異文化交流も担う子ども食堂~多様性を認めることのできる社会に~

相模原と青葉台で子ども食堂「ノヴィーニェ」を開催している、NPO法人アフリカヘリテイジコミティ理事長のトニー・ジャスティスさんを訪問した。

子ども食堂とは、子どもが一人でも行ける無料または低額の食堂のことを指すが、今回訪問したノヴィーニェ子ども食堂の料金は無料であり、寺子屋の機能を併せ持っていること、何より異文化体験ができるようなプログラムが設けられている点が特徴的であろう。

異文化理解のためのプログラムが設けられている背景には、トニーさんがアフリカのガーナのご出身であり、様々な部族の人々が共存しているガーナのように、子供たちにも、自分とは異なる環境の人々や文化を受け入れる「多様性」を認めるような交流をさせてあげたいという思いがある。

この「多様性」に対する考え方であるが、これはノヴィーニェ子ども食堂の運営にもよく表れている。というのも、トニーさんはこの子ども食堂の対象を「子供」に限定していないからだ。

シングルマザーやシルバー世代、家のない人、ネットカフェ難民や困っている若者まで、子供に限らず全ての人に食糧を無料でしていることは、このノヴィーニェ子ども食堂の大きな特徴であろう。

配られるお弁当はアフリカ由来の食べ物であったり、日本の食べ物であったりと毎回約10種類ほどのレパートリーがあり、まさに食のダイバーシティを体現している。

他にも、寺子屋の一環としてアフリカの太鼓で遊んだり、世界の文化を知ることが出来る工作キッドの配布など、様々な手段でトニーさんは子供たちが異文化を知ることができるような工夫を凝らしている。

グローバル化する社会で活躍できるようにと、未来を担う若者の教育にも大きな貢献をしているノヴィーニェ子ども食堂は、従来の子ども食堂とはまた違った魅力を秘めているように思われる。


しかし、そんなノヴィーニェ子ども食堂は大きな問題を抱えているという。その一つが金銭的な問題である。

クラウドファンディングや募金、トニーさん自身の私財で子ども食堂は運営されているが、やはりそれには限界がある。自治体からの助成金はあるものの、「団体の自立」の援助を目的とした助成金の交付は短期的であり、安定的な支援は見込めない。そのためトニーさんは自治体による継続的で積極的なサポートが必要であると語っていた。

「将来、日本とアフリカの全ての子供たち、全ての人々に幸せになってほしい、その仕組みを作っていければよい。」

トニーさんはそう話していたが、その実現のためにも行政のより踏み込んだ対応や、財政確保のために個人でできる範囲での寄付、またボランティアとして活動の支援することなど、多方面から活動をサポートする体制が必要であると感じた。




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