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豊島でアートを見ずに風景を観察する

こんにちは。あまりの暑さに日本陸軍の「雪の進軍」を聞きながら写真を編集している私です。軍歌って作業の士気を上げるという分には結構効果的だったりして。知らんけど。

今回は豊島に行ってきたのでその時の記録を紹介します。

一般的に「豊島」と書く島は今回紹介する豊島てしまの他に広島県呉市、とびしま海道中の豊島とよしまと愛媛県上島町の豊島とよしまの2つがありますが、この記事は香川県土庄町の豊島の記録なのでお間違えなきよう。

かつては産廃が不法投棄されていたことから「ゴミの島」と呼ばれていた豊島ですが、最近は直島と並んで「アートの島」として知られています。そこら辺の歴史を書き込むと長くなってしまうし、ネットで検索したら簡単に出てくるので気になった人は調べてみてください。

自分は島の原風景を好むのでアート作品にはあまり興味がなく、作品の写真はほとんどありませんので悪しからず。

訪問日:2024年7月19日 金曜日


豊島までの道のり

行きの岡山までは夜行バスを使用しました。乗車したのは何度もお世話になっているオリオンバスさん。岡山に6時半着っていうのがとっても安くて便利。コロナ禍中は価格がとち狂って岡山まで2,500円で行けたことがありました。


バスタ新宿 21:35発

 オリオンバス 7351便 岡山・高知行き ¥4,900

岡山駅西口 6:35着

早朝の三木SAにて(ピンボケ)

岡山駅に到着しました。黄色い旧型車両のブォォォという重厚感溢れるサウンドが聞こえてきます。てっきり新型車両に置き換えられたと思っていたのでまたこの音が聞けたのは嬉しい。

車庫に入庫する回送(奥)と山陽線 瀬戸行き

ここからは瀬戸大橋線、宇野線を乗り継いで宇野を目指します。
高松行き快速マリンライナーは平日朝なので立席客がいるぐらいの混雑。茶屋町で乗り換えた宇野線も通学の高校生で満員で席に座れませんでした。旅先でこういった通勤通学の時間帯の電車に乗ると、自分もその土地の住民になった気がしてなんだかニヤニヤしてしまいます。

宇野駅にて。こちらは新型車両になっていた。

岡山駅 7:10発

 瀬戸大橋線 快速マリンライナー7号 高松行き

茶屋町駅 7:26着 / 7:28発

 宇野線 宇野行き

宇野駅 7:53着 計:¥590


宇野駅から歩いて宇野港へ。途中にあるセブンイレブンで昼食を調達。大量に乗っていた高校生はそれぞれ自転車や徒歩で散らばって行きました。宇野からは一旦知り合いに会うため直島に渡ります。

風戸港行き「せと」(左奥)と宮浦港行き「なおしま」
宇野港を出港。朝は人が少なくて風が気持ちいい。
おなじみ四国汽船の「四」をモチーフにした社章
瀬戸内海は青さに混じって若干緑がかっている。
この色に出会いたかった。
赤いかぼちゃが見えたら到着。

宇野港 8:22発

 四国汽船 フェリー なおしま ¥300

直島・宮浦港 8:42着


船の大きさの割に距離は短く20分ほどで宮浦港に到着。ここで豊島に向かう高速船が出るまで40分ほど友人と歓談。2年ぶりの再会を喜びました。

宮浦港を出航する高松港行きフェリー「あさひ」


時間が経つのはあっという間。また来るねと友人に言って豊島・犬島行き高速船「アートバード」に乗り込みます。夏休み前の平日を狙って訪問したため、観光客はそう多くないと踏んでいたのですが、船尾デッキは外国人観光客で満席。扉を開けてクーラーの効いた船内に入ると中はガラガラ。本当はデッキで風景の写真を撮りたかったのですが、仕方なくやや低い位置にある船内席に腰を落とします。

出航時間になると速やかに発進。さすがは高速船、平均速力25ノット(時速約45キロ)を発揮して豊島・家浦港を目指します。ようやくこの記事の本題です。

高速船「アートバード」
涼しい船内。写っていないが天井には周辺海域のデカい地図が貼られていた。
途中、右舷側に見える井島(石島)の石島集落。
島内に県境がある珍しい島で、岡山県側と香川県側で呼び名が異なる。定期航路はないが100人ほどが生活しており、いつか行ってみたい島。
家浦港入港直前に宇野港行きフェリーてしまと反航。

直島 宮浦港 9:20発

 四国汽船 高速船 アートバード ¥630

豊島 家浦港 9:42着


ようやく(?) 豊島上陸

高速船で夏晴れの瀬戸内海を疾走すること20分あまり、家浦港に到着。

港で待ち構えていた緋田あけた石油さんの送迎車(軽トラ)で送ってもらい、レンタサイクルを借ります。豊島には何軒かレンタサイクルをやっている店がありますが、今回は数時間で返却してしまうので、時間制・手荷物預かり無料の緋田さんを利用しました。

緋田石油さん。外観は普通のガソスタ。

緋田石油レンタサイクル(4時間) ¥1,000


家浦集落

まずは港にほど近い家浦浜地区をぶらぶら。昭和初期築と思しき家屋が立ち並びます。アートしかないだろうと全く予習していなかった自分は仰天。

奥に見える煙突のようなものはアート作品の1つ。
若い女性グループがずっと自撮りをしていた。
路地越しの海。
奥には赤い火の見櫓。他の観光客は見当たらない。
上部に意匠の付いた古いショーケース。
たばこ屋だろうか?と思ったら下に答えが書いてあった。
文化圏としては本土ではなく小豆島に属する豊島。
この「魚ぎん」は土庄で現在も営業している。
吸い込まれそうな路地。
Gホイホイに引っかかるゴキの気持ちも分かります。

