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sumika リグレット

最初の投稿ということで、
私の大好きなバンド、sumikaのリグレットについて書いていこうと思う。
少しでも魅力的に感じてくれた方には是非聴いてもらいたい一曲だ。

sumikaのリグレットとは

リグレットは、sumikaのミニアルバム「I co Y」に収録されている楽曲であり、

初めてボーカルの片岡健太さんではないメンバーが作曲したものということで、
sumikaの新しい一面を出すことができたとドラム担当の荒井さんもLove Musicで話していた曲だ。

リグレット/regret

regretとは
〔失敗・過ちなどを〕後悔する、悔しく思う、残念[遺憾]に思う

この楽曲の中では、「後悔」がキーワードになっているように感じる。

リグレット、、と言われれば悲しいサウンドを連想させるが、sumikaのリグレットはひと味違う。

歌詞は彼女が忘れられない女々しい男の心情がリアルに表されているものの、
サウンドは爽やかで疾走感があり、とても後悔している人間のミュージックとは思えないようなポップさだ。

しかし苦しいほど切ない歌詞と交わりsumika節が炸裂しまくっている楽曲、それがリグレットである。

歌詞の考察

次についクゥーーーっと言ってしまいそうになる歌詞を考察と共に紹介していきたい。

君の音を聴かせてよ
それだけでいいんだよ
はぐれた心を繋いでよ

冒頭から既に主人公は未練タラタラのようだ。

君の音、私は最初に声を想像した。
何かの本で、人が一番最初に忘れるものは声だと読んだことがある。最後まで忘れられないものは香りらしい。

少しずつ忘れてしまいそうになる彼女のカケラを必死に繋ぎ止めようとする主人公の気持ちが伝わってきて、しょっぱなから胸が痛い。

君の音を聴かせてよ
涙滲んだ水色の音は
聴きたくないから

はい、ここで片岡健太節が炸裂している。

涙ぐんだ悲しそうな声を
「水色の音」と表現しているのだ。

最初私は水色って爽やかだし悪いイメージがなかったのでしっくりこなかったのだが、
悲しい、寂しい、といった感情は確かに冷たい色の水色が一番似合う。

主人公が最後に聴いた彼女の声は「水色」だった。

別れ際でオレンジ色の声を出す人間などいないと思うが、最後に聴く声が悲しい色なのは2人の思い出も冷たくなってしまうようで寂しい気もする。

繋ぎ止めたい彼女のカケラ、主人公が好きな彼女の音は何色なのだろうか。

誰もが羨むような容姿でもない

だけど僕はニットからはみ出ている

前髪を見ていれば幸せで

この歌詞は彼女のことだと私は感じている。

人間って最初の好きは見た目から、それから中身を知って、他も好きになって、、というのがセオリーだと思うが、
リグレットの主人公は彼女の髪の毛、しかも前髪というコアなところでさえも愛しいと感じてしまうほど彼女に心酔だったようだ。

ご飯にソースかけて食べたり

靴下いつもちぐはぐを選んだ

いつも通りの光景を頭に浮かべては

あれもこれも
それもどれも
欲しがっていたけど

この歌詞から察するに彼女はそんな几帳面な人間ではないようだ。むしろガサツくらい。

そんないつも通りの景色が忘れられない。
あれもこれも元通りにしたい、全てが欲しい。

そんな主人公が最後にたどり着いた、本当に欲しいものとは、、、、

君の音を聴かせてよ
それだけでいいんだよ
はぐれた心を繋いでよ

君の音を聴かせてよ
耳を離れない
優しいその音が
恋しく残った

あれもこれも欲しがっていたけど、
本当に欲しいのは彼女の「音」だった。

少しずつ忘れてしまいそうになる記憶の中、一番最初に忘れるものだけれども忘れたくない、だから聴かせて欲しい、声だけでいいから、、、という主人公の感情に胸が苦しい。

私が特に好きな歌詞である
「耳を離れない、優しいその音が恋しく残った」

恋しく残る、なんて切なくて綺麗な言葉なんだろうか。

リグレットにどハマりしたきっかけの配信ライブ「ATTiC ROOM PARTY 2021」ではバラードアレンジで歌っていたのだが(sumikaはバラードアレンジをcamp sessionと呼んでいる)

