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レンタルビデオ屋の最後の悪あがき

 レンタルビデオ屋シリーズの続編だ。

 後日再び、レンタルAV(アダルトビデオ)の最終処分場と化したレンタルビデオ屋へ向かった。商売繁盛してまっか!?と言わんばかりに、暖簾をかき分け、18禁ゾーンに立ち入る。下心などない。これはあくまで市場調査の一環だ。アダルトビデオを記録する媒体として一世を風靡したDVDが収束する様、テクノロジーのひとつの時代が今まさに終わろうとする様、をしかと、この目で確かめておかなければ、これから新しい先進技術を世に広めようとする技術者とは言えないであろう。私は、後輩技術者のお手本になるべく、高い志を持って18禁コーナーに立ち入るのだ。

 のれんかき分けると目の前に棚が現れる。棚は全部で3行存在する。各棚の間には通路が設けられているのだ。あれ。入って左手の通路に台車がある。私の身長くらい(175cmくらい)までダンボールが積み上がっている。私の真正面にある棚の裏に従業員がいるようだ。私は18禁ゾーンで他人に遭遇しても、もはや気まずさなど感じない。たとえそれが女性従業員であっても、だ。従業員が作業する棚の行へ向かう。中年男性が新作アダルトレンタルDVDを補充していた。なるほど。まだ新作についてはレンタル需要があるのだろう。中年男性もやけに冷静だ。あくまで仕事と割り切れば何とも思わないものなのだろうか。
 次に、従業員の近くに配置されているレンタルAVの墓場を確認した。前回は青年が一心不乱で物色していたが、今回は私だけだ。ざっと見積もると約1,000枚はあるだろう。2枚で¥1,000。ざっと、トータル50万円といったところか。なかなかである。紙のジャケットがDVDとともに透明袋に同封されている。卑猥な文言と卑猥な男女の姿が印刷されている。まあエロい。バーコードをスキャンするのはレジの店員であるが、どちらも若めの女性である。近くに大学があるから大学生かもしれない。これを大量購入して、レジに持っていけば、私はセクハラで訴えられてもおかしくないな。なんて考える。これまで権力者によって隠蔽されていた様々なセクハラの数々が暴かれているのにも関わらず、本件については議題にすら上がっていない。ニュースで報道されるセクハラは氷山の一角なのだと実感する。
 あくまで市場調査であるから購入するつもりはない。外に出る。店内をうろつくと、レンタルAVが収められているとみられる1辺1m程度のダンボール箱が10個程保管されていた。かなりの量だ。この内どれほどがAVの最終処分場へと向かうのだろうか?2,000枚?いずれにせよ、レンタルビデオ屋はレンタルAVの最終処分というビジネスに味をしめているようだ。レンタルビデオ屋の最後の悪あがきといったところだ。

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