自転車を押して海の方へ。

どこからかヨットが入港してきた。
これもアート作品のようだが説明がなく、よく分からない。

海とは逆の方向に移動して郵便局や学校のある家浦岡地区へ。

移動する途中にあったオリーブ畑。
産廃投棄問題からの再生を意識したものだろうか。
離島にしては珍しく、湧水が多いようでこのように川も流れている。
水が張られた田んぼが広がっている。
とてもこの規模の島内とは思えない光景だ。
イチゴのハウス栽培が盛んなようで、いたるところに
ビニールハウスが建っていた。
離島にいるはずなのに、さざ波
ではなく川のせせらぎが聞こえる。
昭和4,50年代の日立の看板に
8K放送ののぼりがアンバランス。

続いて南部にある甲生こう集落に向かいます。途中峠越えをすることになるので電動自転車を借りておくと良いです。

切り通しのような道を行く。
途中現れた溜め池。豊島にはこうした溜め池が300個以上あるようだ。
この溜め池には人喰い魚がいるらしい
備讃瀬戸の島々にありがちなこういう道。
数歩おきにシャッターを切ってしまう。
見事な棚田が広がっていた。
手前にはオリーブが植っている。
坂を下れば甲生集落に到着。

甲生こう集落

豊島の南部に広がる甲生集落。木造住宅がギュギュッと密集しているような感じではなく、独立した1軒1軒のお宅がパラパラと間を取りながらまとまっているような印象だった。

様々な時代に建てられた家屋が広がる。
瓦の色もカラフルだ。
山陰でよく見られる石州瓦のお宅もあった。
家主がそのあたりの出身だったのだろうか。
立派な塀は材木で財を成した片山邸で、江戸後期の建築。
場所によって石垣の積み方が異なっていて面白い。
ここにも赤い火の見櫓が建っている。
海沿いに出ると砂浜が広がっていた。
しかし石がゴロゴロしており裸足だと痛そう。
お椀型の島は男木島。
夜は男木島灯台の灯りがよく見えるという。
浜辺のアート作品
海沿いにある食事処「オーシャンビュー琴」。
観光地にしては良心的な値段。
甲生漁港の築堤はコンパクトながら
複雑な構造をしていて迷路のよう。
港の守り神、三對神社。
漁港から海を背に集落を眺めた様子。
バックは島の最高峰、檀山だんやま(標高340m)。

例の坂道へ。

時刻は正午。乗る予定の船の時間まで1時間を切りました。最後に唐櫃からと地区にある、現在豊島で一番有名と言っても過言でない場所に向かいます。甲生からその場所までは約5km。しかも結構な山道なので体力が削られます。

峠を越えるまでこのレベルの坂道が連続して続く
斜面のオリーブ畑越しに海を見渡せる場所があった。
中央に土庄港行きの第一しょうどしま丸が写っている。
この場所では昭和初期からみかん栽培が行われていたようだ。
「見晴らし台」と称された場所から撮影。
右手前は小豊島、奥は小豆島。
唐櫃地区に入ると、肉用牛の姿が。
急いでいてこれ1枚しか撮影していない。

飛び込み坂で

ヒィヒィ言いながら自転車を漕ぐこと20分弱、ようやく目的の場所に到着。「海に飛び込む坂」としてSNSなどで有名な坂道です。Instagramで「豊島」と調べるとこの場所で撮られた投稿がたくさんヒットします。

坂を降りたところに豊島美術館と駐輪場があり、自転車を置いて撮影開始。夏休み前の平日だからか他の観光客は2,3人ほどでした。

まずは基本の構図。対岸は前島、牛窓の街並み。
写っていないが右側にキッチンカーとテラス席があり、
そこに人が来ていた。
大事な生活道路であることを忘れてはいけない。
思ったより通る人も少なく、単調な写真しか撮れない。
左に目をやると、見事な棚田が。
歩いて中に入っていけるようだが、時間がなかった。


事前に太陽の位置や光線を調べた甲斐あって良い条件で撮影できました。船の時間が迫っていたので15分ほどで撤収。次は友人とかモデルを連れて来たいなぁ。


家浦に戻り、緋田石油さんに自転車を返却。唐櫃→家浦は下り坂が多く、火照った体には少し助かりました。

きっぷを買って桟橋までダッシュ。宇野港行きの快速船「みらい」に飛び乗り島を離れます。冷房が効いていてとても気持ちいい。乗船客は自分の他におばあちゃんが1人。

小豆島のゆるキャラ、オリーブしまちゃんとミモザのりくちゃんが描かれている。
この「みらい」は2年前に就航したばかりの新造船で、
最長1時間の航路ながらコンセントを装備している。
この椅子が身体にフィットしてとても座りやすい。
下手な夜行バスより快適かもしれない。
内航船とのデットヒート…とはいかずあっという間に抜かしてしまった。

豊島 家浦港 12:55発

 小豆島豊島フェリー 快速船 みらい ¥780

宇野港 13:20着


屋外デッキはないものの、高速船にありがちな弾むような揺れもなく、快適な船旅でした。これで豊島の旅行記は以上となります。

このあとは下津井に向かいます。

宇野到着後、5分ほどで土庄に向けて出航した「みらい」

下津井の記事はこちら↓


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