令和4年 筑波大学情報学群知識情報・図書館学類 編入体験談 第1弾
こんにちは、帆立です。
筑波大学情報学群知識情報図書館学類の3年次編入に合格致しました。(来年春から筑波大生です!やったね!)今回はその編入試験談第一弾をこのnoteに綴りたいと思います。
当時の私について
大学2年
大学受験現役時代 センター得点率 75%?ぐらい
地方の公立高校出身。現役時代は理系選択でした。
得意科目は英語と化学と日本史、苦手は物理でした。センター試験が失敗したために(本当は8割超えたかった)中学生から憧れていた名古屋大学のセンター利用推薦を受けられず、一般合格はさらに絶望的であったのでモチベーションをなくし、「とにかくどこでもいいから現役合格」を目指し、東京の国立大学を受験していました。が、あまりの受験へのモチベの低さに不合格。現在の所属大学は後期試験で拾っていただきました。浪人する気はなかったので不本意ではありましたが入学することになりました。
前期試験は絶対に落ちたくなかったので(とにかく都会に出たかった)A判定が出ている東京の国立大学を受験しました。地元からどうしても出たかったので親を説得し、後期は絶対受かる大学に出願するということで折り合いを付けました。しかし正直にいうとセンター前まで目指していた大学へのこだわりをなくせず、あまりモチベーションが上がらず勉強に身が入らなかったため(東京にある、というだけで受けてた)不合格で、慌てて後期の面接試験に取り組んだ記憶があります。
後期試験は面接のみで、センターは3教科で86%?とかでA判定、まぁ落ちることはないだろうと余裕で臨んでいました。(というのは嘘で普通に緊張した、面接自体はめちゃくちゃ手ごたえアリだったのでドヤ顔で教授たちに挨拶をして退出した)そうしてギリギリで進路が決まり、無事大学生になりました。ここまで書くと自分のモチベーションの低下っぷりが酷いことがわかりますね。センター後に希望を見いだせずどこでもいいから受験終了したいな~としか考えずにテキトーに受験してしまったことを後悔しています。入学後に実家から徒歩圏にある某国立大のカリキュラムをたまたま読んだとき想像以上に私の興味とマッチングしていたので絶望していました。なんでここ受けなかったんだよと。受験期は地元から出たい一心でその大学を調べなかったんですが、今思うと一応は調べとくべきでしたね。というか担任も勧めてよ。
なんで編入試験を受けることにしたか
ここからはなぜ私が編入試験を受けることにしたかについて書きます。私が編入試験を受けようと考えた理由は①学問とのギャップ②大学の校風とのミスマッチの2点です。
①に関しては純粋にカリキュラムとのミスマッチでした。ここに関しては学校が落ち度は全くないのでさらっと書きます。
②私の学部は就職がほとんどで、進学する人はほぼいませんでした。先生方の姿勢としても学生の姿勢としても、就職のために大学にいるので就職頑張りましょう、といった雰囲気でした。大学はアカデミックな世界である、と想像していた私にとってギャップは大きく、次第に大学への足が遠のき、オンラインの授業ですら出席せずずっと布団にくるまって泣いていた時期もありました。大学に行く日でも泣きながら大学のトイレに籠り、サボったこともあります。とても病んでますね。
このような現状を打破するためにまず環境を変えてみようということで編入を決意しました。編入を決意したのは1年の春ぐらいですが本格的に動き出すのは1年の冬ぐらいからです。それまではTwitterで編入アカウントを作り、いろいろな先輩をフォローしてました(これが現在の帆立アカウントです)。
なぜ筑波大学なのか
ではここでなぜ筑波大学を選んだかお話しましょう。
そもそも情報学を学びたい、と考えたときかなり大学の選択肢は狭まることはご存知でしょうか。情報学を学ぶことが出来る大学は増えては来ていますがかなり少ないです。私が知っている国公立大学で情報学部(学群)として独立した学部を持っているのは
・群馬大学 情報学部
・筑波大学 情報学群
・横浜市立大学 データサイエンス学部
・静岡大学 情報学部
・名古屋大学情報学部
・広島大学 情報科学部
(もしかしたらまだたくさんあるかも)といったぐらいです。私大は結構あるっぽいですが私は国公立しか考えていなかったのでここら辺ぐらいしか知りません。
さらに一口に情報学と言ってもどこに焦点を当てるか、によって学べることが全く違います。知識をもたらすものとして「情報」とのかかわり方を学ぶ社会情報学系(メディア学とかも含まれるね)、情報理論を用いた量的な存在としてとらえた情報工学系、人間の脳や行動に焦点を当てた知識情報学系など様々な学問系統があります。