ここの部分を片岡さんが息を吐き切るように大切に歌っていたのを見てからというもの、
音源で聴く度に切なく苦しい気持ちになる。

大好きだった人に振られた後にこの曲と出会って、恋しく残る声に思いを馳せた日をリグレットを聴けばいつでも思い出す。

この歌詞のあとに「Yeah」というポップな表現がくるのも切なさを際立たせているポイントだと私は思う。

あれが最後の響きだったんだ
水色に響いた涙声

僕が好きな響きじゃないから

せめて最後にもう一度
あの頃に戻って

ここで片岡さんの中でも
音=声であることがはっきりとわかる。

今の声を聴いても元彼に対する音でしかないだろう。
ならあの頃の音がいい、水色でもグレーでもないあの頃の大好きな音が欲しいのだ。

君の音を聴かせてよ
それだけでいいんだよ
はぐれた心を繋いでよ

君の音を聴かせてよ
僕が好きだったあの頃の音を
今も愛している

女々しい男の心情をここで歌いきっている。

余談だが、常々思うことが「女々しい」という言葉に対する違和感だ。
男だって、女だって、大好きだった人への気持ちをスパッと断ち切れるほど強くもないし単純でもない。

だったら後悔して、あの日に戻りたいと思って、もう一度会いたいと思う気持ちは「女々しい」なんていう簡単な言葉で表すのはもったいないのではないかと。

「女々しい」上等だ。それが人間だ。

僕は今日も同じだよ
変われずにいるんだよ

愛しい響きに
揺らいでいる

君は先に進んでしまったかもしれない、時も進んでしまったし、僕は君の音を忘れそうになっている。

でも僕はずっと変われずにいるのだ。
周りのものがどんどん進んでしまって、置いてけぼりになっているような気持ち。

ここではリグレットの曲の中で一番悲しそうな声で片岡さんは表現している。

置いてけぼりな気持ちは私も痛いほどわかる。

もう1年も経っているのにまだ好きだったり、もう好きではなくても思い出してしまったり、そんな時間は無性に悲しくなり自分が成長できていないような感覚になってしまうものだ。

この歌詞に出会って、変われない自分も悪くないのではないかと、私だけじゃないんだと、すごく救われたのだ。

ねえ、
もう一度聴かせてよ

緑色の僕が好きな
君の声を聞かせて

ここで僕が求めているのは
水色ではなく、「緑色」であることがわかる。

緑色、、?と聴いた当初は思っていたが、
落ち着いて、相手も自分も安心して話している平和な日常の音。

それを「緑」という色と片岡健太は捉えたようだ。

楽しそうな黄色でもなく、綺麗なオレンジでもない
ただただ過ぎていく当たり前だった日常の音が欲しいのだ。

響いているのさ

女々しくも同じだよ
その声を求めてしまうよ

その声を求めてしまうことは、あまり良くないことだとわかっているし、不毛なことだと自分が一番知っている。

だけど求めてしまう。
「〜してしまう」という表現で今も好きであるのはいけないことなのだという現実がひしひしと伝わり、1番切ない一節でこのリグレットは終わるのだ。

私が考えるsumikaのリグレット

始まりから終わりまで、爽やかで疾走感のあるサウンドの一方、
一つ一つの言葉が残酷なほどに切ない歌詞、これがリグレットの中毒性だと思う。

恐らくこの歌詞を悲しいサウンドで歌いきってしまったら、苦しすぎて何回も聴きたくなる曲ではなくなってしまっていたのではないか。

この曲に、この楽曲の題名を
「リグレット」
と名付けた片岡さんのセンスには脱帽だ。

すごくすごく好きだった人がいる方、忘れられない恋をした方、あの人の声をもう一度聞きたいなあと思ったことはありませんか?

ぜひ、sumikaのリグレットを聴いてみてください。

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