュアンス、記憶…)。どれだけ湊人の存在と湊人のピアノに救われていたのだろう。症状がひどくなっても会いたいからあの場所でピアノを弾いた。自分の命が終わる時を知っていながら湊人に会うために弾くそのピアノの音には、どれだけの気持ちが込められていただろう。湊人のお父さんに会いに行って、これから生まれてくる湊人の存在に「生まれてきてくれてありがとうって伝えたい」と涙した雪乃、それこそがなによりの証。
 この作品に浸りきってから改めてみる「1つの旋律が繋いだ運命の出会い」、まさしく。雪乃が後にプレゼントしたトイピアノきっかけに(とも言い切れないが)湊人がピアノを好きになったのも運命。この二人の現実味のない出会い、一つの旋律が繋いだ出会い、運命以外のなにものだろうか。
 そして、音楽に感情をのせるということがよく伝わってきたのも良かった。多くは語らない二人の互いを想う気持ちの絡みあい、ほとんどピアノの音とともにあった。自分の感情表現も見えたのが良かったな。それでいてちゃんと言ってほしいことは伝え合ってた。言ってほしいことというか、その音に関する感想?この演奏を聴いてこう思ったよ、上手だった、この演奏を聴いてあなたのことをこう思うよ、って。二人の空間のなかでの目と手の絡みもピアノならではじゃないかな。お互いを光とする二人の連弾、切なくも眩しくみえた。また思い込みかもしれないけど、二人の連弾最後以外ずっと、いっぱいの光が差し込む部屋、昼間、だった気もする。とにかく、眩しくみえた。
 ラストシーンはハッピーエンドともバッドエンドともとれがたい終わり方だったけど、二人の間に目に見えない感情とピアノの音色のほかにちゃんと形としてトイピアノが湊人の手元に残ったのが良かったなと思った。雪乃の日記と二人の写真も。この曖昧さの残し方も余韻の幅を深めてくれた。
 出会えてよかった、そんな作品。ピアノの音の繊細さと美しさに触れられたのも良かった。観た人の心にじんわりほんのり残り続けるんだろうなと思います。


最後に。
 わたしはSixTONESのオタクをやらせてもらってますが、映画館いっぱいに響く主題歌は、本当に、本当に良かった。発売前にこの作品にぴったりの詞をフルで、それも余韻に浸りながら映画館で聴けるという贅沢。自担の言葉をかりて、「こんないい曲をもってきてくれてありがとう」。好きな人たちのおかげで、また素敵な作品と曲に出会うことができて嬉しいです。
 ところどころで素が出てる大我さんも可愛かった。あの床だからっていうのもあるだろうけどそれにしてもでかすぎる足音の走り、ちょっと心配になる自転車、素すぎるゲームセンターの「ハッ!」っていう笑い方、おもろでした。それに、湊人としての普段着も本当に似合ってたけど、ダンスするシーン(ラ・ラ・ラ・ラブストーリーの世界観すぎた)のあのきらびやかな感じが似合いすぎてて笑った。衣装、パフォーマンス、表情のきらびやかさのマッチ具合。天性のアイドルさんです。改めて、映画初主演おめでとうございました!


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