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オレンジの反対の色

ひょんな会話から母が「お腹へった」が最近わからないということを知る。娘の私は食後の3時間後におやつを食べないと空腹で不機嫌になるというのに。
昔はわかっていたそうだが、今は空腹に関わらず時間で食事をとっているのでセンサーが機能しなくなったのではと言う。加齢もあるのかもと言っていた。加齢、色んなことが鈍くなっていくんだろうか。
今は同居してる人間がいるけど、いなかったら食事も適当になって、おなかがすかないから一日一食とかにするんだろうか。そんなことを妄想して勝手に切なくなる。出来る限り、すこやかであってほしい。

花粉飛散に関する印象的な出来事で、友人が目にかゆみを感じすぐ薬局へ目薬を買いに行っていた、というものがある。
花粉が飛び始めた頃、晴れて気持ちがよかったので散歩をして、友人の家に着いたら目がかゆいと言い出した。たしかに充血している。友人は私が帰るタイミングで赤子を抱っこひもで捕え、一緒に外へ出て目薬を買いに行った。

私はこの行動のスピード感にとても感動した。
もし、私が同じ状況に陥ったら、こうはならない。かゆいなあと思いつつ、何かのついでに目薬でも買うか〜とぼんやりして、そのまま数日過ごし、何なら花粉のシーズンが終わるまで買わない説までもある。
「かゆい→どうしよう→買いに行くの面倒だな→何が効くのかな→よく分からなくなってきて放置→やっぱりかゆい→購入」と「かゆい→購入」みたいなものだ、全然違う。目のかゆみの度合いもあるだろうが、やはり友人の行動の早さは尊敬に値するものだった。すごい。

ぽんやりした外見だが、チャキチャキしているひとで、旅行の取り決めから婚活に至るまて、決心したら即行動をする。問題解決が早い。私は問題提起も解決もなかなかできなくて、彼女のそういうところに強い憧れを抱いている。
うーむと悩んだとき、立ち止まったとき、怖くて行動に移せないとき、目薬を買いにさっさか薬局へ入って行く彼女の姿を思い出して、自分を奮い立たせている。

電車で「オレンジの反対の色は?」という言葉が耳に入る。隣に座るカップルがイチャイチャしながら話している、面白い会話というか良い雑談だなと思った。そして頭の中に色相環が浮かび、橙の反対は青です、と声に出さず答える。
「黄色かな」「黄色?」「黄色はオレンジの親戚?」「そうかもね」なんて話を続けていた。ふたりが思い浮かべてる色がどういうものかは分からないけれど、例えばギンギンの元気なオレンジとやわらかくてふかふかの黄色なら反対かもしれない。そうなると色相は類似していて「親戚」だが、トーン(=彩度と明度)が対照的で「反対」と言える。色相環だけの知識をひけらかして青だよ〜と思った自分が恥ずかしい。ふたりのやわらかい感覚がとてもまぶしく感じた。

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