なので情報系の学部に進学しても自分のやりたい研究がその大学ではやっていない、と言ったことが多々あります。私の所属大学の学部も一応情報学系ですが、コンピュータサイエンスよりの情報学系でした。それによって、人と情報の関係性について興味をもっていた私は学問のミスマッチが起こったので大学入試前にここで何を学べるのか、といったことは徹底的に調べた方がいいと思います。(特に情報系志望の方は)(まあ高校生で見極めるの難しいよね)
話は戻りますが私が編入を目指したとき、私の興味のある分野は自然言語処理でした。ここで、文系の情報学部は必然的に弾かれます(調べてみたけど文系情報学部で編入を受け入れているのは名古屋大学だけらしい)。そこで筑波大学情報学群メディア創生学類を第一志望、京都工芸繊維大学が第二志望、静岡大学情報学部情報科学科を第三志望としていました。しかし、所属大学のカリキュラムと編入試験の科目が大きく離れていたので独学での学習は困難であると感じ、筆記試験がいらない上に研究への熱意を直接伝えられる入試形態を持つ筑波大学情報学群知識情報図書館学類(以下、klisとします)に編入を希望するようになりました。
とにかく情報がなかったため試験形態と日程しかわからず、色々な先輩からの情報を集めることで自分の情報不足を補っていました。ざっと思い返すだけで20人近くの先輩と連絡を取りました。とにかくTwitterで「klis 編入」「klis 3編」と検索していました。自分が動き始めたのが昨年度の合格発表のすぐだったので調べやすかったです。そこでたくさんの先輩方が快く相談に乗って下さった上にアドバイスもいただき、私は「klisに行きたい!」という思いが強くなりました。先輩方なくして私の合格はなかったと思います。ほんとうに先輩方ありがとうございました。
学習計画書について
ではここで、多くの受験生を悩ます学習計画書についてお話します。学習計画書はA4で規定の表紙を付ければなんでもOKのかなり自由度の高い計画書です。これを乗り越えるのが大変で、10枚程度でスマートに収めるか、情熱を数十枚に綴るか、といったことですら悩みます。私はWord10.5ptで18枚で提出しました。中には1枚を提出し、プレゼン力だけで受かった方もいらっしゃいます(その方はジャニーズ入試と呼ばれていらっしゃる模様ですが)
つまり、量ではなく質で勝負しましょうね!ということらしいです。しかしたいていの人はジャニーズではないのでそれなりに書いていった方がいいと思います。当たり前ですが。
ここまで読んでくださった方で、「実績がないため質で勝負できないな」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。klisは凄い実績を持って入学される方が多いからです。しかし安心してください。もちろんそのような実績を持って挑まれる方もいらっしゃいますが、実績だけを採点しているのではありません。私の場合は吹けば飛ぶようなボランティアの実績をちょろっと書いただけでしたが合格しました。あくまで想像ですが、すごい経歴(○○賞受賞とか、プロコン出場とか)も確かにアピールポイントになりますが、大事であるのはそこで何を学び、何に対して問題意識を持ったのか、といったことが重要であると感じます。私は自分の居住地域のボランティアに参加したことを書きましたが、ただ参加したことを書くのではなく、そこに参加したことによって得られた経験、または問題意識を伝えることが重要だと思っています。ですので実績がないと危惧されている方は実績以外で自分について伝えられるようにしましょう。実際にすごい実績(アバウト)を持った合格者たちとスライドを共有しあいましたが、共通して言えることは「この経験が自分の目標にどうかかわってくるのか」といったことがきちんと言えている方たちで、ただ実績を羅列されている方はいらっしゃいませんでした。
学習計画は納得のいくまで練り続ける必要があると思います。私はver.18まで作り直してきました。やみくもに直せばいいわけではないのですが変更箇所が多く、なるべくミスを減らしたかったために改訂を繰り返していました。っていうか不安過ぎて泣きながら書き直してました。途中まで学習計画書は先輩に見ていただいていましたが、最後は自分で納得いくように作りました。不安は残りましたが、計画書は納得のいくものを作れたと思います。学習計画書は自分の意見のコアになるものなので早めに取り組んで損はないと思います。言い換えれば学習計画書がフワフワしていると落ちます。学習計画書で合格をとれるようにかなりきっちり書き込んだ方がいいと思います。
プレゼンについて
