ゆかりある日記 その17

調べるゆかりさん
住んでいる家にはいつも「満室御礼」の札がかかっていて、僕は何をアピールしているのだろうと思い、ゆかりさんは見るたびにダサいんだよなあ、と言っていた。
先日下の階の人が引っ越しても札が壁にかけられていて、明らかに空いている部屋があるのに満室アピールをしているのか、と思っていた。
今日もゆかりさんは朝早く出かける。いってらっしゃいを言って窓からスマホを出して、止まれで止まるゆかりさんの写真を撮る。いつもならすぐに記録としてTwitterにアップロードするのだけれど忘れて夜になった。
夜になり、ゆかりさんは横で溜まりに溜まった朝ドラを見ている横で、僕は止まれで止まるゆかりさんをTwitterにアップロードしようとすると、いつもかかっている「満室御礼」の札が消えていたので、ゆかりさんに札が消えている!と伝えると、とても良い笑顔で物件出てるかなあと、朝ドラをそっちのけで、スマホを見始めた。すごい笑顔だったので、僕まで笑ってしまった。
笑っていると何よ、とスマホで検索しながら僕は見られていた。


青春の終わりだね、と
新宿のブックオフへ行く。僕の休日の出かける場所は高校時代からブックオフしかない。ブックオフか本屋だけしかない。だから友達と遊ぼうと思っても何も浮かばない。何をしたらよいのかわからない。映画を観るか、雑貨屋へ行くか、本屋か、くらいしか浮かばない。みんな何して遊んでいるのだろう。新宿を歩く。一人だからイヤホンで耳をふさぐ。街の音を聞こえないように歩く。まだ街の声を一人で聞くと必要以上に疲れてしまう。
ブックオフへ行くと、東口店と西口店が統合するらしい。実質1店舗がつぶれてしまうということか。
最近ブックオフへ行っても何も楽しくない。昔は本棚をア行から川の流れのようにじっと眺めていたのに、今は東京で流れ星を見つけるようにしかみることができない。
僕が変わったのかブックオフが変わったのか、わからない。ただもういつもよりブックオフへ行こうと思う気持ちは少ない。今日も2軒のブックオフを見たが、特に何も買うものはなく、家に帰る。
帰宅したゆかりさんにブックオフが楽しくないかもしれないと伝えると、青春の終わりだね、と。


#日記

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