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【講演会レポート】2022-01-23 みんなの家シンポジウム

※タイトルイメージは本記事末尾の「関連情報」のリンク先より引用

●概要


 「くまもとアートポリス建築展」関連イベントとして「みんなの家シンポジウム」が2022/01/23に熊本会場(熊本)と東北会場(仙台)及び、各地のみんなの家をオンラインで結んで同時に開催された。主な登壇者はみんなの家の設計者と現在の利用者。

●展開


 全体は2部構成になっていた。第1部はすべての会場を繋いで議論が行われ、第2部は熊本グループと東北グループで個別に話が進められた。
 第1部は蒲島郁夫熊本県知事の挨拶、伊東豊雄くまもとアートポリスコミッショナーによる導入説明があった。その後で各会場、サテライトの参加者の紹介などがあり、司会のアートポリスアドバイザーの曽我部昌史氏のファシリテーションにより議論が展開された。
 東北グループの第2部では、せんだいメディアテーク、相馬こどものみんなの家、新居浜のみんなの家がオンラインで接続され、登壇者がメディアテークの会場からの質問に答える形式で設計者の柳澤潤氏がファシリテーターとして意見をまとめていた。
(※熊本グループの第2部については情報収集中)


●論点


 大規模災害が発生すると復旧の一環として仮設住宅地が設けられる。雨露を凌ぐという意味での機能性を除けば、それらのQOLは一般的に高いものではない。「人はパンのみにて生くるものにあらず」という言葉は、とくに行政による緊急事態対応時には容易に忘れ去られる。しかし、そのような非日常に投げ込まれ、緊張を強いられ続ける人々にこそ「パン以外のもの」が必要なのである。
 一般的な公共施設は、行政がハコモノを作り、それを市民が利用するという、いわば上意下達型プロセスによって建設されている。そこでは「パン以外のもの」を意欲的に取り込もうとする良識ある設計者の意見などは、経済合理性や既得権益、または前例主義を墨守しがちな官僚制度などにより、雲散霧消させられる。
 「みんなの家」は、このような現状に対して一石を投じる試みである。仮設住宅に後付けされた被災者のための単なる福利厚生施設ではない。公共施設の意味を問い直す壮大な実験なのである。そして、公共施設を考える議論は、公共性の問い直しに帰着する。

●関連情報

HOME FOR ALL SYMPOSIUM ━ みんなの家って何だろう ━
2022年1月23日(日) 1部:14:00-16:00 2部:16:00-17:00

↑みんなの家の「3つの理念」や各建物のコンセプトが説明された動画リンクあり。

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