島川柊

脚本家。劇団東のボルゾイ共同主宰。東京藝大卒。 https://hiiragishi…

島川柊

脚本家。劇団東のボルゾイ共同主宰。東京藝大卒。 https://hiiragishimakawa.wixsite.com/amakihagata

最近の記事

【詩】まばゆい速度

すごく離れたここから きみの心音が聞こえる ちゃんと聞こえている どうか憂鬱をくぐって ここを超えて向こうへ もう耐えられなくても きみは、まばゆい速度 何ひとつ失わなくていいんだ 2022年12月

    • 【詩】棘の王様

      僕は棘の王様 君の国の隣の国の  とてもえらい王様 白い花を咲かせて 赤い実をつける 他の誰にもできない 僕は棘の王様 森の奥のかなり遠くの  もう戻れない王様 守れと言ってくれたら 血が出るまで刺す 他の誰にもさせない (2022年9月)

      • 【詩】123号室

        月のない夜は 彼女の悲鳴が聞こえる 壁に耳をつければわかる 今夜もどうせ大丈夫 だけどそいつはきっと 食事のマナーも知らないようなやつだろ 1 2 3 のノックのあとは 1 2 3 でひと刺しだ 任せてくれ 1 2 4 号室の僕が お隣のきみを救ってあげる 月の降る夜は 彼女の笑い声が聞こえる 昨日のことをもう忘れてる 来る日も来る日も繰り返す たのむ信じてほしいんだ レプリカの銃を集めるような僕だけど 1 2 3 のノックのあとは 1 2 3 で一撃だ はじめまし

        • 【詩】新月の誘い

          早くおいで 足を踏み出してここへ 早くおいで 愛しい人を裏切って 早くおいで すべて諦めてしまえ 正しくされた嘘に まみれているくらいなら 考えるだけ罰が当たるよ 早くおいで 早くおいで 目を瞑ってまっすぐ 2019年7月

        【詩】まばゆい速度

          【詩】愛じゃなかった

          きみのは愛じゃなかった だから僕のも愛じゃなかった 夕焼けならよかった さえずりならよかった 息継ぎならよかった でもそのどれでもなかった もうきっと 二度と会わないだろう だって心から 嫌になるほど きみを嫌いになれないから 2022年10月

          【詩】愛じゃなかった

          【詩】Smell of the Sun

          欠けたとこまで完璧だった 流れる雲 ガムの包み紙 瞬きと相槌と太陽の匂い 何でもあるここに 永遠だけはないって知っていたね 掴まれたまま眩暈がした 抱きしめる嘘 撫でるおやすみ 唇と約束と真珠色の月 何もかも消えても 運命のお世話になんかならない 瞬きと相槌と太陽の匂い すべてがあるここに 二度と戻らないって知っていたね 2014年4月 (ミュージカル『並々ならぬ恋』"太陽の匂い"原型)

          【詩】Smell of the Sun

          【犯行声明】劇団新作『バウワウ』について

          わたくしめが主宰アンド脚本している劇団が、夏に新作公演をします。ミュージカル『バウワウ』。タイトルからいきなり吠えたてまつってごめんなさい。 公演特設サイト(↑)のあらすじに 「作品内でセクシャルハラスメント、セカンドレイプを扱っています。行為を肯定、助長する内容ではありません。」 って書いてるんです。 何事なの?って言うてますか?聞こえてるよ。 現代劇を作る人間として、現代社会の問題に立ち向かわなきゃいけない時が来たんです。 ていうかやっと自分に、立ち向かえるくら

          【犯行声明】劇団新作『バウワウ』について

          張り切って書きすぎた初投稿

          カフェでパソコンを叩いていたら、目の前を蚊が横切った。 初夏の到来には薄々気がついていたが、春の延長を希望していた。ので、虫除けスプレーをしていない。恥ずかしながら完全な丸腰、長閑な昼下がりが一気に危機一髪です。 そういえばここのカフェは、夏になると蚊が堂々と来店する、思い出した。 「自動ドアの風圧で吸い込まれた、別に入店するつもりはなかった、誰でもよかった」等と供述し、店内を我が物顔で飛び回る。去年も一昨年も、好き放題弄ばれたんだった。 東京湾がすぐそこにあるからか。

          張り切って書きすぎた初投稿