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胸に手を当てて考えよう

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本書は、1904年、日露戦争が起きた際に、トルストイが、ロシア国民に対して投稿した12編からなる文章です。

当時、この投稿は、ロシア国内では発表が許されず、ロンドン・タイムズ紙に英訳が発表され、日本では、平民新聞で『反省せよ』というタイトルで、その後、岩波書店のトルストイ全集に『考え直せ』というタイトルで収録され、その後、祖父によって、1992年に『胸に手を当てて考えよう』というタイトルで訳出されました。

「日露戦争ではどちらを支持するのか」との外国新聞社の問いに、トルストイは「私は、ロシアの味方でも、日本の味方でもなく、それぞれの政府によって欺かれ、自分たちの幸福にも、良心にも、そして、宗教にも反して、戦争にかりたてられた両国の労働者の皆さんの味方です」と答えました。

トルストイは、今のロシア-ウクライナ間の戦争を見ても、きっと本書と同じことを言うでしょう。この文章の相手国は、日本なので、読んでいると身につまされますが、同時にトルストイの人類への愛を感じます。

以下は、本文から引用です。

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“最もおそるべき不幸である戦争から、確実に間違いなくまぬがれるのは、なんらかの外面的公共的施策によってではなく、ただただ、我々ひとりひとりが、1900年前に、キリストが説いた言葉に素直に耳を傾けることによって、心機一転し、自分はいったい何者か? 何のために生きていて、何を為すべきで、何を為すべきでないか? を自らに問うことによってのみ可能なのである。”

“真の英雄は、他人を殺そうとしながら、自分は殺されなかったばかりに、現在、英雄扱いされている人々ではない。そうではなくて、真の英雄は、人殺したちの列に加わることを断乎拒否し、キリストの戒めに背くよりは、殉教の苦難をえらんで、現在、監獄にいたり、ヤクーツク州に流されていたりする人たちなのである。”
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