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【トラペジウム感想#5】東の光は罪の光【ネタバレあり】

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―――はじめに―――

筆者はここ2週間強でトラペジウムを映画館で6回観て原作小説を4周しています。
感想を投稿するのは5回目です。
おまけに今、酒が入っています。

もう、お分かりですね?

まともな精神状態にないことを留意のうえ、続く文章を読みましょう。
観よう、トラペジウム。
読もう、トラペジウム。


公式サイト
映画『トラペジウム』公式サイト (trapezium-movie.com)

原作小説
「トラペジウム」高山一実 [文芸書] - KADOKAWA


―――始まります―――



 トラペジウムを6回観た。


 流石に冷静になってきた。


 普通に現時点での感想を書きます。



 ひとまず、終盤の東のことは好き。ちゃんと謝れてえらい。夢を叶えてて素晴らしい。これからも頑張ってほしい。

 それ以前の東はマジでカス。弁明の余地なし。頑張って擁護しようと思ったこともあったけど無理だった。一挙手一投足が想像を超えてくる。本当にどうしようもない。

 東のスクリーン映えするカス挙動は枚挙に暇がないが、東の感性は結構人並みだと思う。こいつに備わっているのは普通の感性だ、喜怒哀楽一式と、友情とか罪悪感とか、悪意で接近してきた人間を表面的にはうまくやり過ごすときの声の出し方とか、身に覚えのある一通りの情操はインストールされているんだ、とひとたび受け入れてしまえばそんなに違和感なく観られた。サイコパスとして「そっち側」に配置するほどのことはないと思う。

 まあでも、空気は読むのは苦手そう。場の空気がヤバくなりそうなときは、大抵蘭子が真っ先にチョケてくれるんだけど、東が意図を汲み取れていそうなシーンはゼロ。多分「東さんは本当に何もわかってない」んだろう。
 まあ、単に東が「場をいい空気に保つ」ことに規範性を見出していないだけの可能性もある。これは美嘉の語る過去東の言動からも察せられる。このへんはもうそういう奴として受け入れる他ないのかなと思っている。


 あと、口下手でもあるんだろう。初対面の人と話題作るのも苦手そう。

 蘭子との出会いは偶然で、事前準備はできなかったが、たまたまお蝶婦人という共通項があったからうまくいった。東は蘭子がエースをねらえに反応したタイミングでガッツポーズしている。

 くるみに至っては、わざわざロボット作成キットとプログラミング入門書を購入してまで話題を作りにいっている。普通そんなことしない、トークだけでも仲良くなれる人はなれる。仲良くなるのにロボットの助けを借りる必要がある時点で、東本体のトークスキル、人間関係構築スキルはかなり低いことが察せられる。この傾向は仮に東がアイドルになれたとしてもキャリアに暗い影を落とすだろう。オーディションでもそのへんを見抜かれたのではないか?

 美嘉は…多分何もないんだろうな。山頂での会話もひどかった。いや、それは別に、じゃないんだよ。もっと他に言うことあるだろ。まあ、この状況は美嘉も美嘉で自分(あと自分と東の関係性)のことしか考えてないし、会話が弾まないのも当然の成り行きということで。

 真司と打ち解けたのは例外的と思う。序盤の真司は東への好意があり(映画版真司なら多分そう…原作だとそんなでもない)、くるみの説得を理由に半ば自発的に協力者として名乗りを上げている。東にしては珍しく、相手からグイグイ来てくれたからうまくいったケースと思われる。

 さっちゃんとの関係値が謎すぎる。何度観返しても、さっちゃんが東に懐く要素がどこにもない。ろくに会話してないのに、なんで東にアイドルの衣装を着せようとか言い出せるんだ。怖い。さっちゃんが一方的にいい子すぎて怖い。


カス行動の源泉
 東の内面には強烈な思い込みがある。

「かわいい女の子は全員アイドルになりたがっている」

 これ本当に卑怯。この決めつけの最大の受益者は東自身である。東はオーディション全落ちし、独力でアイドルになれないことを悟り、他のかわいい女の子の力を借りてグループとしてアイドルになろうと画策している。やろうとしていることは単なるエゴの発露だが、「他の女の子たちもアイドルになりたがっている、自分はその協力者に過ぎない」という弁明を噛ませ、焦点を女の子らの内面にずらすことでその願望のどぎつさを巧みに回避している。
 この思い込みがどこで形成されたかは定かでないが、東自身が最大の受益者になる(=夢を叶える)ように、他者の内面を勝手に決めつけている点が底抜けに邪悪。ただのエゴの責任を他者の願望に転嫁している。
 本人に自覚がないのもいただけない。他人を利用するなとは言わないけど、利用するなら相応に葛藤しろ。苦しめ。己が欲望の業火に焼かれろ。


サイコパスではない
 東は人並みに嫉妬している。悔しがったりもする。東の精神は、打算では割り切れない複雑さを持っている。
 東西南北にも人気格差があり、東は最下位。アイドルへの熱量は東が最もあり、努力もし、人知れず根回しもし、東西南北を輝かせることに(少なくとも東の中では)最も貢献しているだろう。が、結果は伴わない。そりゃ、悔しい。蘭子もくるみも美嘉も、自分より頑張ってないのに、才能があって人気があってうまくいっていて、ずるい。妬ましい。東がメンバーのSNSを監視するシーン、口パクライブ終わりのエゴサシーンでそういう描写がある。

 この過程で東の思い込みはより強化される。自分がどんなに望んで努力しても手に入らなかったのに、自分より才能がある人間が、自分と同じ夢を目指さないなんて許せない。でなきゃ東が報われない。

 デビュー後のメンバーに対する辛辣な態度の根底はここだと思う。東が選び抜いた、東より才能のあるメンバー。東は三人にアイドルとしての職責を高い水準で全うすることを要求して躊躇わない。東が欲しくてたまらない称号を、東の根回しのおこぼれで手にした。そのくせ、アイドルになれたことをろくにありがたがりもしない。そりゃ東から見たら夢に対する冒涜だろうし、美嘉を詰るあの口調にもなる。まあ、行動自体は余すところなくカスなので擁護しないけど。

 くるみ発狂直後の東の溜息もこれ。東より人気も才能もあるくるみの悩みなんて、東のそれに比べたら大したことないだろ、何を大袈裟な、という呆れが見て取れる。あの激シリアス状況で初手溜息!?!!?!?と初見時大混乱したんだけど、そう考えたら普通に見れるようになった。庶民が富裕層の悲しみに共感できないのと同じだ。ここにわざわざ精神鑑定を持ち出す必要はなかった。




 最終的に、東は自身のエゴを認め、それでも夢を目指すことを選択している。
 この展開は逆転ホームラン。
 何せ私は、私欲のために他者を平然と蹴落とし、でも自らのエゴに自覚的で、絶えず内面で葛藤しつつそれでも夢に向かって突き進む、己の欲望の業火に焼かれ続けるキャラクターが次元の高低を問わず大好物なんだ。背負っているカルマが重ければ重いほど、沈み込めば沈み込むほど、カスければカスいほど、その後の飛躍は高くなる。
 だから東はカスいままであってほしい。ネットでたくさん悪口を言われていてほしい。
 でも大丈夫。そういうカスさも含めて、俺は東のこと大好きだからな。

 

 近所の映画館が明日でトラペジウムの上映を終了する。最終日は当然観に行くが、それ以降のことはわからない。供給が途絶えたら俺はどうなるんだろう、本当に恐ろしい。

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