ゆかりある日記 その8

メレンゲの気持ち
メレンゲの気持ちを見ていたらモデルのエビちゃんが百均のヘアゴムを束ねて肩甲骨のストレッチを子育ての合間にしているんですよ、と言っていたのをゆかりさんが出かける準備の手を止めてじっと見ていた。エビちゃんが実践しているのを尊敬するように眺めていたゆかりさん。
「やりたいねえ」と僕がゆかりさんを気遣って言うと、ゆかりさんはこっちに顔を見せて「そうだよね!」と言った。「気持ち良さそうだもんね」と答えた。

出会い
ゆかりさんと結婚して丸2年が経った。そしてそれはつまり知り合って13年経ったこということでもある。もうそんなにか。13年といったら1年が13回来て、13回あけましておめでとうと言い、干支は2週目に入ったところで、13歳といったらもう性に多感な時期だ。性に多感になるまでの期間が経ったのか、と思うととても長い時間一緒にいるはずなのに、ゆかりさんの全てを知ったわけでもなく、まだ分からない部分が多すぎる。
初めて出会った時は大学生で2年生でゆかりさんは入学したての新歓コンパにやってきた。僕の通っていた大学では校内にコンパ室という集会室みたいな場所があり、そこで新歓コンパが行われていた。
ただ僕は新入生と触れ合うことなくずっと先輩と部室でお酒を飲んでいた。少し格好をつけたい年頃だった。お酒を飲んでいると、助けてくれ、と同期がやってきたので少し酔っていた僕はひょこひょこと部室からコンパ室へ向かった。全然喋らない新入生がいる、助けて!と言われ僕は酔っ払いながらコンパ室へ行き、その喋らない新入生と対面する。それがゆかりさんだった。ゆかりさんはずっと先輩の話を聞いているのか聞いていないのかわからない状態でカッパえびせんを作業のように食べていた。
出会い。

#日記

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