ハミ出し者の集う町

 今日、再び何かに導かれるようにとある町に訪れた。以前啖呵を切って「こんな町もう来るか!」と言っていた町、河原町、木屋町近傍である。木屋町近傍には、キャバクラ、コンカフェ、ヘルスが集まっている。また、木屋町を少し外れた河原町では、東京には遠く及ばないが、多く?の若者が集う。今回、「ナンパをしに行け!」と誰かに言われた気がして、ナンパでもしようかと思い立ち、河原町、木屋町へ訪れた。

 可愛い子が居て、うまく話しかけれそうなシチュエーションになれば、話しかけてみようと考え町を歩いた。この数日前この手法で20歳の女子大学生と少し会話できたから。(9歳年下!これはよくない。)たまたま、飲食店の隣に座った女性と5ラリーくらい会話が出来たのだ。(口下手ではあったので反省はした。)
 町を歩く。可愛い子は稀に居るが、話しかけれそうなシチュエーションにならない。当たり前と言えば当たり前。半ば諦めつつ町を歩いた。
 河原町通を歩く。「坂本龍馬•中岡慎太郎遭難之地」「後藤象二郎寓居跡」「中岡慎太郎寓居地」の石碑が目に入る。立ち止まって説明に目を通す。約160年前、討幕運動に身を捧げた坂本龍馬らが暗殺された近江屋事件が印象に残る。
 河原町通を北上して、東西に伸びる三条通に至る。右折し直進すれば「池田屋跡」の前に立ち止まり説明にしっかり目を通す。ここは討幕運動に身を捧げた幕末の志士、幕府側の人間が死んだ池田屋事件が起きた場所だ。
 三条通を直進し三条小橋を渡る。三条大橋手前で右折して木屋町に至る。そう、キャバクラ、コンカフェ、ヘルスなど、ハミ出し者が集う町だ。そこを徘徊する。キャバクラが並ぶ通りの正面には、材木の流通経路となった高瀬川が流れ風光明媚だ。昼キャバのキャッチ、酒屋が大量の酒を納品する付近で「土佐藩邸跡」「坂本龍馬妻お龍寓居跡」の石碑を見つける。さらに付近を歩くと、坂本龍馬らを匿った材木商「酢屋」を見出す。酢屋2Fへ上がれば、そこは坂本龍馬が匿われた場所、海援隊京都本部だ。ここに大政奉還などのアイデアが盛り込まれた船中八策を携えた坂本龍馬が匿われていたらしい。面白いことに、ここで坂本龍馬は5mもの長さの手紙をしたためることがあったとか。そこそこ長文Noteを書く私は親近感を抱く。アラサーの革命家、坂本龍馬は材木置き場でピストルの試し撃ち、たまに2Fで試し撃ちしていたらしい。随分と反社会的な革命家、坂本龍馬の生き様だ。私のような、ひどいNoteの公開や夜の街の徘徊など可愛い物に見えてくる。
 どうも幕末から令和に至るまで、木屋町近傍にはハミ出し者が集うらしい。討幕運動に人生を賭けたアラサー坂本龍馬ら、キャバクラ、コンカフェ、ヘルスなど風俗関係者、そして、JTCを理由はともかくドロップアウトした旧帝大工学系修士卒、アラサーの私である。

