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憧れていた、あの香港。

だいぶ前に書いた記事。

私は香港にずっと憧憬を抱いていた。
ブルース・リーやジャッキー・チェンの映画が子供の私にはとても面白くて「彼らを生み出した香港」に興味を持った。
行く予定もないのにお小遣いでトラベル・ガイドを買って妄想を膨らませるほどだった。
香港を特集してるからという理由で十代の時にマダム向けのおしゃれな雑誌を購入したこともある。
グラビアで見る香港の素敵だったこと。

ペニンシュラホテルのオープンテラスでウェルカムボードを持って立つ、白い制服のボーイさん。マダムの前でシャイな笑顔を見せる、ひょろっとしたまだ少年みたいな彼がとっても可愛くて。
今でもあのグラビアを思い出すとメロウな気持ちになれる。

中心地のガイドはもっと素敵で、景勝地の紹介の他、詳細なショップガイドまであった。あの店ではシルクのチャイナブラウスがとても安く買える、あの店ではチャイナドレスのオーダーができる、、、このお店はスコーンと紅茶がおいしい、、、なんてイラストで解説されていたっけ。
いつかここに行って、この素敵な空間を思いっきり楽しむのだ、と私は思っていた。

成長するにつれて外国への警戒感を強く持つようになった私は、政変が起こるかもしれない国に出掛けることをよしとしなかった。だから、一度もあの美しい香港に行かなかった。
でも、行けばよかったのかなと思い始めている。

あの街でデモや市民への弾圧が行われている現実が、私は受け入れられない。

悲しい。

つらい毎日の記録