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【2020年9月更新版】上場SaaS KPI公表のすべて

企業データが使えるノートでは、現役アナリストが上場SaaS企業のKPIを月次で集計し、データ化を行っています。

公表されている主要なSaaS KPIは網羅しており、決算説明会資料などからの個別確認することなく、データの利用が可能です。

なお、本データは、2020年9月時点においては無償にて提供を行っていますが、11月より有料マガジン内のコンテンツに移行を予定しています。

kpi概要概要

Excelデータは、以下のダウンロードページより取得可能です。

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■ ファイルダウンロードページ
パスワード: fi587ff4

最新のデータより集計

上記データより主要KPIデータの集計を行いました。

① ARRランキング

最終版

■ コメント
・ ARR上位企業では、100億円を超えてもYonY30%成長の水準
・ ラクスは2020年8月の月次クラウド売上成長率が前年を上回っており、高い水準でさらに成長を加速させている
・ インフォマート、ウォンテッドリーは飲食、採用という新型コロナウイルス影響が強い領域のため、直近YonYではマイナス成長率
・ マネーフォワードの成長率はボクシル買収影響で一時的に高い。前年同一条件ベースでは40%程度の成長率
・ モチベーションクラウド(リンクアンドモチベーション)はYonY16%成長であるものの、新型コロナウイルス影響で足元は、対前四半期では-10%成長と減速中
・ メドレーのオンライン診療システムCLINICSが急成長し、前四半期のARR5.4億円から+240.7%の14.7億円に急成長
・ 時価総額の急上昇が見られた弁護士ドットコム(クラウドサイン)は成長率は、113%と高いものの、現時点ではARR10.5億円の水準。

② ARR × ARR成長率

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■ コメント
・ 一般的にARRの増加に伴い成長率が逓減していく中で、高い成長率を維持できるかが企業価値評価のポイント
・ 米国でのSaaS企業のIPO水準がARR100億円程度となるなかで、多くの国内SaaS企業のARR規模は一桁小さい

③ ARPA、ARPU

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■ コメント
・ スマレジ はフリーミアムモデルを採用しているため、ARPUの場合は無料ユーザーを含む。実態として、課金ベースでの顧客単価はARPPUとなり、7,877円 / 月が平均的な単価
・ 継続的にARPA、ARPUの向上が見られる企業は以下のとおり

Sansan(年間ARPA成長率 3.2%

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カオナビ(年間ARPU成長率 16.7%)

カオナビ

Chatwork(年間ARPU成長率 14.7%)

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サイバーセキュリティクラウド(年間ARPU成長率 4.0%)

サイバーセキュリティクラウド

④ Churn Rate

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■ コメント
・ Gross Churnは、アップセルを含まず、前月末ARRに対する月次解約ベースでの算出が基本算出方法
・ マネーフォワードは、顧客ベースでは2%の解約もアップセルなどにより-1.4%のネガティブチャーン
・ スマレジは4月に解約率1.7%まで悪化するも、現在は0.58%の新型コロナウイルス流行前の水準まで戻る

⑤ その他 KPI

その他

■ コメント
・ Net Revenue Retention、LTV、ユニットエコノミクス(LTV/CAC)の開示は、一般的ではなく、個社ごとで訴求したい場合に決算説明会資料に掲載
・ プロダクトごとのLTVを開示しているのはラクスのみ
・ カオナビのユニットエコノミクス(LTV/CAC)は時系列での開示を行っており、この2年間は5-7倍水準で推移

まとめ

新型コロナウイルス発生から半年が経つ中で各社のKPIでもその影響が確認できます。

逆風下でARR成長率がマイナスになったウォンテッドリーやインフォマート。次回の決算発表では、引き続きマイナストレンドとなるか、再び成長軌道に載せることができるか、注目です。

一方、外部環境に関わらず成長率を加速させるラクスや、高い成長率を誇るサイバーセキュイリティクラウドなど、好調なモメンタムを維持し続けることができるか、継続的にレポートしていきたいと思います。

以上です。

「企業データが使えるノート」では、今後も継続的にnote上でSaaS/IPOのデータ・コンテンツを提供していきます。

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