ゆかりある日記 その12

あられ
ゆかりさんはあられが好きで、袋にたくさんあったあられを一人で食べている。一人で食べたの!と驚くと、食べていいよって言ったから、とモジモジしていたので、これはおそらく僕は食べていいよ、とは言っていなくて、バレてしまったと思った、とっさの言葉なのではと思い、言ってないよ!と言うと、はっ!と気づいた顔を一瞬して下を向き、「言ったよ、食べてもいいよって言ったよ」と同じことを繰り返す。
僕は基本的にすぐ忘れてしまうので、本当に言ったっけと考えたが、そのあられを見るのも初めてだった。
「言ってないよ!」と「言ったもん、言ったもん」を繰り返していると、あられを持って別の部屋へ逃げていく。それについて行く。
あられを開けたのをじっと見ていると、食べる?と聞かれたので、いらない食べて良いよと答える。
僕はあられが苦手。

近所の犬
ゆかりさんは今、近所の犬の名前を知ろうとしているらしい。よく吠える近所にいたダックスフントは桃太郎とい名前らしい。教えてくれたのだけれど、ゆかりさんは動物が苦手で、散歩をしている近所の人と交流をしているとは思えない。どうやって知ったのか。
なんで知ったの?と聞いても教えてれない。ニヤニヤ僕を見るだけだ。そしてさらに自慢げに近所の犬の名前知りたい?と聞いてくる。知りたいと言うと無視された。
さらに近所の白い犬の名前も知っていた。どうやって知ったのだろう。

CMを見ている
ゆかりさんはCMが好きだ。食べ物のCMだと目を大きく開け、口も少し開いてしまっている。ミニストップのCMをじっと見つめていた。行きたいのかもしれない。
時間帯を見て、今日はミニストップ行く?と聞くのはやめる。もう少し早い時間ならば、行く?と聞いて、ゆかりさんが「ゆうやさんが行きたいならついってってやろう」と謎の人のせいにして行くはず。
でも今日は行かない。

歌うクイズ
ゆかりさんは寝る前に時々歌うクイズを出す。急に鼻歌を歌いだし、何の曲かわかる?とクイズを出してくる。もちろんわからない。糸をピンと張ったような声で鳴くように歌うので、わからない。メロディは悲しげだ。考えていると、無視かと言われ目を閉じてしまう。
答えはわからないまま。

よく転ぶ
ゆかりさんはよくつまずく。何もない場所でも転びそうになる。今日も何もない道で転びそうになり、百人一首チャンピオンのように体を前傾姿勢に片手を出してつまずいていた。
よく転ぶね、と一緒に駅に向かっているときに言うと、小さい頃から転びすぎて病院へ行ったことがあるらしい。病院?と思ったが、特に詳しく聞くことはせず、へー、とだけ言う。それ以上ゆかりさんも何も言わない。
転びすぎて病院か。

#日記

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