外国人観光客にバニラカーを披露する古都。

　運悪く凶弾に倒れた自民党の偉い政治家が言っていた。「美しい国、日本！」「観光立国、日本！」って。これからはインバウンドで荒稼ぎだ！、日本には観光というドル箱資源があるのだ！って。
　
　それがどうだ。古都は美しい！っと期待していたにも関わらず、なんなんだ。詐欺被害にあったようだ。ふざけるのも大概にして欲しい。これでは観光地ではなく、殆ど性風俗街やないか！いくら円安で来日が安価であったとしても、二度とこんな国、来るかっ！だわ。

　大通りから少し道を外してしまうとドブネズミが這いずり回るような悪臭漂う路地裏に迷い込む！綺麗な店舗のラーメン屋さんの店員さん、すぐ隣の路地裏でタバコを吸うんじゃないよ。
　どこを探してもパンフレットにあるような美人な舞妓はんがおらんやないか。あれは舞妓はんですか？”Is she a Maiko-han?”いやちゃいます。金持ちのおぢと同伴する20歳台くらいのキャバ嬢です。みたらわかるやろ！どうみても舞妓はんではない！残念ながら美人な舞妓はんに会えるのは、どうやって大金を稼いだか分からないような一部の富豪のみなのです。
　お金はないけど、私にも”とらとら”などといったお座敷遊びさせてくれ！JTC（Japanese Traditional Company）に入ればお座敷遊びあるのかな、とか思っていたけれど、上司である中間管理職にはそんな余裕はなく、お座敷遊びなど縁遠い存在なのである。
　駅前一等地、地下から階段を登り地上の土を踏むと、労働者階級に一晩の夢を提供するキャバクラ、セクキャバ、ピンサロ、ヘルスのオンパレード。そこの路地に入ると汚い建物を騙し騙し利用している性風俗ありますよ！昼間にみるとただの汚いオンボロ店舗だ。気をつけてください。店前を通ると中年ボーイが「セクキャバ」と囁くから。江戸末期の武士邸宅跡地付近は汚い性風俗街と化した。
　あれ、なんか聴こえてくるよ！「バーニラ、バニラ、バーニラ求人、バーニラ、バニラ、バーニラ求人！」愉快愉快！祇園祭と一緒にエレクトリカルパレードもやっているの？”Is that an electrical parade with Gion festival?”違います！あれはなんですかと訊かれたら、答えるのを窮する。府の条例に適合した古風な配色でラッピングされた性風俗求人カーが、思わず口ずさんでしまうキャッチーな音楽を流しながら、夏の始まりに、美しい小川流れる古路をエンドレスに走り抜ける。なんなんだこの街は！
　もういいや。安心感のある綺麗なデパートへ向かう。1Fは高級ブランド品店が多いのだ。あれは親子かな？娘さん美人だなー。いや似てないぞ。これもおぢとの同伴だろうか。あれは夫婦かな？奥さん、すごく買い込んでるなー。でもなんか違う感じがする。同伴用のキャバクラと化するデパート。
　デパートの上階へ向かう。またもやあれか。自民党の偉い政治家がリオオリンピックで披露したマリオ。もうそろそろお腹いっぱいなのよ。関西に同じような店舗を何個も作るんじゃない。原価率の低いぬいぐるみを高価に売りつける。商売してまっせ感を感じてしまい夢から醒める”Game boy”だった私！

　もういいや。もうここは、最初に来た時のキラキラ感が失われたのだ。今日は歩いて帰ろう。ランドマークの蝋燭めがけて歩く。もうそろそろ着く。バニラカーこんにちは。道の端で休息をとるバニラカーに遭遇。最後までバニラカーに追跡される男、私である。
　バニラカーの横の歩道を歩く。ちょっと成金っぽくブランドバックを抱えた半袖半ズボンの中年男性が電話している。「•••議員連中にいわなあかんな。申請するときの注意点はみんなにとって利益があるかというこっちゃ。色々な議員いるからな。共産党とか立憲とか。•••」と聴こえてきた。左から右へと政党を述べる男性。維新関係者かい？胡散臭く感じる。このような輩に政治家が唆され、本当に価値があるか不明な事業に血税が投入されているのであろうか。この調子では真に美しい古都は当面拝めない模様。

　別の日、自宅の最寄り駅に降り立つ。バニラカーこんばんわ。自宅近くまで、バニラカーに追跡される男、私だ。わざわざ古都から関所を越えて私の地元までやってくるバニラカーよ、若くて旨みがあり大金をもたらしてくれる女性が、そんなに欲しいのか！欲しけりゃくれてやる！とはならないでしょ。将来の婚約者候補を奪うでないよ、”美しい国、日本の古都“からやってきたバニラカーよ。

あとがき

　先日行った古都のありのままの情景を表現したつもりだ。私はアラ探しの達人である。アラを探せない奴にノーベル賞などあり得ないし、社会を変えることなど不可能なのである。
　探した“アラ”を直せば、”アラ”不思議！真に美しく、かつキラキラ輝く古都が眼前に広がるのだ！