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怪しいタクシーに乗って死海へ行く

死海とは?
中東にある塩湖。イスラエル、パレスチナ、ヨルダンと接する。水面に浮かんで新聞読んでるオッサンの写真のアレ。めっちゃ浮く。

俺調べ

はじめに

背景

2018年にlivedoorブログで公開した記事をベースに加筆・一部読みやすいように修正しています。「気力があれば続きを書きます」と書いたものの完全に気力が湧かず、4年近く放置していたためでもあります。死海に行く途中で中断していました。気力が沸いたので自分の旅行記録も兼ねて改めて記載します。

また本記事ではイスラエル・パレスチナの両国名を記載しています。これは国連総会のオブザーバー国家の存在をガン無視はどうなん?という考えと(以外に知られていませんが日本もオブザーバーだった頃がありました。)、単純に毎回「イスラエル(パレスチナ自治区(ヨルダン川西岸及びガザ地区(パレスチナ国))」と書くのが冗長で面倒くさいからです。

イスラエル・パレスチナの治安情勢とか

ちなみに当該地域は記憶の限りではず~~~っと、もうキリスト誕生以降から外務省よりイスラエルは「レベル1:十分注意してください」、パレスチナは「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」で一部地域は「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」に設定されております。この危険レベルが数年で下がるとは到底思えません。(補足ですがレベル4が最高で「退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」です。今のウ◯◯◯ナ全土とかがそうですね。)

外務省 海外安全ホームページより

最近のイスラエル・パレスチナ情勢(治安)ですが、昨年5月にイスラム組織ハマスがイェルサレムへロケット弾を発射しその報復としてイスラエル側がガザ地区を空爆。11日間でパレスチナ側253人、イスラエル側で12人死亡しています。また今年に入ってからは少なくとも4件のテロ事件がイスラエルで発生し14人の死者が発生しています。

そしてイェルサレムでは現在、上記の出来事の影響もありますが旧市街のムスリム地区とユダヤ人地区でパレスチナ人とユダヤ人がメチャクチャ揉めており、イスラエル警察とパレスチナ人の大規模衝突で150人以上の負傷者が出ています。暫く収まることはないと思いますので、8月盆休みにイェルサレムへ旅行検討している方はご留意された方が良いかと。この衝突は先月(4月)の話です。原因について書くと長くなるので気になる方は各自でお調べください。

じゃあ治安最悪なの?かと言われれば、僕が訪問した当時はそんなことは全くなかったです。逆に治安最高!な感じでした。夜でも子供が外で遊んでいて日本人観光客(俺)を「チャイニーズ!」と煽ってくるくらいです。テロは交通事故みたいな感覚なのでしょうか。個人的には夜の心斎橋の方が治安が悪い。

こういう地域への旅行(渡航)は大学生やフリーターならお構いなしですが、社団法人に属している人間の場合は事前に渡航を計画していると明かすと面倒くさいことになるかもしれませんので、こちらもご注意ください。僕はなりました。

最初に懇々と書き連ねましたが、何が言いたいかというと本記事を読んでイスラエル・パレスチナへ行きたいと思って頂くのは嬉しいですが、実際に訪問して万が一に死なれても僕は責任ありませんし取れません。全て自己責任でお願い致します。

以上、中東地域が対象の記事特有の面倒くさい前置き終わり。

本編

「死海へ行くまで」まで

2018年夏、僕は大学時代の友達と二人でイスラエルとパレスチナ観光へ行きました。時期的にはトランプ大統領がイスラエルのアメリカ大使館をテルアビブ(イスラエルの事実上の首都)からイェルサレム(イスラエルの主張する首都だが国際社会では未承認。パレスチナも首都を主張)へ移転すると決定したり、クネセト(イスラエルの立法府。日本でいう国会)がイスラエルの公用語からアラビア語を除外してヘブライ語のみと決定したりと、イスラエル国内が超ゴタゴタしていた時期です。タイミング最悪ですね。僕はヘブライ語を少しだけ覚えて行きましたが、うっかり地雷踏んだら嫌なので意思疎通には英語しか使いませんでした。

旅行の流れとしては1日目:イェルサレム→2日目:ベツレヘム/死海→3日目:イェルサレムです。ベツレヘムにはキリストの有名なお墓とかがあります。
※1日目の前に香港、3日目のあとに韓国と台湾も寄っています。

2日目のベツレヘムでは現地ガイドを雇っていろんなところを回りました。料金は3時間50ドル(=俺と友達で計100ドル)で専属ドライバーとして車の運転もしてくれます。

本題ではないのでサラっと書きますが、色んな観光スポットに車で連れてくれるので土地勘ゼロでも安心(?)です。なにより僕の場合は引き当てた現地ガイド運が良かったようでした。ちいかわみたいにオロオロしている日本人観光客(=つまり、俺)が観光地にいると「Hey, Japanese!コンニチワ!タクシーノル?!」と秒で怪しいタクシードライバーが寄ってくるんですが、現地ガイドが速攻でこっちに来て全員追い払っていました。ありがたい限りです。

