第33回 湯冷ましがカレー味だ【朽羊歯ゾーンのWoundTube】
湯冷ましがカレー味だ。
昨日の夜、ラーメンを茹でるために鍋にお湯を沸かした。が、沸かしている間に気が変わり、カップスープに変更した。必要なお湯の量が半分に減ったため、残りのお湯は鍋に入れたまま放置していた。
食べた後床に就いたが眠れない。水を飲みにキッチンに向かうと、水が入った鍋が目に入った。もう冷めているだろう、捨ててしまうのももったいないと思い、コップに入れて飲んだ。一旦沸かした水を飲むのも、なんだか丁寧な暮らしのようで嬉しかった。
が、カレー味だった。
眉間にしわが寄った。吐き出しそうになったが、勢いと不味さがギリギリ足りなかったため、直前で冷静になって飲み込んだ。カレー味なだけで、危険な味でもなかった。
思い返せば、鍋にはカレーを入れっぱなしにして保管していた。そのせいだ。洗いはしたものの、鍋の傷に染みこんでいたか何かしたカレーが、溶けだしてきたのだ。
美味しんぼか何かで見たことがある。何年も使っていくうちに味が染みこんでいく鍋がある、それでしか取れない出汁があると。いいのかそれは、汚くないのか、洗剤はしみこまないのか。だが、そうらしい。うちの鍋にも同じ原理がはたらいたのかもしれない。洗い方が足りなかっただけかもしれない。
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