詩/キアロ・スクーロ
6月の空はより高く、深く間延びつ、空を穿つ。そこにどろりと、流す雨雲。
天球が、われらの浮かぶ天の川の、銀河の横腹かすめゆく。夜の闇へ、星くずが繋ぐ川をかけ、織姫と彦星さまとを彼の河岸へ。甘い逢瀬を導くは、砕けて散らばるこんぺいとう。
友との出会いを思い返すとも、いつでも濁って薄ぼんやりと。
アルコール、喉を燃やして腑へと落ちゆく。その水筋の通り焼け付くいきおいは、浮腫む頭は、記憶を押し出し、淀む快楽、貪る、つかの間。
いつか来る、甘やかな情は終わりへ滑る。やがて明けゆく朝の方へ、互いを促し酒を飲め飲め、飲めば諍い、傷つけ合う。セックスだってしてるはずだろ。おたがいはっきりおぼえてないけど。
一度離れてしまえばもう、二度と交わることもなくなる。そこにのこった思い出の、きっと顔すらあやふやな画に、そっと鼻先ちがづけてみる。かたちもたぐいもないはずの、においが一番強く、のこるだなんて。
それでいいのだ。それがいい。跡を濁さぬ礼儀しか、きっとお互い果たせない。
友情をつがう条件とは?
友の情を結びつけるのは、一夜のはざまに暗い空の、西から東に渡されかがやくあの、バカに大きなミルクの川の、ゆめまぼろしの、ようなものかも。
それはあたかも、澄んだウォッカのもたらす乾きの、しばたく視界のひだりの端に、ちらちら見えつ、かくれつのもやの、鳥や羽虫のかたち成すような、そんなものなのかもしれない。
だからわたしは、わたしたちは、かすがいを作りそこに縋る。人間の仲を規定する、種々さまざまの契約は、他人を自分の内側へ縛り、傷つけ磔にするとともに、相手の精神のぬかるみの中へ、片足をまるごと沈めこむ。傷つける代わりに、差し出すこと。
いつかの夜へ消えてった、いつかあった友情を思う。それは見上げる星のよう。かすかに光って遠ざかる。わたしはあいにく、夜空は見ない。ひどくちらつく乱視だからね。
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