20220814#林日記 「道を切り開く」

私は道を譲らない

決して譲らない

前から俯いて歩く少年
このまま歩いていけばぶつかる
そう分かっていても、私はただ前を見据えて歩く

決して進路は変えない
彼の進むであろう道を開けてやることはないのだ

もう、ぶつかる…
その直前に私は立ち止まる

そうして少年はハッと顔を上げる

「すいません…」
そう言って道を開けスマホをやめて歩く少年

私もものすごく申し訳ないと言った表情で彼に謝罪の言葉を伝える

しかしそれでも私は道を譲らない


前を歩く3〜4人の団体

前に隙間はなく、このままの速度で歩いても私の前を横並びで歩く彼等にぶつかってしまう

それでも速度を落とさない

そして進路を変えない

もう、ぶつかる…
その直前に私は少し速度を下げる

ビタづけで私は歩く
まるで自分もその団体の一員かのように何食わぬ顔で歩く

そうして彼等の1人が私に気づく

「すみません…」
そう言って道を開ける彼等

彼等にペコリと頭を下げ、私は進路を変えずその道を歩く

私は頑なに道を譲らない


混み合うスーパー
私は、私は、道を決して譲らない

だから殺気を放ち歩く

「私にぶつかったら死ぬぞ」
そう心で唱え、誰よりも鋭い眼差しで店内を歩く

小さな子供が楽しそうに走り回っている

「ぶつかったら死ぬぞ」
幼き命にも容赦しない

スーパーで騒いだら死ぬ可能性がある
その事実を幼き命に私は伝える

幼き命の生みの親であろう若い女性が言う
「あんた!危ないよ!…すみません」

こちらもすみません本当に…

しかし譲らない

前から手を繋ぐカップルが現れても、私がカップルに気付いた段階ではもう手遅れである

カップルの間を颯爽と私は歩かなければならない

速度も進路も変えることなく、道を決して譲ることなく、私はカップルの間を引き裂き歩くのだ

私は…私はなぜ道を譲らない?
こんな人生はつらすぎる
引き裂いた後半日くらい「ああ…」て思うのに…

私は決して道を譲らない

私のZeppまでの道のり

私はこの道を譲らない


じゃあバイバイ

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