こういう成功体験もあって「タクシー使った観光も悪くはないな」という認識が無意識に刷り込まれてしまったわけで。それと大学生時代、ベトナムから陸路で国境を越えて中国へ移動する際にバスを利用して死にかけたことがあり、海外でのバス移動に好印象を持っていなかったことも挙げられます。

色々と会話したが内容忘れた

怪しいオッサン登場

その後、僕と友達は死海へ行くためにバスターミナルにいました。チケット発見窓口で死海行きのバスを探していると、アラブ顔のオッサンに声を掛けられました。

オッサン「どこに行くんだい?」
おれ「死海です」
オッサン「死海に行くならタクシーを使わないと。死海行きのバスは無いんだよ」

こちとら事前に『地球の歩き方』でバス情報調べとんねん。何言ってんだ?と思いながら暫く一ミリも嚙み合わない会話をしていたのですが、埒が明かないのでオッサンの話をよく聞いてみることにしました。

オッサンの名前はモーゼス。職業はタクシードライバーで、日々バスターミナルで存在しない死海行きのバスを探す哀れな旅行者を死海へ送り届けているとのこと。ちゃんと話してみれば気さくな感じだったので彼に案内されタクシーへ向かいました。

タクシーへ着くとモーゼスは車の中から一冊のノートを取り出しました。中には英語、ドイツ語、韓国語、中国語、etc…と様々な国の言語で書かれており、日本語で書かれたメッセージもありました。「モーゼスさんは凄く頼れるタクシードライバーです」という旨の内容ばかりです。ほかの言語も同じでしょう。

ワレホンマか~???怪しいのぉ〜?

怪しい。なぜか文字は全て青色だし。ここで僕は出国前に読んでいた旅行記で今の状況に似ているエピソードがあったことを思い出しました。そう、「ぼったくりタクシー」です。利用したら最後、降車時に最初に提示された金額と異なる法外な値段を吹っ掛けられ、払えなければトラブってものすごい面倒くさいことになるアレです。お国からもたびたび注意喚起されています。

モーゼスが提示してきた金額は、ここから死海までの往復+死海観光タイム有りで一人300新シェケル(当時のレートで約9,000円)。相場は知らないが多分5時間くらい行動するので悪くはないのでは?価格が変わらなければ。「乗るの?乗らないの?どのみち、死海に行くならバスは無理だ」と彼は再度僕たち二人へ言いました。

おれ「乗ります~。死海へ行こう!」

死海へ行く

商談成立です。笑顔で財布からモーゼスの言い値を渡し、友達とタクシーへ乗り込みました。

右側通行です

上の写真のように10分も走れば都市部から離れ、左右は岩肌だらけないかにも中東らしい風景が目に飛び込んできます。“”情緒(じょうちょ)“”があっていいですね。中東を満喫して

キュリィーーーー!!!(急ブレーキがかかる)

モーゼス「アレを見ろ!!!」
おれ「???」

ん???なんだ???
なんだ???

モーゼス「このRamallah(ラマラ)ってのがパレスチナの首都なんだ!写真を撮った方がいい!」

「それだけかい。後続車に追突されるやろ」と思いましたが、咄嗟に「いや東洋人にわざわざパレスチナの首都を認識させようとしてるし、適当な態度だと危ないかも」と危機管理が働いたので「マジっすか?すげぇ~~~」な反応で写真を撮りました。

車は再度スピードを上げ、再度急ブレーキがかかります。これの繰り返しです。

モーゼス「ベドウィン(遊牧民)の住居だ!珍しいぞ!」
モーゼス「ラクダだ!日本人は滅多に見ないだろ?」
モーゼス「ちょっと寄りたいところがある!いいか?(運転しながら言えよ…)」

モーゼスは車を停め、僕と友達をラクダの前に案内しました。

モーゼス「実はこのラクダには乗ることができるんだ!料金は100新シェケル(当時のレートで約3,000円)と少し高いが、こんな機会はめったにないぜ?どうだ?」
友達「Noです。死海に行きましょう」
モーゼス「…そうか。死海へ行こう。」
友達「僕ら二人の写真は撮ってもらっていいです?」
モーゼス「OK」

ラクダ管理してるオッサンが強面

友達の咄嗟の切り返しがナイス判断でした。ラクダに乗らず・近づかずに済んだからです。「お前ラクダ怖いの?」ではない。僕は全然知らなかったのですが、中東諸国でラクダに乗る・近づくと中東呼吸器症候群(MERS)に感染する可能性があります。乗った・近づいた場合は帰国時に検疫官にその旨を申し出なければいけません。2012年月~2021年6月末までの診断確定患者数は2,574名でうち少なくとも886名が死亡しています。死亡率たっか。
※厳密にいえばパレスチナではMERSの発生報告はありませんが、念には念をです。

帰国した時に「ラクダに乗った・近づいた人は必ず検疫官に申し出てください!!!」とクソデカ文字で書かれたポスターを見たときは流石にビビった次第です。

再度車に戻り、死海へ向かいます。

おわりに

僕自身の旅行記録も兼ねているので続きは書きます。死海に到着し、死海舐めて後悔し、アメリカ人親子と帰るところを書いて終わりです。

「お前の好きにしろ」と言って付いてきてくれた友達には感謝しかありません。
最後まで読んで頂きありがとうございました。

続き

以上

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