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【独占取材】バーティカルSaaSの第一人者が狙う次なる巨大市場とは

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知る人ぞ知る連続起業家が次なる挑戦への狼煙をあげた。

今月、26日、建設業界向けDXプラットフォームを提供するMOZUは、スパイラル・キャピタルをリードインベスターとしたシードラウンドで総額3億円の資金調達を公表した

MOZUの共同創業者である野口真平氏は、不動産賃貸業者向けシステムを提供するイタンジ創業メンバーの一人だ。

2018年から社長として事業を牽引し、2023年11月に退任するまでの間に同社のARRを30億円規模まで成長させた。

近年、国内のスタートアップシーンではシリアルアントレプレナーの活躍が目立つが、バーティカルSaaS分野の連続起業はレアケースであり、MOZUの動向は投資家などからも大きな注目を集めている。

今年4月に同社がリリースしたばかりのマーケットプレイス「MOZUオーダー」では「初月の注文額が2600万円を超えるなど、既に想定以上に利用が増えている」と野口氏は、サービス立ちあげに自信を覗かせる。

国内屈指のバーティカルSaaS経営者はいかに「成功の法則」を見出しているのか、そして、新たな挑戦の可能性はいかほどか。

本記事では、野口氏への半年間に及ぶ取材をもとに、その独自視点に迫っていく。

野口真平 | 株式会社MOZU 代表取締役CEO
元イタンジ株式会社CEO 兼 GAtechnologies COO。電話やFAXが普及する不動産業界に切り込み、10年かけてデジタル化を実現。建設や住宅設備の産業における課題に触れてMOZU株式会社を創業。

イタンジの企業価値を10倍に伸ばし、次なる挑戦へ

――― 野口さんは2018年にイタンジの社長を引き継ぐ際に「起業も検討していた」とおっしゃっていました。今回、新たにご自身で事業立ち上げられた経緯をお聞かせください。

野口氏: 2018年にGA technologiesにイタンジの株式を売却した際には、会社を辞め、自身で起業をするつもりでしたが、買収の条件の兼ね合いや賃貸不動産事業の面白さもあり、社長を引き継ぐことにしました。

いわゆるロックアップ期間は2年程でしたが、社長業を続けているとさらに会社をグロースをさせたいという欲求も湧き、起業の熱は薄らいでいました。そのため、虎視眈々と「いつかは自分の会社を」と狙っていたわけでもありません。

イタンジとしては、私が引き継いでからの5年間ほどで賃貸領域への製品ラインナップが出揃い、不動産売買領域にも拡大しようという意思決定が行われるタイミングを迎えつつありました。

* 野口氏退任後のイタンジはARR40億円規模まで業績を伸ばしている(FY2024年2Q資料)

再度新たな領域をグループ傘下でやるのか、自分でやるのか、ということをおぼろげに考える中で、竹内(MOZU共同創業者・当時イタンジ)と建設領域でのビジネスの可能性を見出し、独立の道を考えました。

私個人の特性としても新たなものを作っていくことへの関心や強みがあり、イタンジの企業価値もGA technologiesに株式売却後、5年で10倍ぐらいには伸ばせたのではないかと思い、踏ん切りをつけるタイミングだと思いました。

――― さまざまな起業アイディアがあったかと思いますが、現在の中小の建設業者向け購買プラットフォーム事業を開始するまでの経緯を教えてください

野口氏:実は、現在のビジネスが決まるまでに既に2回ほど失敗をして、ピボットをしています。笑

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