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【異変】ヌーラボの新規上場からみる今後のSaaS企業IPOバリュエーション

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Backlogなどのクラウドサービスの開発・提供するヌーラボは、6月28日に新規上場を行った。

* Backlogを提供するヌーラボは公募割れ後、7月に入っても下げ続けている

公募価格が1,000円に対し、初値は955円をつけ、その後7月に入ってからも600円台まで株価を下げるなど、不振が続く新興市場の影響をもろに受けている。

さらにヌーラボのIPO時のバリュエーションは、過去数年に行われたSaaS企業のIPOとはかけ離れた低水準となっており、当面は多くのSaaSスタートアップも意識せざるを得ない企業価値となっている。

本記事では、直近の上場企業のマルチプルやIPOデータなどを基にSaaS企業の今後のSaaS企業バリュエーション状況を考察していく。

また記事後半では、SaaSスタートアップへの投資を行うVCのキャピタリストにも取材を行い、リアルな未上場企業の市況感なども探っていく。

① SaaS以外の新興銘柄も総下がりの状況

一部で「SaaSブームに陰り」といった論調も見受けられるが、株価の下落は新興株全体に及んでいる。

現時点と1年前の株価水準を比較すると、メルカリやBASEなどはBtoB SaaS企業よりも下げ幅が大きい。業績の良し悪しに関わらず、グロース株全般が一律で半値以下となっているのが新興市場の状況であり「SaaS銘柄が一人負け」しているわけではない。

* メルカリ、BASEなどはSaaS銘柄よりも下げ幅が大きい

マルチプルを確認していくと、急ピッチで上昇した2020年には平均20xを超えていたSaaS企業の予想ベースPSRは、2021年末からの相場調整に伴い、6x程度と、コロナ以前の水準を下回った。

個別銘柄に目を向けると最も騰落幅が大きいのはプレイドとなり、1年前から80%株価を下げた。もともとSaaSバリュエーションが最も過熱した2020年12月にIPOを行ったこともあり、初値ベースでのPSRは22.6xと高水準にあった。そこから市況が悪化する中で、今年5月10日に公表した2022年9月期の通期下方修正が大きなネガティブインパクトとなった。

* SaaS企業 2021年7月から2022年7月の株価変化

2021年末からのグロース株全般の下落に伴い、一時はPSR30倍をつけたスパイダープラス、AI inside、Chatworkなどの銘柄で下げ幅が拡大している。

一方で、カオナビやプラスアルファコンサルティングなど人事系SaaS企業などは下げ幅が限定的であり、マザーズ指数をアウトパフォームしている。

② SaaS企業のバリュエーションは「利益重視」になったのか?

グロース株の後退が鮮明となる中で「赤字先行から利益率重視すべき」とった意見も見られるようになっているが、市場の評価はどのようにかわっているのだろうか。

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