プレゼンの資料は脅威の42枚(毎年平均20枚程度のスライドらしい)で作成しました。プレゼンは大変重要なので1ヶ月はかける、といった姿勢でいるべきです。私はスライドの大きな変更をするたびにスライドのバージョンを変更していました。さらに、小さい変更ではver.12.4 といった風に小数点で表示していました。上書き保存はするべきではないと思っています。進捗を確認したり、前に採用した案の方がよかったりするためです。私はこのスライドをver14.1まで作りました。つまり大きな変更は14回ほどであったということですね。心配性すぎてプレゼン資料の改変がめちゃくちゃ多かったです。
プレゼン資料についてはこちらを参照してください。
https://www.slideshare.net/secret/264Bhuh1unH0nD
プレゼンはとにかく自分を録画したり聞いてもらったりして練習することです。TEDトークを見るのも勉強にはなりますがあれはあまり参考にしない方がいいです。もちろん取り入れるべき部分もありますが日本とはコミュニケーションの文化が異なる国のプレゼンなので日本人が取り入れるには無理があると思います。それよりも日本人のプレゼンの動画を見る方がいいと思います。私が見た動画は以下のプレゼン動画です。e-Educationの方のプレゼンを高校時代に生で聞いたことがあるのですがほんとにすごいですよ。90分ぐらいの講演で一度も興味がそれることがなくあっという間のプレゼンでした。すごく引き込まれるトーク術で多くの高校生が睡魔に襲われることなく聞いていた記憶があります。なのでこのプレゼンを真似するといいのでは、と思い立ちこの動画をずっと見ていました。
当日について
前日は緊張からくるアドレナリンのせいでほぼ眠れず、当日は謎のハイテンションでした。朝風呂にゆっくりつかって眠気を取り、いつも飲んでいるお気に入り産地のコーヒーをスタバで飲んで会場に向かいました。会場に入ったらさほど緊張していなかったのですが、急に私のsurface laptop3がHDMI変換端子を認識しなくなり、慌てて再起動を試みたものの今度は起動しなくなってしまいました。あの時の焦燥感は今まで生きてきて感じたものの比ではなく、ほんとに落ちたと思いました。何度か起動してみて10分後程度で私のlaptop3が息を吹き返し、画面上に4つの■(マイクロソフト製品の起動時に出てくるアレ)を見たとき感動と安心と何か大きめの感情でぐちゃぐちゃになって泣きました。いい年こいて待合室でめそめそしました。そこですべての緊張が吹っ飛び、いい感じで発表に向かいました。プレゼンの発表自体は今まで最高の出来であり、特に中央に座っていた先生に対しては100%伝えきった!という手ごたえはありました。しかし質疑応答が思ったより圧迫気味でノーリアクションだったため試験そのものの手ごたえはありませんでした。終わった後先輩に昼ご飯をごちそうになりましたが不安過ぎてあまり味を覚えていません。
面接対策
面接対策は非常に多くの先輩にお世話になりました。はやめに連絡を取っていろいろな方に見ていただきましょう。さらに自分でやっておくことは面接で聞かれそうなことをまとめておくことです。私は聞かれそうなことを100個ぐらい考えて臨みました。結果的にその中からすべて聞かれたので、やっておいて損はないでしょう。面接はあまり難しいことは聞かれませんでしたが、的確にこたえるためには相当研究に対して深掘りする必要があると思います。私が一番答えに困ったのは、「その研究方法ですと、○○のようなデータは集められないと思うのですが、どうですか」といった趣旨の質問でした。面接対策では自分のやりたいことを的確に伝えるのが最も大切ですが自分の研究を批判的にとらえることも同様に必要であるとその質問から学びました。また私は研究の道に進みたいことをプレゼンに示していたのでそれがハッタリではないか見破るためでもあった気がします。確かに研究職に進みたい、大学院へ進学したいといったような意思表示は面接ウケがいいのは事実ですが面接ウケがいい=研究者としてどこまで研究に真摯に取り組むつもりなのか聞いてみたいといった気持ちを面接官に抱かせるので覚悟を持って臨みましょう。
最後に
このようなまとまりのない体験記を読んでくださりありがとうございました。私から言えることはあまりありませんが、一つだけ最後にこの編入体験を通して考えたことがあるのでここで述べます。
「なんでこの大学に行きたいの?」
この理由に正解はありません。学歴コンプレックスでも学歴ロンダでも、単に今いる大学がしっくりこなくても理由はなんでもいいと思います。しかし理由がどうであれ目的意識をもって編入試験に全力で挑むことが大切であると考えています。短大生や高専生と違い、わざわざ別の大学に編入する、というのは他の大学生と比べて大変に労力と時間を必要とするからです。ですのでご自分の納得のいくように皆さんだけの志望理由を持って熱い思いで編入試験に取り組んでください。応援しています。