 さて、もう少し時間を潰そう。龍馬と妻お龍が伴に歩いたであろう木屋町を歩く。

 昼キャバだ。私より年下とみられる好青年のボーイが店先に立っている。誠実そうな雰囲気に惹かれて、立ち止まる。5,500円/1hourだ。折角なので入ろう。そもそも今回の旅の目的は、若い女と会話すること、であった。何も幕末の歴史を巡って物思いに耽るために、ここに来たのではない。街中で可愛い女性をナンパしようなんて思うのではなかった。それを可能にするシチュエーションなんてそうそう訪れないのだ。
 いたって平常心でキャバクラの中に入った。席に座ると早速一人目の女性が出てくる。きれい系だ。お姉さんといった感じだった。会話の内容は覚えていない。一定時間経過すると二人目、三人目と交代していく。
 二人目は銀魂好きの20歳代前半女性。結構グイグイと銀魂に対する熱意を語られた。私は銀魂読んだことないので読もうかなと思わされた。あとキャバ嬢と一緒に出社する同伴を提案されたように感じる。スタバに入るのが怖いから一緒に入って!とのことだ。私も若い時はそう思ったけれど、そのような言葉で同伴しようなんて甘いもんではない。同伴とは恋人同志の一歩手前の状況だと思うからだ。私は「スタバのドキドキ感は未だ持っておいていいんじゃない」とか言って同伴提案?の受諾を回避した。
 三人目は、これまた若くて可愛らしい、ほぼ20歳女性。こんな若い女性に酒を飲ませるなど愚の骨頂だ。老化を早め、発ガンリスクを増加させるアルコール摂取を強要するのはやめた方が良い。因みに、私はもう太りたくないので、ウーロン茶を頼んでいた。勿論女性にアルコールを飲ませるようなことはしていない。女性は飲み物なし!だ。この女性にVIP席とやらについて伺った。一体何をやっているんだ?と。カラオケとからしい。このキャバクラでは至って健全というが実態は定かではない。キャバ嬢への歌舞伎役者によるセクハラ、パワハラを思い出す。
 一時間延長してしまう。もう少しどんな女性がいるのか知りたかったからだ。
 四人目は、目が大きく可愛い若い女性だった。先日、カラオケ及び飲酒したため、声が良くないかも、と心配していた。綺麗な声であったが、確かにそんな生活をしていれば、椿鬼奴の声みたいになるかもね。プリキュアとかの話題について話した。その方は軽音楽に取り組まれてたようで、とある声優を推していたよう。声優に関連するグッズに金を使ったとか。
 五人目は、JA勤務歴のある女性。高卒採用で貯金関連の事務などに取り組まれていたらしい。JAのキャラ、ちょリスが前面に出ていた時期に勤めていたとか。平成だ。何故辞めたのか聞いた。彼女いわく、これだ、という理由は確定しないらしいが、「手取り月給12万円、ボーナス1.5ヶ月分、昇給毎年数千円」「勤務スタート前の準備時間、30分間がサービス労働」、「職場のお局様の態度、例えば、彼女が入った後のトイレに入りたくないというお局様によるクレームやお局様が彼女に伝えたいことがあった場合人づてで伝えてくるといった態度」、「新卒入社直後から始まった50-60歳代上司から受けたお尻を触られるというセクハラ、そして全同僚がその上司を咎めない職場風土」について話されていた。理由めっちゃあるやん。と思った。狂っている職場とは、このことだ。あんなゆるキャラをCMで流しているJAの実態はこんなものなのか。酷く幻滅する。女性がキャバ嬢になるのも、詰まるところは、日本の労働環境が劣悪すぎることに起因するのだろう。末端労働者は特権階級の為の労働奴隷、そして場合によっては性奴隷へと転落していくのだ。
 いよいよラスト、六人目だ。The キャバ嬢だ。殆ど会話する時間はなかったが、The キャバ嬢と目を合わせ会話でき、キャピキャピした対応に満足した。
 お会計1.1万円を済ませて、The キャバ嬢並走のもと出口から木屋町へ出た。よかったよかった。今回、全員とLineを交換した。一応個人ラインだった。流石に本名は伏せられているが。勿論私も本名は伏せているが。そこら辺は抜かりないと思いたい。かなりコスパの良い時間であった。女性6人と会話できたし、知識もアップデートできたし、職場環境の実態も知れた。街中でナンパしていたら到底達成できなかったような、タスクを達成できたのだ。因みに、キャバクラの客には、私のような若造は全く居らず、周りを見れば、中年、年配の方が多数派だった。
 
 ハミ出し者の集う町は、面白い。綺麗事だけ見せてくれる日本のメディアを観ているだけでは到達できないことに近づける気がする。人間万事塞翁が馬である。私がもしもすんなり恋愛結婚していれば、このような文章を書くことも、坂本龍馬と自分を重ね合わせることも、キャバクラの実態などを追求するにも至らなかっただろう。人生は何が起こるかわからない。悪いと思ったことが良い結果を生む場合があるのだ。いつかこの町が、より良い方向へ変わることを願って、筆を置く。

*全て私の体験談。記憶を辿り記載。
*昼キャバから帰宅後、約4時間ぶっ通しで記載。我ながら素晴らしい集中力。本当、この能力をもっと別の事に生かしたら良いのに。

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