無責任なハッピーエンド

今日が初めてのワンピースを着て、カフェの階段を下る。スカートの丈が長いから、踏んで転んだら怖いなと思いながら1段1段丁寧に。最後の段差に気付かず踏み外して、カフェラテを盛大に被った。

この前、信号を渡るときに「ここで車が突っ込んでこないなんて言い切れないよな、」って思っていた。その日のニュース、丁度私が不安がっていた時間帯に知ってる土地の知ってる横断歩道で事故があったって。

家族ラインに送られた蕁麻疹が出たお姉ちゃんの写真を見て、おとといあたりに見たお姉ちゃんに関する怖い夢を思い出しちゃったり。

関係ないことも繋げて考えてしまう、悪いくせ。

小学校低学年くらいの男の子が転んでいた。その子をそそくさと抱え上げ冷淡な様子で足早に歩いている男性を見た。その一部始終を見ていたであろう男性が、「お兄さん!それ虐待ですよ!」と勇敢に声を発して呼び止めていた。

足早に歩いていた男性は立ち止まっていて、「警察」というワードが聞こえたけれど、どちらが発したのかわからなかった。私は通り過ぎることしかできなかった。

怖いことが起こらないといい。勇敢な男性の行動が事前に危険を阻止した正解であってほしい、と思う。でも、その言葉がけが、もしかしたら危険なスイッチを押してしまったかもしれないとも思う。

「誰も傷つかないでほしい」なんて嘘だけど、「安心できる居場所があればいい」とは思っている。

もしあの2人が本当に親子であれば、帰った後に「さっきはごめんね」なんて会話が繰り広げられていればいい。


でも私は、心配しているつもりでいてなんて無責任なんだろうな。私が見ている外のストーリーは知らなくて、勝手に想像して、勝手に願っている。結末なんて知れないのに。想像を絶することが多分いっぱいあるのに、私は夢でさえ、怖いものは知りたくない。

自分のハッピーエンドも知らないままに他人のハッピーエンドを勝手に思い描いているだけ。無責任に終わらせるなよな、


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