お湯日記



1/8
「知らないおじさん」
育休が2020年が終わるとともに終了し、2021年から働き始めた。昨日出た緊急事態宣言に去年のような緊張感がないが、不安だけはあるので休日は家の中にいようと決める。
久々に働き始めてようやくの休み。イベントごとに前回の時のような規制はないので仕事はあるので、休みは貴重なゆきさんとの交流ができる日になる。仕事になるとゆきさんが起きるか起きないかと時に家を出て、帰宅した時にはもう寝てしまっている。
会えているが寝姿ばかりだったので、久しぶりだねーと声をかけると、誰だとばかりにゆきさんが号泣。育休中ずっと一緒にいたのに。三日程度の不在で忘れちまったのかとドラマに出てきそうなセリフを言いながら抱っこをするが、号泣。知らないおじさんがいるよーと泣き続けられて、こっちも泣きたいと思っていると、ゆかりさんが僕からゆきさんを奪い抱っこの交代をした途端、泣き止む。知らないおじさんは泣きたいから泣きそうになってしまう。


1/9
「熱母乳」
ゆきさんはゆかりさんの母乳とミルクの混合で過ごしている。まだゆきさんが我が家のチームに入る前に読み漁っていた育児エッセイでは、母乳が飲めないとか哺乳瓶が飲めないとかあらゆるトラブルが書かれていたので不安だったが、特にゆきさんはミルクの時間になれば泣き、母乳でもミルクでもはむはむと飲んでいる。
ゆかりさんの母乳を飲み終えゲップをしようとしているゆきさんの顔が真っ赤になっていた。お風呂上がりなのかな?と思うほどの真っ赤で熱があるのかもしれないとご時世的に不安になって熱を測るが特に平熱だった。
そしてすぐに真っ赤な顔は元通り。もしかしたら母乳が熱かったのかもしれない。母乳の温度はわからないが、ゆかりさんから熱母乳が出ているのかもしれない。
熱母乳。ポケモンのわざの名前みたいだ。ゆかりさんにポケモンみたいだねと伝えるが、無視。熱母乳のことを知らないから、まあそうか。熱母乳と、ゆかりさんに聞こえないように声に出す。なんとなく心地が良い語感で、聞こえないように何度も口にしてしまう。熱母乳。


1/14
「薄着」
ゆきさんの予防接種のためゆかりさんとゆきさんが小児科へ行った。僕も行く気満々で休みまで取っていたが、微熱がありお留守番になってしまった。微熱は微熱で心配だが、ゆきさんの予防接種も心配だ。前回の時は注射を打たれて号泣。そのあとも号泣。泣き止んで帰宅してしばらくして、注射のことを思い出したのか号泣。たぶん今日も号泣。
心配だし、久々の一人だし、で何をしたら良いだろうと思って部屋の中をうろうろしてしまう。特に何もすることがないので読みかけの本を読む。一人ならばしたいことがたくさんあったはずなのに思い出せない。記憶は日々の生活に貼りついている。視界にいつもいる二人の姿がないせいでいつのまにか一人でいるということが非日常になってしまった。大人しくしていると、ゆかりさんとゆきさんが帰宅。注射泣いた?と聞くと、泣いたよとのこと。やはり。
ゆかりさんからゆきさんの注射の様子を聞く。前回とほぼ同じだが、待合室にいた他の赤ちゃんはみんな厚着でゆきさんだけ薄着だったらしい。薄着でなんだか恥ずかしかったよ、とゆかりさんが言いつつ、抱っこされているゆきさんは適温ですよ、というような表情をしていた。


1/21
「寝付き」
他の子はわからないが、ゆきさんは寝付きがあまり良くない気がする。おしゃぶりをしないと眠らない。
目を閉じても眠らず、ちゅぱちゅぱちゅぱとおしゃぶりを吸う。そして両手を上にし始めようやく眠る。
時々悪夢にうなされるのか、寝ているとひゃぁぁと泣く。その声に飛び起きるとすやすやしている。
なんだったんだと思って夜中の我らもすぐに眠る。
夢だったのか、それともゆきさんも夢を見るのか。


1/22
「掴んで離さない」
お腹が空きすぎると、ゆきさんは大声で泣く。泣いているのか泣きすぎて泣いているのかわからないほどに泣く。
そういう状態になってから哺乳瓶でミルクをあげると、がしっと哺乳瓶を掴もうとする。絶対に哺乳瓶を渡したくないのだろう。
しかし自分の両手を手のように扱えないので握りかけで終わる。まだ寿司を握れない職人のようだ。修行が足りない。僕の哺乳瓶の持ち方を見て覚えてほしい。
ゆかりさんに哺乳瓶を抱えようとするよね、と言うと、わたしはそんなに抱え込まないよ?と言われ、ゆきさんの中で僕は哺乳瓶を奪いそうな奴と思われているかもしれないということがわかった。
しかし今日はゆかりさんが哺乳瓶でミルクをあげようとすると、哺乳瓶を両手で持った。
わたしがお風呂をしている隙に、両手で抱えて自給自足。まあ、まだ水平にしか持てないようで自給自足には遠い。


1/26
「消える」
前髪がバンドマンに憧れた少年のように長くなったので、ゆかりさんに切ってとお願いしたら前髪が消えた。
視界から消えただけなので、眉毛の上くらいの前髪かなと思って鏡を見ると、前髪がなくなっていた。今までずっと一緒だったのに、別れは一瞬でいつのまにかいなくなっていた。どこに行ったのだろう。見つかるのならば緊急事態宣言中だろうが、向かいのホーム路地裏の窓を探したい。そんなとこにいるはずもない。
消えた前髪に絶望しているとゆかりさんが笑いながら謝ってきた。当分許さない。


1/27
「二連母乳」
アプリでゆきさんのおしっこやミルクを記録している。アプリがない時代はどうしていたのだろうと思うほどに便利。
何時間おきの食事がすぐにわかるし、仕事の休憩時間にそのアプリを見ると、家にいる二人のことがわかる。さっきミルクをあげたんだな、と家の風景を、前髪がないので視界も良好で想像できる。
今日も休憩時間にそのアプリを見ていると、二連続で母乳を飲ませていた。飲ませる時間の間隔があいたせいだと思う。珍しいので、アプリのメモを書く欄に二連母乳と書いた。すぐにLINEでゆかりさんから、ガチャじゃないんだ!とメッセージが来た。ゆかりさんとちょうどそのアプリで何かを入力しようとしていたらしい。
ガチャのつもりで書いてはない。そうかガチャか。
前髪を失って引いた二連母乳でSレアが出たら良い。

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