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【LA SPORTIVA マンダラ】レビュー(あるいはNO-EDGEの魅力について)

割引あり

発売を待ちわびていたLA SPORTIVAの新作クライミングシューズ【マンダラ】

早速購入し、履いてみたのでレビューを書いてみようと思う。


「NO-EDGE」の魅力

まず前置きとして「NO-EDGE」の魅力について書きたい。

これはマンダラに限らず、LA SPORTIVAの他のNO-EDGEシューズであるフューチュラやジーニアス、マントラといった靴にも共通する魅力でもある。

正直言って僕はこのNO-EDGEシステムこそがクライミングシューズがたどり着いたひとつの「正解」だと思っている。

エッジのある靴に慣れている人にとって最初は違和感が強かったりするため、ある程度上級者向けの形状であるとも言われているが、敢えてここで言いたいのは、初中級者こそ積極的にNO-EDGEシューズを履いて貰いたいということだ。

今回は数多いNO-EDGEの魅力の中で、特にそのあたりにスポットを当てて書いていきたい。

まずLA SPORTIVAのホームページから抜粋すると、NO-EDGEには次のような効能があるという。

https://www.sportivajapan.com/technology-sportiva/

これは確かに使っていて強く感じる。

この効果によって、高難度課題に頻出する薄いうえに外傾したフットホールドに対して他に類を見ない安定を感じることができる。

スメアリングとエッジングを組み合わせた造語である「スメッジング」という技術があるが、NO-EDGEはこのスメッジングが抜群にやりやすい

そして高難度課題になるほど、素直にエッジングして掻き込むことができるようなインカットした(または水平に近い形状の)フットホールドは登場しなくなり、壁方向に押し込むように圧をかけ続けながら踏み続けるスメッジングをする必要のある外傾したホールドだらけになりがちだ。

スメッジングのための姿勢

前述のとおり、高難度課題に対応するためにはスメッジングは必須のテクニックと言っても良い。
NO-EDGEの魅力として今回強調したいのは、このスメッジングの習得を助ける効果があるというところだ。
初中級者も履いてほしいという理由はそこにある。

もっと言うと、デッドポイントを活用してふんわり登るための「前後の動き」を作るための適切な姿勢・ポジションに導きやすい効果があるとも言える。

エッジングとスメッジングの違いをざっくり図示してみる。

ここで分かるのは、スメッジングをするためには足はある程度壁に対して角度をとらければいけないということだ。

真上から真下に落とすような形で足を置きに行ってはスメッジングは成立しない。
壁方向にナナメに靴を押していかなければいけない。

そのために、腰は壁から適切な距離を取っている必要がある。

腰が壁にぴったりくっついているような姿勢からではどうやっても靴をナナメに押し込むことはできない。

さて、この腰が壁から適切な距離をとった姿勢というのが「前後の動き」を作るのに最適なポジションでもある。

これについては以前X(旧Twitter)で簡単な図をポストしたことがあるのでそれを流用したい。

前後の動きを作るというのも上級課題を登る上で必須のテクニックである。

つまりまとめると
・NO-EDGEはスメッジングが安定しやすい
→スメッジングを多用したくなる
→スメッジングに最適なポジションどりを自然にとるようになる
→そのポジションは前後の動きを作るのに最適なポジションでもある
→さらに登りが安定する

そういった正の循環が生まれる。

初中級者が(特に強傾斜の)高難度課題に跳ね返されてしまう理由で特に多いのは、この前後の動きを作るためのポジションが取れていないということにある。
とにかく腰を壁から放したがらない。
外傾したホールドに足を置くのを嫌う。
インカットホールドに足を「引っかけ」て膝の力で腰を壁に引き寄せ(これがまた膝に悪く故障の原因にもなりやすい)その場に留まるための安定を取ろうとする。
結果、次のホールドに手が出ない。
手が出ても、後方に離れながら手を出すことになるのでなかなか届かない。届かないということは単純な筋力不足だ、自分は(体質的に・年齢的に・性別的に)もう筋力はそうそう伸びないんだ、ということは自分はもう強傾斜でグレードを伸ばすことはできないんだ。
仕方ないんだ。
そうやって諦めがちだ。

そういった初中級者が陥りがちな負の循環を絶ち、正の循環に入っていく手助けをしてくれるのがNO-EDGEテクノロジーなのである。

さて、ここまで読んでいただけたらもう皆さんにNO-EDGEシューズが必要であるということはご理解頂けたと思う。

マンダラでもフューチュラでもジーニアスでもいいのでとにかくNO-EDGEシューズを履いて練習してみて欲しい。
はじめは違和感があるだろうが、半年ほど真剣に付き合って貰えれば自分の登りの変化に気づくことができるはずだ。

もともと最適なポジションで登っている人にとってはNO-EDGEはまさに即戦力だ。
安定感のあるあなたの登りにさらなる安定をもたらしてくれるだろう。

おわり

……じゃなかった、本題はマンダラのレビューだった。
NO-EDGEの魅力を語るのに夢中になってすっかり本題を忘れていた。

ではここからマンダラのレビューを書いていこうと思う。

エッジング性能が何点でスメアリング性能が何点でヒールフック・トウフック性能が…
などといった点数付けをするつもりはない。
そういうのは某雑誌にでも任せておけばいい。

そんなのを僕の主観でつけてしまったら全部満点付近になってしまう。

主に以前履いていたフューチュラ、スクワマとの比較、現状同時に履いているドラゴとの比較によってマンダラという靴の独自性を語るという内容になる。

有料になるが、気になる方は是非とも購読いただきたい。

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